「ストレスチェック徹底解説②」ストレスチェック後の職場改善!集団分析を生かし効果的に進めるポイント

個人の特定が認められないストレスチェック結果を最大限有効活用するためには、集団分析の実施が欠かせません。 そのため、方法や運用について、試行錯誤している企業もいらっしゃることと思います。 集団分析を適切に行わなければ、正確に従業員のストレス状態を把握できず、適切な対応ができないため、慎重な遂行が求められます。 しかし忘れてはならないのは、ストレスチェック実施の意義は、集団分析の先にある職場改善だということです。 今回は、集団分析結果を生かし、職場改善を効果的に進めるポイントを解説していきます。

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ストレスチェック集団分析後の職場改善とは

職場改善とは、ストレスチェックに基づいた集団分析結果から、従業員のストレス要因を突き止め対策を講じ、職場環境を好転させることです。
ひと言に職場環境と言っても、業務内容や労務関連など領域は多岐に渡り、以下のようなものが該当します。

・上司や同僚との人間関係、コミュニケーション
・ハラスメント
・長時間労働
・有給休暇取得率や取得方法
・業務の裁量や質
・職場風土
・オフィスの温度や湿度、換気、照明、騒音
・オフィスのデスクや設備のレイアウト

上記の改善を目指した適切な措置の実行は、労働安全衛生法で定められた努力義務です。
努力義務であるため、たとえ実行しなくても罰則はありません。
しかし、安全配慮義務遵守の観点から見れば、企業は積極的な職場改善に取り組むべきだとも言えるでしょう。

職場改善を行う企業のメリット

職場改善の実践により、良好な職場環境や人間関係が実現すれば、従業員のメンタルヘルス不調を未然に防げる可能性が高まります。
また、従業員にとって職場が居心地の良い場所となれば、より仕事にやりがいや熱意を持てるようになったり、愛社精神や帰属意識が高まったりするでしょう。
それにより、休職や退職による離脱防止への効果も期待できます。
業務効率や生産性向上も想定されるため、企業の拡大成長を加速させるきっかけにもなり得ます。

管理職の疑念や不安が職場改善の妨げとならないよう注意

管理職の中には、集団分析により自らのマネジメント能力の是非を問われるのではないか、職場改善によって自分の居場所がなくなるのではないかと、疑念や不安を感じている方もいます。
しかし、集団分析は従業員のストレス要因となる特定の人物をあぶり出すものではなく、職場改善もその人物を排除するためのものではありません。
職場の現状やストレス要因を多角的に捉え、改善方法を見定めるために行うものです。
そのため企業側は、管理職の誤った認識を取り払い、集団分析や職場改善への正しい理解を促さなければなりません。
職場改善の成功は、管理職の先導があってこそ実現するものなので、自身の立場を案じ必要なアクションを躊躇する事態を招かぬよう、安心してもらうようにしましょう。

職場改善実践でおさえるべき5つのポイント

効果的な職場改善のためには、対症療法的な対応ではなく、戦略を持って取り組むべきです。
以下5つの重要なポイントをおさえておきましょう。

職場改善は自社の現在地を正確に認識することから始まる

適切な職場改善は、集団分析を読み解き自社の現在地を正しく理解しておくことが大前提です。
その前提に誤りがあれば、効果的な職場改善は望めません。
全国平均とのギャップや事業場、部署ごとの傾向を正確に把握することから、職場改善はスタートします。

最適な職場改善方法は各社のリソースにより異なる

たとえ集団分析結果がまったく同じ企業が2社あったとしても、有効な職場改善方法は各社により異なります。
各社が置かれている状況の違いもありますが、投資できるリソースの種類や上限が異なるためです。
したがって、他社の取り組みを参考にするのは良いですが、安易に模倣するのは危険です。
職場改善方法に唯一無二の方法は存在しないため、自社にマッチした手段を模索する手間や労力を惜しまないようにしましょう。

職種、業務内容ごとに特徴を掴む

事業場ごとの集団分析は基本ですが、それだけでなく業務内容別の集団分析を併せて行うことで、効果的な職場改善の後押しとなります。
たとえば、同じ事業場に所属する従業員であっても、営業職と工場のライン業務では置かれている状況がまったく異なるため、ストレス要因にも差が生じるはずです。
職種別の集団分析を実施すれば、その辺りをより詳細に分析できるため、職種ごとに最適な職場改善のアプローチを試みることが可能となるでしょう。

従業員を属性ごとに分類し分析を深める

さらに、従業員をいくつかの属性ごとに分類することで、より多くの気づきを得られる可能性があります。
分類方法は、雇用形態や年代、性別などが挙げられます。
たとえば雇用形態別に集団分析を実施すれば、特定の雇用形態の従業員ばかりに負担が生じていないかを見定めることが可能です。
その属性ならではの特徴が垣間見えれば、そこにピンポイントに刺さる改善策を講じることもできます。

10名未満の事業場は対策が必要

集団分析は、個人の特定につながらない形で実施しなければなりません。
そのため、10名未満の事業場で集団分析を行う際には、あらかじめ受検者全員の同意を取得するか、ほかの事業場と併せて10名以上の集団を作る必要があります。
ただし、厚生労働省が推奨する仕事のストレス判定図など、集団の平均値を用いて分析する手法の場合は、その限りではありません。

職場改善は短期視点で結論付けず継続的にPDCAを回す必要がある

職場改善は、長期視点で捉えPDCAを繰り返し回すことで、徐々に成果が得られるものです。
ストレスチェックの実施から職場改善の実施まで、以下のようなPDCAサイクルを基に進めることが推奨されています。

■Plan(計画)
衛生委員会などで、ストレスチェックや集団分析に関する取り決めを行う

■Do(実行)
ストレスチェック、集団分析の実施
経営層や従業員への報告
職場改善の実践

■Check(評価)
得られた成果や改善が必要な点の振り返り

■Act(改善)
本年度の取り組みを踏まえ、次年度の方針を見直し

客観性が担保されているデータを有効活用しない手はない

職場改善に活用できるデータは、集団分析結果だけではありません。
企業が日頃から蓄積している従業員の勤務データや、毎年実施する定期健康診断結果なども、十分に有効活用できるデータです。
集団分析結果は、従業員が自己申告した内容を数値化し、分析したものであるため、どちらかというと主観が反映されやすくなります。
それに対し、勤務データや定期健康診断結果は、主観が挟まれていない客観的事実に基づいたデータです。
そのため、この2種類のデータを用いることで、偏りの少ない標準的な分析が実現します。

ストレスチェック集団分析結果を生かした職場改善を効果的に進めるポイント

ストレスチェックから適切な集団分析を実施しても、職場改善で確実な成果が得られるかというと、必ずしもそうとは限りません。
分析結果を正しく読み解くだけでなく、職場改善の取り組みにも工夫が必要です。
そこで、集団分析を無駄にせず、職場改善で最大限の成果を得るためのポイントを挙げていきます。

すべての従業員が理解できる情報発信を行う

職場改善に限ったことではありませんが、職場改善の取り組みにおいても、人事や経営層からの発信時には、すべての従業員に伝わる言葉、表現を用いるようにしましょう。
人事担当者や経営層になら通じる内容でも、一般の従業員にとってはわかりづらい表現かもしれません。
従業員に伝わらなければ、職場改善の成果につながるアクションは難しく、独りよがりで形式的な取り組みで終わってしまいます。

斬新さの追求より今ある取り組みを生かす

職場改善というと、目新しい取り組みを追求したくなるかもしれません。
しかし、ないものを生み出そうとするだけでなく、すでにある良い取り組みを生かす方が、人事や経営層側、従業員側ともに、少ない労力でスムーズに取り組めるはずです。
どんなに画期的な改善方法を見いだしても、自社の風土にマッチしなければ定着せず、成果につながりません。

自社のポジティブな面を無視しない

集団分析を行うと、つい自社のネガティブな面にとらわれてしまいます。
しかし、自社のすべての現状がネガティブな訳ではく、ポジティブな評価ができる面もあるのだという事実を理解しなければ、効率的な職場改善が実現しません。
誰しも、ネガティブな面ばかり並べ立てられ批判や注意を受けていれば、モチベーションは下がり、自分や周囲に対する信頼は低下してしまいます。
ポジティブな面はしっかりと認め、その感謝を従業員に還元することで、職場の一体感が高まり、円滑な取り組みの後押しとなるでしょう。

職場改善は一朝一夕とはいかないことを心得る

今の自社の現状は、長い年月をかけて構築されてきたものです。
定着した慣習や風土を覆したり、新しい取り組みを浸透させたりという改革は、根気強く長期的に取り組まなければなりません。
成果が見えるまでに時間を要するだけでなく、定着後もある程度経過を観察し、本当に自社にマッチし最適な取り組みであるかを見極める必要があるでしょう。

職場改善は地道な取り組みで実現すると心得て根気強く向き合いましょう

職場改善は、日々の一つひとつの取り組みを、ていねいに継続していくことで実現するものです。
目に見える成果にこだわるのも重要ですが、先を急ぎ過ぎるのは禁物です。
従業員の働きやすい職場環境を整えるために行うはずの職場改善で、従業員の負担を強いるような事態は避けなければなりません。ときにはじっと見守る時間も必要でしょう。
一つひとつの取り組みに対する効果測定を行いながら、自社の風土と従業員のタイプに適した形を見極めていきましょう。

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