健康診断実施後の対応は?産業医面接や就業判定、事後措置を解説

膨大で多岐に渡る人事業務。その中でも健康診断業務はタスクが多く、毎年実務を経験している人事担当者でも混乱することがあります。 クリニックに予約を取り、従業員に受診させたところで安心してしまう方もいるかもしれませんが、人事としてのやるべきことはその後まだまだ続きます。 健康診断実施後の二次健康診断や保健指導、産業医による就業判定やそれに伴う産業医面接など、一連の流れを解説します。

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健康診断実施後に行うべき実務の流れ

人事担当者が目指すべきゴールは、従業員に健康診断を受けさせることではありません。
健康診断結果を踏まえ必要な措置を迅速に行い、従業員の健康を守ることにあります。
人事としての役目を果たすために、健康診断実施後に行うべき実務の流れを、今一度確認しましょう。

クリニックから健康診断結果を受け取る

健康診断実施後は、健診機関から健康診断結果が送付されます。

方法はさまざまで、直接企業に提供されるケースもあれば、従業員の自宅に送付されるケースもあります。
後者の場合は、従業員へ結果の提出を依頼しなければなりません。
スムースな受け取りのために、健診機関との事前交渉や、従業員への勧奨を行う必要があります。
人事担当者は結果受け取り後、各従業員の所見有無を確認しましょう。
なお、法定項目の結果については法令義務の遂行に必要なため、本人の同意なしに取得が認められています。
しかし人間ドックなどの法定外項目は、取得目的や取り扱いに関して明らかにした上で、本人の同意を得なければなりません。

従業員本人に結果を通知

健診機関から企業人事に直接提供される場合は、

人事担当者から従業員各々に配布します。
この際には、デスクに放置したり第三者に依頼したりせず、本人に手渡しましょう。
所見の有無にかかわらず迅速に通知することが、労働安全衛生法により定められています。

二次健康診断の受診を勧奨

一般健康診断の結果、血圧、血中脂質、血糖、腹囲およびBMIのすべての検査値に異常所見が見受けられる従業員は、詳細な状態を検査する二次健康診断や、発症予防対策のための特定保健指導の無料受診が可能です。
二次健康診断はあくまでも任意であるため実施を強制できませんが、安全配慮義務に基づき、企業は従業員へ受診を勧奨する立場にあります。

医師や保健師の保健指導を実施

健康保持に特に努めなければならないと認められる従業員に対しては、医師や保健師による健康指導を実施します。
保健指導に関しても、従業員への強制力はなく、あくまでも勧奨という形です。
しかし保健指導の対象となるのは、生活習慣病の発症リスクが高い従業員です。
たとえその時点で自覚症状がなかったとしても、改善すべき生活習慣を知り、改める良い機会となることを従業員へ伝え、実施を促しましょう。

有所見者について産業医へ意見聴取

健康診断実施から3ヶ月以内に、企業は有所見者に対する適切な措置について、産業医に意見聴取しなければなりません。
従業員50人未満で産業医が選任されていない事業場は、地域産業保健センターなどを活用しましょう。
適切な意見聴取を行うため、企業は産業医に対し、従業員の労働環境や過去の健康診断結果、産業医面接結果などを提供する必要があります。
そして上記で不足がある場合は、改めて産業医面接の機会をセッティングすることが望ましいとされています。
意見聴取では「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」に基づき、以下3つの区分に従い就業判定を受け、内容を個人票へ記載しなければなりません。
産業医や医師に記載を依頼するほか、人事担当者による代筆も可能です。

1. 通常勤務:措置不要、従来通りの勤務で問題なし

2. 就業制限:勤務制限を設け負荷を軽減し、健康確保の必要がある
≪措置≫時短勤務、業務内容や就業場所、勤務時間の変更、設備の設置や整備など

3. 要休業:勤務休み療養する必要がある
≪措置≫休暇、休職など

上記就業判定は、企業として安全配慮義務を遵守するために不可欠なものであり、従業員の健康と今後のキャリアを守るものです。
最終的な措置は、次の工程を経て企業が決定することとなりますが、専門家の意見は重要な判断材料となるでしょう。

従業員からの意見聴取

産業医からの意見聴取を踏まえ、従業員からの意見聴取を行います。
従業員の実情に即し、本人が納得できる措置を判断できるよう、丁寧なヒアリングと話し合いを心がけましょう。

今後の就業について事後措置を決定、実施

衛生委員会が設置されている事業場は、医師や従業員の意見聴取の内容を報告し、審議を行います。
従業員のプライバシーが晒される状態で報告を行ったり、健康状態を理由に不当な判断をくだしたりすることは認められません。
事後措置の決定後は、産業医に報告しましょう。
その後の事後措置実行にあたっては、産業医や衛生管理者、人事担当者などの産業保健スタッフ間での継続的な情報共有や意見交換、サポートが必須です。

従業員50人以上の事業場は労働基準監督署へ結果報告

常時50人以上の従業員がいる事業場は、健康診断実施から3ヶ月以内に、管轄の労働基準監督署へ「定期健康診断結果報告書」を届け出なければなりません。
ただし、じん肺健康診断など特殊健康診断を実施した場合は、従業員の人数にかかわらず、すべての事業場に報告義務が発生します。

個人票の保存

労働安全衛生規則により、健康診断個人票の作成と一定期間の保存が義務付けられています。
しかしながら、個人票作成はクリニック側が行うケースがほとんどであるため、企業は保存のみ行うのが実態です。
一般健康診断は5年間、特殊健康診断は5~40年間と定められています。

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河野行政改革担当大臣が押印慣習の見直しを表明し、ペーパーレス化の追い風になっているものの、紙や押印文化が根強い人事労務領域では、一筋縄ではないのが現実です。今回は健康診断結果のペーパーレス化のメリットや、データ化し保管する方法を中心に解説していきます。
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煩雑な健康診断業務はデータ化により負担軽減できる

上記のように、健康診断業務は工程が多く、人事担当者の手を煩わせるものが多くありました。
しかし健康診断結果をデータ化することで、業務効率は著しく向上します。
従来の法令では、個人票や定期健康診断結果報告書へ産業医の捺印が必須だったり、個人票の意見欄は産業医本人が記載しなければならなかったりと、多くの縛りがありました。
しかし現在は法改正が進み、捺印が不要となったり、人事担当者による意見欄の代筆が認められたりと、着々と簡略化が進んでいます。
さらにペーパーレス化の推進も加速したため、健康診断結果のデータ化により作業効率の大幅な改善が可能となりました。
具体的には、以下のような業務改善が見込めます。
・従業員のメールアドレスに健康診断結果を個別通知
・定期健康診断、二次健康診断の受診勧奨メールの送信
・健康管理システムを用いることで産業医との情報のやり取りが可能
・定期健康診断結果報告書の自動作成

健康診断結果のデータ化については、以下の記事も参考にしてみてください。

健康診断は従業員の人生そのものを守るもの!事後措置まで確実に進めていきましょう

私たちが自分らしく生き生きとした人生を送るための基盤は、健康な身体にあると言っても過言ではありません。
その健康を守るために、健康診断は重要な役割を担います。
企業は健康診断結果を踏まえた事後措置を適切に実施し、従業員の健康回復を支援する務めを果たしましょう。

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