【令和3年度】ストレスチェックで受け取れる「職場環境改善計画助成金」を解説

助成金を計算している女性

常時50人以上の従業員が所属する事業場へ実施義務が課されているストレスチェック。
対象事業場を保有する皆さまは漏れなく実施しているかと思います。しかし費用面などの関係から、ストレスチェックの集団分析結果を有効活用し、職場改善まで効果的に実行できている企業はそう多くないかもしれません。

そこで今回は、ストレスチェックと集団分析を実行することで受け取れる「職場環境改善計画助成金」について解説していきます。
職場環境改善計画助成金制度を活用すれば、健康経営に向けた積極的な取り組みを躊躇する理由はなくなります。ぜひ参考にしてみてください。

ストレスチェックの実施でもらえる「職場環境改善計画助成金」とは

職場環境改善計画助成金とは、ストレスチェック集団分析の実施事業主を対象とした助成金制度で、従業員の健康確保の推進を目的としています。
ストレスチェックと集団分析を実施し、その結果に基づいた職場環境改善計画を作成、実行した企業に対し、支払った指導費用を助成する仕組みです。

職場環境改善計画助成金は厚生労働省が整備する「産業保健関係助成金」の中に含まれており、厚生労働省の所管である独立行政法人労働者健康安全機構(JOHAS)が取り纏めています。
そのため申請は同機構に行う形です。

なお職場環境改善計画助成金には一般事業者向けの「事業場コース」と、建設業の元方事業者向けの「建設現場コース」の2種類が用意されています。
それぞれで助成条件など異なる点があるため、該当事業場が属するコースで申請を行いましょう。

ストレスチェックを実施して職場環境改善計画助成金を受け取るメリット

職場環境改善計画助成金を受け取るメリットは、大きくわけて以下の2つが挙げられます。

先手を打ったメンタルヘルス対策により長期的な人材保有が可能

従業員のメンタルヘルス不調の深刻化を防ぐ一次予防に集中的に取り組めるため、休職者や退職者を生みにくくなります。

ストレスチェック結果などからメンタルヘルス対策の重要性を理解しながらも、人的リソース不足やコスト面の兼ね合いなどから、一歩踏み込んだ取り組みができずにいる企業もいらっしゃるかもしれません。
それらの課題を解消する手立てとなるのが、ストレスチェックの有効活用を後押しする職場環境改善計画助成金です。

事が起こってから対症療法でしのぐのは、企業、従業員双方にとって望ましくありません。
しかし職場環境改善計画助成金を受け取れば、メンタルヘルス関連で想定されるリスクを回避しやすい状況が整うはずです。

メンタルヘルスの徹底した一次予防は、従業員の安定的な雇用を維持するために欠かせない要素であると認識しましょう。

返済の必要がないためコスト面の課題を補える

職場環境改善計画助成金は、融資ではないため後から返済する必要がありません。
また申請にあたり特別難しい課題はなく、ストレスチェックの実施をはじめとして従業員50人以上の事業場であれば当たり前にクリアしているであろう条件を満たせば申請が可能な点も大きなメリットです。

そのため、コスト面を理由に職場改善の推進に踏み切れずにいる企業、事業場にとっては、受給しない理由がないといっても過言ではないでしょう。

職場環境改善計画助成金で受け取れる金額

職場環境改善計画助成金は、専門家の指導費用として助成されるものです。
事業場コースは1事業場あたり、建設現場コースは1建設現場あたり、それぞれ100,000円が助成されます。

職場環境改善計画助成金の申請、受給は1度に限ります。
たとえ毎年受給条件を満たしていたとしても、過去受給歴があれば今後再受給は不可のため覚えておきましょう。

職場環境改善計画助成金を受け取るための条件

職場環境改善計画助成金の申請、受給には、以下の要件を満たしている必要があります。

事業場の要件

■職場環境改善計画助成金(事業場コース)
・労働者を雇用している法人、個人事業主であること
・労働保険の適用事業場であること(厚生労働省ホームページ掲載の「労働保険適用事業場検索」にて該当した事業場)

(引用:令和3年度版「職場環境改善計画助成金」【事業場コース】の手引)

■職場環境改善計画助成金(建設現場コース)
・労災保険の適用事業であること
・元方事業者及び関係請負人の労働者数が常時50人以上の建設現場であること

(引用:令和3年度版「職場環境改善計画助成金」【建設現場コース】の手引)

取り組みの要件

■職場環境改善計画助成金(事業場コース)
①ストレスチェック実施後の集団分析を実施していること
②平成 29 年度以降、専門家と職場環境改善指導に係る契約を締結していること
③ストレスチェック実施後の集団分析結果だけではなく、専門家から管理監督者による日常の職場管理で得られた情報、労働者からの意見聴取で得られた情報及び産業保健スタッフによる職場巡視で得られた情報等も勘案して職場環境の評価を受け、改善すべき事項について指導を受けていること
④専門家の指導に基づき職場環境改善計画を作成し、当該計画に基づき職場環境の改善の全部又は一部を実施していること
⑤専門家から、職場環境改善計画に基づき職場環境の改善が実施されたことの確認を受けていること

(引用:令和3年度版「職場環境改善計画助成金」【事業場コース】の手引)

■職場環境改善計画助成金(建設現場コース)
①元方事業者は、ストレスチェック実施後の集団分析を実施していること
②元方事業者は、令和元年 10 月以降、専門家と職場環境改善に係る契約を締結していること
③令和元年 10 月以降、新たに建設現場を訪問した専門家からストレスチェック実施後の集団分析結果の見方やストレスチェック実施後の集団分析結果を踏まえた職場環境改善手法について指導を受けていること
④専門家の指導に基づき、職場環境改善計画を作成し、当該計画に基づき職場環境の改善の全部又は一部を実施していること
⑤専門家から、職場環境改善計画に基づき職場環境の改善が実施されていることの確認を受けていること

(引用:令和3年度版「職場環境改善計画助成金」【建設現場コース】の手引)

職場環境改善計画助成金の申請から受け取りまでの手順

ここからは、職場環境改善計画助成金の申請から受給までの流れを解説します。

①ストレスチェックの実施、結果通知

まずはストレスチェックを実施し、結果を各々の従業員に通知します。
ストレスチェックの実施方法に不安がある場合には、産業医に相談しましょう。

②ストレスチェック結果をもとに集団分析の実施

ストレスチェック結果をもとに、集団分析を実施します。
集団分析方法は、厚生労働省推奨のものから民間企業が提供するものまでさまざまあるので、自社に最適な方法を選択しましょう。

③職場環境改善指導に係る契約を専門家と締結

職場環境改善指導に係る契約を、いずれかの専門家と締結する必要があります。
契約書には、以下の内容を盛り込まなければなりません。

・専門家による指導内容、契約期間
・指導費用
・専門家氏名、保有資格
・自社事業場名

なお、ここで指す専門家とは以下の通りです。

■事業場コース、建設現場コース共通
・産業医(労働安全衛生法第13条第2項を満たす医師)
・医師、保健師、看護師
・精神保健福祉士、産業カウンセラー
・臨床心理士、キャリアコンサルタント、キャリアカウンセラー、シニア産業カウンセラー、公認心理師
・労働衛生コンサルタント、社会保険労務士

■建設現場コース
・労働安全コンサルタント、または統括安全衛生責任者
・なおかつ厚生労働省認定の研修修了者

(引用:令和3年度版「職場環境改善計画助成金」【事業場コース】の手引、令和3年度版「職場環境改善計画助成金」【建設現場コース】の手引)

④職場環境改善計画を作成

該当事業場の職場環境や改善点について、上記専門家に評価してもらいます。
その内容を踏まえて職場環境改善計画を作成しましょう。

⑤職場改善を実行

作成した職場環境改善計画に則り、職場環境の改善に着手します。
労働時間や業務内容、組織編成の見直しや、従業員が気軽に利用できる相談窓口の設置などが有効です。

⑥職場環境改善計画助成金を申請

必要書類を準備し、労働者健康安全機構へ助成金申請を行います。
コースにより様式が異なる書類があるため、注意しましょう。

助成金支給決定通知と助成金を受け取る

審査に通過すると、支給決定通知書が発送されます。
その後、指定口座へ助成金が振り込まれます。

【令和3年度】職場環境改善計画助成金の申請期間は令和3年5月18日~令和4年6月30日

職場環境改善計画助成金は、取り組み実施期間と申請期間が設けられているため注意しましょう。
令和3年度は以下の通りです。

・取り組み実施期間:令和3年4月1日~令和4年3月31日
・申請期間:令和3年5月18日~令和4年6月30日(当日消印有効)

ただし労働者健康安全機構作成の手引きには、上記期間内の場合でも受付を終了することがあると明記されています。
そのためできる限り早期の取り組み、申請が望ましいでしょう。

ストレスチェック集団分析や職場改善は健康管理システムで無駄なく効率的に

従業員50人以上の事業場への義務であり、職場環境改善計画助成金申請の必須条件でもあるストレスチェックや集団分析業務をスムーズに行うには、健康管理システムが役立ちます。

健康経営サポートサービス「WELSA」であれば、ストレスチェック実施に付随する煩雑な事務作業や、結果の管理までフルサポート。その他従業員のパーソナル情報も一元管理が可能です。
そして健康管理システムに日々情報を蓄積しておくことで、汎用的ではないピンポイントなアプローチも実現します。

成果にこだわった取り組みのためには、「いかに人事担当者のリソースを確保するか」という点も重要です。
ある程度の投資も必要であると心得て、早期導入をおすすめします。

ストレスチェックを最大限活用するために国の制度を賢く利用しましょう

ストレスチェックと集団分析の実施により受け取れるのが職場環境改善計画助成金です。
職場改善に意欲はありながらもコスト面が原因で機動力を失っている企業にとって、利用しない理由はありません。
ストレスチェックで浮き彫りとなった自社課題の解決のために国の制度を賢く利用し、従業員にとって唯一無二の企業を目指しましょう。