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健康診断| 2021.06.01

健康管理担当必見! 健康診断の種類や人間ドックとの違いについて解説

企業が従業員に対して定期的に受診させる義務があるのが健康診断です。ただし健康診断には様々な種類があり、労働安全衛生法で定められた健康診断のほかにも、個人の意思で受診できる人間ドックも健康診断の一種と言えるでしょう。 健康診断の種類は法律的に義務付けられる法定健康診断だけでも複数あることに加え、個人で受診可能かつ法定健康診断の代わりにもなる人間ドックを含めると多岐にわたるため、健康管理を担当する人事はこれらの区別をしっかり把握しておく必要があります。 そこで、健康診断の種類について、人間ドックとの違いと合わせて確認していきましょう。

目次

  • 健康診断には2種類ある
  • 人事が知っておくべき健康診断の基本ルール 
  • 健康診断と人間ドックの違いは?
  • 年齢別おすすめの検査項目
  • 従業員にとって意味のある健康診断を編成しましょう

健康診断には2種類ある

健康診断は特殊健康診断と一般健康診断の2種類に大別されます。一般健康診断は業種や業態に関係なく実施される健康診断で、すべての事業所が行うよう義務付けられています。

一般健康診断には雇入時の健康診断や1年以内ごとに1回行う定期健康診断など5種類に分類されます。他方、特殊健康診断は法律が規定した有害業務に携わる労働者用の健康診断です。

有害業務は労働安全衛生法に定められ、高気圧業務、放射線業務、特定化学物質業務など7業種が該当します。

まずは全事業所が行う一般健康診断のうち、雇入時に必要な健康診断と定期健康診断を中心に説明していきます。

人事が知っておくべき健康診断の基本ルール 

事業所が従業員に対して行う健康診断は、労働安全衛生法により規定された法定健康診断に該当します。事業所は該当する労働者に対して健康診断を行う義務があります。

人間ドックも健康診断の一種であり、法定健康診断の代わりになる場合もあります。そのため健康診断について基本ルールを知ることが健康管理を担当する人事に求められるでしょう。

健康診断は企業にとって実施義務がある

労働者が安全で健康に働けるよう、快適な職場環境作りを行うための法律が労働安全衛生法です。労働者安全衛生法の第66条にもとづき、事業所は医師による健康診断を該当する労働者に対して行うことを義務付けられています。

事業所は医師による健康診断の結果を記録する義務もあります。労働者の健康を守るために、健康診断の結果にもとづき必要な措置を医師から伺うことも義務付けられています。必要とあれば、就業場所の変更や作業転換、労働時間の短縮などの措置も、事業所に課せられた義務です。事業所が健康診断の実施を怠ると、50万円以下の罰金が科せられます。

健康診断の費用は、労働安全衛生法が労働者に対する健康診断を義務付けていることから、企業が費用を負担すべきだとされています。

健康診断の対象は?

1年以内ごとに1回行われる定期健康診断や雇入時の健康診断など、対象となる労働者は常時使用する労働者だと規定されています。常時使用する労働者とは、事業所が雇用したパートを含む週30時間以上(正規従業員の労働時間4分の3以上)働き、1年以上使用する予定の労働者を指します。

つまり正社員に限られず、一定の条件を満たしたパートやアルバイトに対しても健康診断を行う義務があるということです。また常時使用する労働者に該当しない場合でも、1週間の労働時間が正社員の2分の1以上であれば健康診断を実施する努力義務があります。

平成20年(2008年)3月に改正した「過重労働による健康障害防止対策」では労働者の健康確保のために、健康診断の実施の徹底を求めています。定期健康診断には過重労働による健康障害防止にも関係する項目が含まれていますが、前回の健康診断結果と労働時間の記録を医師に伝え、省略しないようすることも重要だとされています。

人事が覚えておくべき健康診断の種類

特定業務従事者には、有害放射線にさらされる業務や重量物の取り扱いなど重激な業務、深夜業を含む業務などが挙げられます。

健康診断の検査項目は?

検査する項目は健康診断の種類によって変わってきます。たとえば定期健康診断の検査項目のうち、必ず実施すべきものは以下のものです。

・既往歴および業務歴
・自覚症状および他覚症状
・身長、体重、BMI、腹囲、視力検査、聴力検査
・胸部エックス線検査および喀痰検査
・血圧測定
・尿検査(糖および蛋白の有無)
・貧血検査(赤血球数、血色素量)
・肝機能検査(AST、ALT、γ-GTP)
・脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪)
・血糖検査(空腹時血糖または随時血糖)
・心電図検査

ただし、医師が不要だと判断した場合には検査の一部を省略できます。厚生労働省は「定期健康診断の項目の省略基準」を示しており、定期健康診断においては医師が要らないと判断した場合には省略できます。

たとえば、雇入時の検診で必須の血液検査等の検査項目は定期健康診断では省略可能です。
また、40歳未満の労働者に対して、身長や腹囲、胸部エックス線検査、喀痰検査、血液検査を省略できます。

どの項目を省略するかは受診者の健康状態を勘案し総合的に判断すべきだと厚生労働省は示しています。

従業員は健康診断を拒否できる?

労働者が守るべき義務が、労働安全衛生法に規定されています。労働安全衛生法第66条第5項には、労働者には事業所が実施する健康診断を受ける自己保健義務があると規定されています。

ただし労働安全衛生法は、労働者の受診義務違反に対する罰則を設けていません。一方事業所には健康診断を行う義務があり、正当な理由なく健康診断の受診を拒否する労働者に対して懲戒免職に処することが可能です。

健康診断と人間ドックの違いは?

健康診断だけでなく、個人の健康状態を知るための検査として人間ドックもあります。では、人間ドックと健康診断との違いはどこにあるのでしょうか。

健康診断は年齢に応じた一般的な検査

健康診断は、個人の健康状態を診断し、病気の兆候がないかを調べるのが目的です。40代に入ると生活習慣病のリスクが高くなるものの、本人には自覚症状がありません。そこで健康状態を正確に調べるために、1年以内ごとに1回健康診断の受診が推奨されます。

また生活習慣病の予防や早期発見を目的に、40歳以上の被保険者や被扶養者に対して行う特定健康診査が挙げられます。特定健康診査には腹囲の計測が加わるなど、生活習慣病の予防と改善が大きな目的です。検診の結果にもとづき、受診者に対して特定保健指導が行われます。

2008年4月に施行された「高齢者の医療の確保に関する法律」にもとづき、市町村や健康保険組合、協会けんぽなどの医療保険者には特定健診と特定保健指導の実施義務があります。

人間ドックは病気の早期発見が目的

人間ドッグも個人の健康状態を診断し、病気の兆候がないかを調べるという点では一種の健康診断といえます。ただし人間ドックには法的な義務はなく、受診は個人の意思によります。法定健康診断では判定できない病気の早期発見が目的です。

人間ドックは健康保険の適用外であるため、基本的に自費で個人が支払わないといけません。検査項目の内容によって10万円を超えるケースもあります。ただし、健康保険組合や市町村によっては補助金や助成金が出るケースがあります。

一部の医療機関では、検査結果が明らかになったあとに医師が受診者に対し説明やアドバイスをし、生活習慣の改善などに役立てられます。

人間ドックを健康診断の代用にすることも可能

法定健康診断で必要な項目を満たしている場合には、人間ドックで代用できます。労働安全衛生法第66条5項には、事業所が定めた医師による健康診断を労働者が受けたくない場合には、ほかの医師から法定健康診断に匹敵する健康診断を受診し、健康診断書を事業所に提出できることが規定されています。

ただし注意点もあります。事業所は健康診断の結果を保存する義務があるということです。
事業所は個人情報の管理に十分注意しないといけません。

また法定健康診断の結果以上の内容を事業所が知ってしまった場合、事業所はこの部分についても健康配慮義務が生じることは覚えておきましょう。

従業員が受けたい検査を受けられるオプション検査

医療機関はいくつかの人間ドックのコースを提供しています。総合的なドックとして基本コースを用意しており、受診者が定期的に健康状態を知るのに役立てられます。医療機関の一部は基本コース以外にもオプション検査として、受診者が希望する検査を追加して受診できるよう準備しています。

受診者全員に必須ではないものの、40代以上であったり女性であったりした場合に受診が望ましい検査もあります。たとえば女性であれば子宮の検査を追加したり、40代以上の受診者の場合、脳ドックや心臓ドック、がん検査などをオプション検査として追加したりするのもよいでしょう。

年齢別おすすめの検査項目

年齢によって、受診が推奨される検査項目は変わります。具体的に年齢別でどのような検査項目の受診が推奨されるのかご紹介します。

30代におすすめの検査項目

30代ではがんや心筋梗塞、脳梗塞を発症するリスクは小さいものの、大病の原因となりうる生活習慣病に注意する必要があります。

生活習慣病を未然に防ぐためには、空腹時血糖値や血中脂質の数値をチェックしましょう。エックス線検査で胃がんや胃潰瘍など胃に関する病気を確認するのもおすすめです。

また飲酒により肝臓に負担をかけている場合には、超音波検査など肝臓検査が必要です。

40代におすすめの検査項目

20代や30代での暴飲・暴食の影響が出始めるのが40代です。これまで自覚症状がなく詳しく検査してこなかった場合でも、急に症状が現れ命にかかわる病気を患うリスクが高くなります。

肝炎や肝臓がん、胆石などのリスクがあるため、超音波検査を定期的に受診するのが推奨されます。30代と同様に空腹時血糖値や血中脂質、r-GTPなど肝機能値をチェックし、生活習慣病に注意しましょう。胃がんに関するエックス線検査に加えて、便潜血検査で大腸がんをチェックできます。

50代におすすめの検査項目

50代に入ると、生活習慣病やがんに加えて、心筋梗塞や脳疾患などのリスクが高くなります。動脈硬化を防ぐために、血糖値や肝機能値、血中脂質のチェックは不可欠です。不整脈や狭心症の初期症状を見逃さないためにも、ホルター型心電図検査や負荷心電図検査を受診することが推奨されます。また初期症状が出にくい前立腺がんなどについても定期的なチェックが必要になってくるでしょう。

従業員にとって意味のある健康診断を編成しましょう

事業所には労働者が健康に働けるよう安全配慮義務が求められるため、健康診断を実施しないといけません。労働者には自己保健義務が課されているとはいえ罰則がないため、健康管理をしっかり行わないといけないのは事業所です。適切な健康管理を行うために、労働者の適正にあわせた健康診断の実施が求められます。