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健康診断| 2021.05.13

健康診断受診率アップを実現!会社で有効な施策と拒まれた場合の対策

「従業員がなかなか健康診断を受けてくれない」という悩みを持つ人事担当者は、多いのではないかと思います。 いくら受診させなければならないからといって、立派な成人であり社会人である従業員を、子供にするように手を引いて検診機関へ連れて行く訳にもいきません。 今回は、従業員が健康診断受診を拒む理由から考察できる対策や、健康診断受診率アップの効果的な施策について解説します。

目次

  • 従業員の健康診断受診は企業に課された義務!未実施で罰金が科される
  • 健康診断での有所見率が約30年間で2倍に増加【厚生労働省調査】
  • 従業員が健康診断を受診しない理由と対応方法6選
  • 健康診断受診率アップのために効果的な取り組み
  • 番外編:フレンドリーなコミュニケーションで受診率アップを後押し
  • 健康診断受診率アップは健康経営の実現に避けて通れない企業課題
  • 健康診断直前に付け焼き刃の勧奨だけではNG!受診率アップは継続的な取り組みが重要

従業員の健康診断受診は企業に課された義務!未実施で罰金が科される

健康診断とは、労働安全衛生法やじん肺法などで規定されている、企業に課された義務です。
企業は従業員に対し、年に1度(特殊健康診断は半年に1度)の健康診断を実施しなければなりません。
ただし従来から問題視されているのは、義務化されているにもかかわらず実態が伴っていない点です。
厚生労働省が実施した「労働安全衛生に関する調査」によると、全国の定期健康診断実施率は事業場規模が500人以上の場合は100%を記録しているものの、小規模になるほど比例して実施率も低下していき、30人未満の事業場では89.4%まで落ち込みを見せています。
義務であれば本統計で100%を記録するのが当たり前のはずですが、実際に遵守されているのは、社会的影響力を持つ大規模事業場のみというのが日本企業の実態です。
また、同調査内の「定期健康診断を受けなかった主な理由」においては、約33%は健康診断自体が実施されなかったと答えており、企業が従業員の健康管理を軽視している現状が見受けられます。
健康診断未実施により法令違反を犯した企業には、労働安全衛生法の規程により、50万円以下の罰金が科されることになるため注意が必要です。
法令違反という観点だけでなく、従業員の健康を守るべき立場にある企業は、健康診断の必要性や重要性を今一度認識しなければなりません。

健康診断での有所見率が約30年間で2倍に増加【厚生労働省調査】

厚生労働省実施の「平成30年定期健康診断」によると、健康診断により何らかの所見が確認された割合は平成30年に55.5%と半数以上にのぼっています。
調査が開始された平成3年は27.4%であることから、約30年間で2倍ほど増加していることがわかります。
昨今は働き方改革や新型コロナウイルスの流行に伴うテレワークの推進により、労働環境や生活環境が大きく変化を遂げました。
そのため、運動量の減少や周囲とのコミュニケーションが希薄となったことから、従来と異なる要因によって健康被害が拡大するリスクも高まっています。
なるべく早い段階でリスクを潰し発症予防するためにも、企業は健康診断の受診率アップを目指す必要があります。

従業員が健康診断を受診しない理由と対応方法6選

ただし、企業が法令の則り健康診断受診を推進したとしても、多かれ少なかれ拒む従業員は発生する可能性はあります。
それはたとえ受診しなくても、従業員は罰金などに処されることがないという事情も影響しているでしょう。
従業員には法令による受診の強制力は有効ではないため、別の方法で受診率アップを狙わなければなりません。
その際に効果的なのが、従業員の受診しない、したくない理由を理解し、個別対応を行うことです。
従業員が健康診断を受診しない主な理由と、対応方法の一例は以下の通りです。

病院が嫌い

過去の何らかの体験により、病院などの医療機関そのものが嫌いになってしまった方は意外と多くいます。
また、理屈で説明できるものではなく、よくわからないけれど感覚的に病院に近づきたくないという従業員もいます。
その場合は、受診を乗り越えるからこそ得られるメリットを伝えましょう。
例えば家庭を持っている従業員に対しては、「お父さんに万が一のことがあったら大変です。健康だということを証明してご家族を安心させましょう」というニュアンスで伝えれば、少し前向きに捉えてくれるかもしれません。

健康状態と向き合うのが怖い

病気が見つかるのが怖い、知りたくないという従業員もいるでしょう。
その場合は、「早期発見であるほど短期間の軽い治療で済む可能性が高く、場合によってはちょっとした生活習慣の改善で済む可能性もある」と伝えましょう。
どんな病気も、早期発見によって損する事態には陥りません。
万が一所見が見つかっても会社として最大限のサポートをすると約束することで、できる限り安心感を与えられると良いでしょう。

健康状態が人事に影響するのではないかと疑念を持っている

もし自身の健康状態が思わしくない場合、その事実を会社に知られたら人事に悪影響をおよぼすのではないかと疑いを持っている従業員もいます。
そのような従業員に対しては、健康診断結果を把握するのはほんの一部の担当者に過ぎず、健康状態を理由に従業員に不当な扱いを行うことは、法令により禁じられている旨を伝えましょう。
疑念が強い従業員には、「いつも頑張ってくれているのはしっかり見ていて理解しているから大丈夫ですよ」といった言葉をかけると、安心してくれるかもしれません。

業務が多忙で時間を確保できない

健康診断の重要性は十分理解していて、むしろ積極的に受診したいと思っているにもかかわらず、業務が立て込み時間確保が難しいという従業員もいます。
その場合、人事担当者は健診機関と調整を行い、できる限り従業員の意向に沿えるよう予約で融通を利かせるようにしましょう。
全員の希望に対応する訳にはいきませんが、やむを得ない状況下では個別対応も必要です。
また、健康診断受診により部下が不在にするのを渋っている上長がいる場合には、人事側から直接依頼することも視野に入れましょう。

受診が面倒でできれば行きたくない

検診機関を訪ねることも検査を受けることも、とにかく面倒で行きたくないという従業員もいます。
面倒がる従業員には、「病気の発見が遅れるほど何度も治療のために通院しなければならなくなって、余計に面倒な思いをしなければならなくなる」という内容を伝えましょう。
たとえ今の面倒から逃れられても、最悪の場合その何倍もの面倒が降りかかるという未来のリスクを理解してもらうことが大切です。

タスクの中での優先順位が低く行く気がない

業務を含め、抱えているタスクの中で健康診断受診の優先順位が低いという理由で、行こうとしない従業員もいます。
その場合は端的に、「健康診断の実施は企業の義務であり、業務を理由に受診しないことは受け入れが難い」という内容を伝えましょう。
健康診断の義務を理解しておらず、受診しなくてもたいした問題ではないだろうと誤った認識をしている可能性も考えられるので、正しい情報を知ってもらう必要があります。

健康診断受診率アップのために効果的な取り組み

続いては、健康診断受診率アップに効果的な取り組みについて解説していきます。
以下は自社内で完結できるものを抜粋しましたが、ほかにも産業医の協力を仰ぎ、健康への関心を高める施策を打ち出すのも効果的です。

従業員の心に響く受診勧奨手法を取り入れる

健康診断の受診案内では、厚生労働省のリーフレットなどをそのまま掲示したり、イントラネットにスキャンしたものを掲載したりしているだけでは不十分です。
それはただ、人事業務を形式的にこなしているだけに過ぎません。
健康診断受診率アップを狙うなら、従業員の心を動かすような受診勧奨の取り組みを実行する必要があります。
公式で発行されるリーフレットは、言い回しが難しかったり情報量が多すぎたりするため、細部まで読み込まないと重要なポイントがわかりにくくなっています。
そのため、重要な箇所のみ抜き出し、かみ砕いたメッセージでオリジナルのリーフレットを作成すれば、従業員へ健康診断受診の重要性が伝えやすくなるでしょう。
上記はあくまでも一例ですが、自社の従業員にとってどのような受診勧奨が効果的なのか、日頃のコミュニケーションなどから考察してみましょう。

健康診断費用や受診時間に対する賃金について周知

健康診断にかかる費用は、企業負担が義務付けられています。
しかし、自費で受診しなければならないと勘違いをしている従業員もいるかもしれません。
そのため、健康診断は無料で受診可能な旨を、しっかりと周知しましょう。
また、受診時間の賃金に関しても、懸念を持つ従業員は多くいます。
特殊健康診断は企業に支払い義務があり、一般健康診断は義務ではありませんが、支払うことが望ましいとされています。
健康診断受診率アップを実現し従業員の健康を守るためにも、賃金の支払いは行うべきでしょう。

全社の健康課題をわかりやすく見える化

会社全体の健康課題を見える化するのも、従業員の健康への関心を高め、健康診断受診を促す効果的な取り組みです。
もちろん個人情報保護に細心の配慮は必要ですが、可能な範囲で自社の健康課題を明示することで、自分の健康状態を知りたいと思うきっかけにもなり得ます。
健康管理システムを活用すれば、分析が自動で完了するため、人事担当者の負担も最小限で済みます。

番外編:フレンドリーなコミュニケーションで受診率アップを後押し

健康診断受診率アップのためには、上記のような形式ばったアプローチだけでなく、ときにはフレンドリーなコミュニケーションも効果的です。
具体的な方法は従業員との関係性にもよりますが、たとえば「〇〇さん(従業員)が健康診断を受診してくれないと、私が部長に怒られちゃうんですよ」といった、フレンドリーで感情に訴えかけるような声かけをすることで、「〇〇さん(人事担当者)のためにも行かないと」と、心動かされる従業員も一定数いるでしょう。
この手法はすべての従業員、ケースにおいて通用するものではありませんが、ここぞという時の一手としては効果的です。
関係性の構築には、日常的なコミュニケーションが必要ですが、それを意図せずとも日常会話のエピソードの中から、健康診断の受診勧奨につながるヒントが得られるケースもあります。
日々の何気ない言動が、思いがけず役立つことはよくあるので、人事担当者は日頃から丁寧に業務に取り組んでいきましょう。

健康診断受診率アップは健康経営の実現に避けて通れない企業課題

近年至るところで、健康経営の重要性が議論されている状況です。
経済産業省は、企業価値や業績向上のために、健康経営の実現が欠かせないと提言しており、取り組みの実績を対外に示す「健康経営優良法人認定制度」を設けています。
認定を受けるには、いくつかの評価項目を満たす必要があり、その中に健康診断受診率100%や受診勧奨への取り組みも含まれています。
このことからも、健康診断受診率アップは、避けて通れない現代の企業課題と言っても過言ではありません。
従業員の健康促進や保持、そして企業の拡大成長のためにも、健康診断受診率アップの取り組みを積極的に行っていきましょう。

健康診断直前に付け焼き刃の勧奨だけではNG!受診率アップは継続的な取り組みが重要

健康診断受診率アップを目指すためには、直前の受診勧奨だけでは十分な効果は得られません。
日々健康に対する取り組みを実践し、従業員の健康意識を底上げしておくことが重要です。
また受診勧奨においては、効率化は意識する必要があるものの、ある程度は個別のアプローチが必要です。
付け焼き刃のような取り組みでは、従業員の自社に対する信用は得られません。
健康診断受診率アップを目指し、今日からできることを少しずつ始めていきましょう。