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メンタルヘルス| 2021.04.06

面接指導は企業の義務!
実施方法や産業医面談を拒否する従業員の対処法

目次

  • 面接指導の基礎知識
  • 面接指導の流れ
  • 面接指導は企業の義務!しかし従業員への強制力はなし
  • 従業員が面接指導を拒否する理由とは?
  • 面接指導の実施を促す5つの方法
  • 企業として長時間労働やストレスのない職場改革を進めましょう
一定基準を超えて長時間労働を行う従業員や、ストレスチェックで高ストレスと判断された従業員に対して、企業には医師の面接指導を実施する義務が課されます。

コンプライアンスの観点からはもちろんのことですが、自社の従業員の健康を守り、いきいきと末永く働いてもらうためにも、適切な面談指導の実施が望ましいでしょう。
今回は、企業の義務である医師による面接指導について、対象者の条件や実施方法を解説していきます。

面接指導の基礎知識

従業員への面接指導は、労働安全衛生法により事業者に義務付けられるものです。
まずは、基本的な概要について解説します。

目的は従業員の心身の健康

面接指導は、心身の健康維持、促進を目的とし、従業員の身体面のみならずメンタルヘルスへの心配りも求められます。
企業は、産業医による問診などを用いて従業員の健康状態を確認し、各々に最適な指導を実行します。

産業医との対話や、指導によって、従業員は自身の健康状態の理解が深まり、注意点、対処法など、改善に向けて健康意識が向上するなどのメリットが図れます。

面接指導対象は長時間労働者と高ストレス者

面接指導は、月間の時間外労働、休日労働時間が規程を超過している長時間労働者、およびストレスチェックで高ストレスの診断を受けた従業員が対象です。
細かい基準を解説します。

月80時間超の時間外・休日労働をおこなった従業員

月に80時間を超過する時間外労働や休日労働を実施し、かつ疲労の蓄積があり面接を申し出た従業員(管理監督者、裁量労働制の適用者も含む)は面接指導の対象です。

※過去1ヶ月以内に実施済みの従業員は対象外のケースあり
ただし、申し出がない従業員や、企業独自に設けた基準に該当する従業員に対しても、実施を促さなければなりません。

研究開発業務従事者、高度プロフェッショナル制度対象者は例外

研究開発業務従事者と高度プロフェッショナル制度対象者は、面接指導の対象条件が異なります。

まず研究開発業務従事者は、先述した基準に加えて、「月に100時間を超過する時間外労働、休日労働を実施した従業員」という基準が設けられます。
100時間を超過する場合には、本人の申し出に関係なく、企業は面接指導を実施しなければなりません。

一方、高度プロフェッショナル制度対象者は、「1週間に40時間を超過する健康管理時間が発生した場合、その時間について月100時間超行った者」と定められています。
こちらは労働時間の概念が一般と異なるため、事業場にいた時間と事業場外での労働時間を合計した「健康管理時間」によって判断されます。
こちらに関しても、本人の申し出がなくても実施が必要です。

ストレスチェックにて高ストレスと認められた従業員

ストレスチェックが義務付けられている従業員50人以上の事業場がある企業は、長時間労働者のみならず、本結果にも気を配らなければなりません。
高ストレスと判断された従業員のうち、実施者により必要だと判断され、かつ本人の申し出がある従業員には面接指導を実施します。
なお、義務化されていない従業員50人未満の事業場はこの限りではありません。

派遣社員は派遣元が実施

面談指導は派遣元に実施義務が課されているため、派遣先での実施は不要です。
ただ、派遣社員は日頃派遣先企業で業務にあたっているため、派遣元企業は業務実態を適切に把握しづらい立場にあります。
したがって派遣先企業は、派遣社員が適切な面接指導を受けられるよう、派遣元企業と連携し、求められる情報を適切に提示する必要があります。

面接指導は企業の産業医が実施するのが基本

面接指導は、基本的に安全衛生法に基づき企業が選任した産業医が行います。
ただし、従業員50人未満の事業場は産業医の選任義務がないため、産業医の要件を満たす医師に依頼したり、地域産業保健センターで実施される面接指導を活用したりする形となります。

従業員が別の医師による面談を希望した場合は?

しかし従業員によっては、自身のかかりつけ医などによる面接指導を希望するケースもあります。
その際は、産業医と同等レベルに値する面接指導が実施できる医師であれば、本人の希望を尊重して問題ありません。
ただし証明書の提出が義務付けられているため、従業員に確実に対応してもらいましょう。

面接指導の流れ

ここからは、労働安全衛生法および労働安全衛生規則の内容に基づき、面接指導の流れを解説していきます。
大まかな流れを把握し、工数の割り当てなどをイメージしておきましょう。

労働時間の算定、従業員への通知

労働時間を記録しているタイムカードやWEB打刻履歴、パソコンの使用時間記録などから、従業員の労働時間を適切に取り纏めます。
その後、総労働時間数から、時間外労働、休日労働の時間数を算出しましょう。
これらの算出は、1ヶ月に1回以上の実施が定められています。

【計算式】
時間外、休日労働時間数=総労働時間数-(計算期間1ヶ月の総暦日数/7)×40

算出の結果、80時間を超過した従業員には、その旨を速やかに通知します。

面接指導受診指示、申し出の受付

労働時間算出の期日から1ヶ月以内に、対象者に面接指導の申し出を促します。
その際は、従業員が申し出やすいよう、十分な配慮を行う必要があります。
フローを簡易化し、申し出た事実が口外されることがない旨を、あらかじめ十分に周知しておきましょう。

産業医による面接指導の実施

従業員の申し出から1ヶ月以内に、産業医との面接指導を実施します。
実施場所に明確な指定はありませんが、従業員がリラックスして面接指導に望めるよう、静かで落ち着いた環境、かつプライバシーが守られる個室などが適しています。

情報通信機器によるオンライン面接も可能

原則的に面接指導は、従業員の表情が鮮明に見え、雰囲気をリアルに感じ取れる対面での実施が適しています。
しかし、近年あらゆる分野でオンライン化のニーズが高まり推進されていることから、留意事項を踏まえることを前提とし、オンラインでの実施が認められています。
対面での実施が難しい従業員にも対応可能となるため、臨機応変に使い分けられるよう準備しておくと良いでしょう。

産業医からの意見聴取

面接指導の実施後1ヶ月以内に、結果報告と併せて産業医から意見聴取を行います。
医師作成の面接指導報告書、および就業上の措置に係る意見書を用いながら、具体的な措置について医師の判断を聴きます。
対症療法的な措置にとどまらないよう、企業の在り方に通ずる発展的な意見も聴取しましょう。

事後措置の実施

企業は上記に関して事後措置を行います。
意見聴取の内容を踏まえ、労働時間の短縮や就業場所の変更、配置転換など、企業として最大限の措置を講じましょう。
なお面談指導の結果は、5年間保管する必要があります。

面接指導は企業の義務!しかし従業員への強制力はなし

面接指導の実施は、労働安全衛生法に定められた企業の義務です。
対象者には、漏れなく面接指導を行わなければなりません。
しかしながら、従業員側には義務が課されていないため、受ける・受けないは従業員の自由です。
よって双方の思惑が一致せず、企業側は実施に苦戦を強いられる可能性もあります。

従業員が面接指導を拒否する理由とは?

従業員が面接指導を拒否する理由は、以下のようなものが考えられます。

・業務が忙しく時間が取れない
・上司や会社に自分の健康状態を知られたくない
・良く知らない産業医との面接指導に抵抗がある
・面接指導を受ける理由が理解できない
・面倒そうだから受けたくない

理由や対処法は次項で解説しますが、上記はどれも面接指導の実施を絶対的に阻む理由にはなり得ないものです。
したがって企業側は、たとえ従業員から拒否されたとしても、何も対処せず受け入れるのではなく、従業員の立場に寄り添いできる限り手を尽くすべきだと言えます。

面接指導の実施を促す5つの方法

従業員のこの先の長い社会人生活での活躍やプライベートの充実を見据えると、雇用する企業側としては、なるべく多くの従業員に対して、面接指導を実施するのが望ましいと言えるでしょう。
そこで打てる対策としては、上記で挙げた面接指導を拒否する理由を一つひとつ潰し、従業員に「それなら受けるしかないか」「受けても良いかな」と思わせられる状況を整えることです。
考えられる例として、以下5つを紹介していきます。

幅広い実施日程を用意する

業務が忙しいことを理由にする従業員に対しては、幅広い日程の選択肢を提示することが有効です。
そして万が一当日に緊急の案件が入ったとしても、後日への日程変更が可能である旨を伝えましょう。

面接内容には守秘義務があることを伝える

自身の健康状態を会社や上司に知られるのではないかと不安を感じている従業員には、守秘義務について説明しましょう。
産業医には守秘義務が課されているため、面接指導の内容を口外することがないこと、そして面接指導は産業医と従業員の一対一で行うため、上司が同席することもないと伝えれば、ある程度安心してくれるはずです。

産業医が身近に感じられる雰囲気を作る

いくら仕事に関連する面接といっても、まったく馴染みがない人物を目の前にいきなり自分の話をするのは、多かれ少なかれ抵抗や緊張を感じるものです。
これを和らげるためは、従業員が産業医の存在を身近に感じられる機会を積極的に設けるのが効果的です。
定期巡視での対面はもちろん、会社から産業医の役割や人柄が知れる情報発信をするのも良いでしょう。

面接指導の実施で得られるメリットを伝える

面接指導の実施理由が納得できない従業員に対しては、義務であることを主張しても効果的ではありません。受けることで本人が得られるメリットを提示しましょう。
一般的なメリットとしては、病気の予防や早期発見、上司や同僚、家族に相談できない仕事やプライベートの悩みの相談などが挙げられます

本人にかかる手間を最小限にする

面接指導を拒否する従業員の中には、「段取りをすべて会社で組んでくれて、ただ行くだけで良いなら受ける」という方もいます。
そのため、面接日の予約など実施にあたりかかる手間は、できる限り会社側で負担できると良いでしょう。

企業として長時間労働やストレスのない職場改革を進めましょう

従業員の心身の健康を守ることは、企業にとって重要な責務です。
長時間労働や高ストレス状態が続けば、従業員の人生そのものに大きな影響を及ぼします。
企業としては、従業員の長時間労働により、短期的な局面は乗り切れるかもしれませんが、それが長期化すれば従業員のパフォーマンスの低下や、体調不良による離脱は避けて通れません。
1年後、5年後、10年後を見据え、企業としてまたは担当者として、果たすべき役割を着実に全うしていきましょう。