【コロナ禍のストレスチェック】見直すべき理由とメンタル対策に生かす質問例

昨年から続くコロナ禍も長期化し、私たちの日常はいわゆる「ニューノーマル時代」となりました。 暮らしや働き方が変容している中、従業員のメンタルヘルス対策を万全に期し健康経営を促進する上で「従来のストレスチェックは意味を持つのだろうか」と疑問を感じている人事担当者の方もいるかもしれません。 しかしコロナ禍の今でも、ストレスチェックは有効なメンタルヘルス対策の一環です。 ただしストレスチェックを最大限に生かすためには、コロナ禍の今に即した質問を新たに取り入れて実施すべきでしょう。 そこで今回は、コロナ禍におけるストレスチェックの意義や、従来のストレスチェックに追加したい質問内容の一例を解説していきます。

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現状のストレスチェックはwithコロナ時代に適応できていない

平成27年12月より、ストレスチェックが施行されました。
しかしこの内容は、コロナ禍の真っ只中にある現代の日本に適したものではありません。
そもそもストレスチェックとは、「仕事や仕事環境が起因するメンタルヘルス不調の未然防止」を目的としています。
そして企業に対し、ストレスチェック結果を踏まえた労働者支援や、集団分析を用いた職場改善を促すものです。
実際にストレスチェックの内容を見てみると、厚生労働省が推奨する「職業性ストレス簡易調査票」や、新たな尺度が追加された「新職業性ストレス簡易調査票」は、仕事にかかわる設問で構成されていることがわかります。
しかし現代のコロナ禍において、私たちビジネスパーソンのメンタルヘルス不調を招く要因は、職場外の場面、要因であることも往々にしてあるのです。
つまり令和3年以降に実施するストレスチェックでは、コロナ禍の現状に即した内容へと最適化させなければなりません。

コロナ禍で在宅勤務がニューノーマルとなり働き方は大きく変化した

コロナ禍となって最もわかりやすい変化が生じたのは、勤務スタイルではないでしょうか。
政府の要請により、多くの企業では出社の機会を最小限とし在宅勤務にシフトされたかと思います。
その結果、チャットツールや会議システムを活用したリモートワークが、ニューノーマルな働き方として定着しました。
毎日決まった時間に出社し、上司や同僚と直接顔を合わせて仕事をしていたコロナ禍前の昭和、平成の時代では、考えられなかった働き方です。
それほどに新型コロナウィルスの流行は、私たちの日常に大きな変化をもたらしました。
つまり従来の当たり前が当たり前でなくなった以上、付随するあらゆることは「今までと同じ」で済ませるわけにはいかなくなったのです。
それはストレスチェックの実施方法も、例外ではありません。
コロナ禍で働き方が変わり従来の悩みやストレスの種が解消されたとしても、従業員のメンタルヘルスが良好に保たれる保証はないでしょう。
その環境に応じて悩みやストレスの種は再び出てくるものです。
在宅勤務が日常となった従業員がどのようなストレスや悩みを抱え、それらがどのようにメンタルヘルスに影響をおよぼしているのか、企業は可能な限り適切に図る術を用意すべきなのです。

在宅勤務のメンタルヘルスへの作用は一概に断定できないことを認識する

コロナ禍の今、ストレスチェックの見直しを図る必要性は先述の通りですが、その際に理解しておきたいのは「外部情報はあくまでもひとつの参考にとどめよう」という点です。
一視点のみの情報を取り入れすぎると、自社にとって最善の選択ができなくなる可能性もあります。
たとえば株式会社ドクタートラスト ストレスチェック研究所の調査によると、コロナ禍前の令和元年度と比べてコロナ禍の令和2年度の方が、職場環境が改善したと答えた方が増加していることがわかっています。
在宅勤務によって多くの方が、落ち着いた環境の中で仕事に打ち込めている様子が垣間見えました。
しかしテレビやインターネット上では、自粛により「おうち時間」が増加することで、ストレスをためている方が多いという声も挙がっています。
転職メディアCareerStockが実施した調査では、コロナ禍で感じるストレスの1位が「外出できないこと」でした。
在宅の仕事環境に限っては然程ストレスを感じていない方でも、外出が制限されている状況に対してはストレスを感じている可能性もうかがえます。
前者の情報のみにフォーカスすると、在宅勤務が従業員のメンタルヘルスに与える影響は然程大きくないのではないかと思えますが、後者の情報を見ると果たしてそう断定して良いのか疑問が生まれます。
そのためストレスチェック見直しの際にはひとつの視点に固執せず、広い視野で情報を解釈する必要があるでしょう。

コロナ禍に万能なストレス対策などない!
いかに自社の唯一無二を見つけるかが重要

上記で紹介したふたつの調査結果からも予測できるように、コロナ禍においてすべてのビジネスパーソンに効果的なストレス対策などないというのが現実です。
置かれている状況や立場、元々のストレス耐性など一人ひとりすべて異なるだけでなく、同一人物でもちょっとしたタイミングの違いでストレスの感じ方は変化します。
さらにストレスとは潜在的に蓄積しているケースもあるため、本人すら認識が難しい場合もあるでしょう。
そのような条件下で、企業が従業員のストレス要因を突き止め適切な対策を講じるには、各々に寄り添えるカスタマイズしたサポートが必要となります。
極端な話、たとえ他社で効果が出なかったり方法が受け入れられなかったりするものでも、自社従業員に好影響がもたらされれば、それは自社にとって唯一無二の正解です。
自社に適した方法は自社の中でしか見つけられないということを念頭に置き、コロナ禍でのストレスチェックをどのように見直すべきか検討していきましょう。

コロナ禍でのストレスチェックで使える質問例

では実際に、コロナ禍でのストレスチェックで使える質問を紹介します。
あくまでも一例であるため、自社の状況や環境、従業員の特性などを加味した上で、カスタマイズを検討してください。

■新型コロナウィルス感染にかかわる質問
・新型コロナウィルスに恐怖を感じる
・インターネットやテレビの情報を見ると不安になる
・外出自粛でストレスがたまっている感覚がする
・自分の体調不良は新型コロナウィルスに感染したためではないかと気になることがある
・家族や身近な人に新型コロナウィルスを移してしまったらどうしようと考える
・新型コロナウィルスに感染したら人事評価に影響がおよんだり差別されたりするのではないかと気がかりだ
・キャリアや将来に対し何らかの目標や希望を持っている
・この先の人生に楽しいことが訪れる気がしない

■在宅勤務にかかわる質問
・上司とスムーズにコミュニケーションが取れている
・仕事に集中できている
・落ち着いた作業環境で仕事に取り組めている
・仕事とプライベートの区別がつきにくい
・同僚とコミュニケーションが取りづらく孤独を感じる
・モチベーションが見いだせない
・困ったときに相談できる同僚や上司がいる
・規則正しい生活ができている
・運動習慣を積極的に取り入れている
・肩こりや腰痛の症状がある

【ポイント】コロナ禍がメンタルヘルスにもたらす影響を考慮する

日本うつ病学会が公表した資料によると、新型コロナウィルスは以下の3段階の影響を私たちに及ぼすとされています。

第一の感染症(生物学的):ウイルス自体に引き起こされる疾病
第二の感染症(心理的):新型コロナウィルス感染への不安や恐怖
第三の感染症(社会的):不安や恐怖がもたらす差別や偏見

企業が実施するストレスチェックでは、第一の感染症を抑えることはできません。
しかし第二、第三の感染症は、ストレスチェックの実施で早期発見、対策が可能です。
そのためコロナ禍に最適化した質問は、上記の要素を考慮した上で検討するようにしましょう。

コロナ禍でのストレスチェックを見直すメリット

ストレスチェックを見直すメリットとは、コロナ禍で人事担当者が従業員へ行うべきメンタルヘルス対策の優先順位が見極めやすくなる点にあります。
従来のストレスチェックはたとえ高ストレス状態であることが判明しても、コロナ禍への関連の有無を突き止めるには至らない内容でした。
そこで従来のストレスチェックにコロナ禍ならではの質問を加えることで、コロナ禍における従業員のメンタルヘルス状態が顕在化されやすくなり、今この瞬間に起こすべきアクションの判断材料を手に入れられます。
日々従業員と懸命に向き合っている人事担当者であるほど、自らの体感覚に頼った判断をくだしがちかもしれません。
しかし先述のように、ストレスとは本人の自覚がないところで蓄積し、すべてが顕在化されるものではないのです。
そのことを念頭に置き、従業員のストレス状態を客観的数値として把握できるストレスチェックをうまく活用する道筋をつくりましょう。

コロナ禍のストレスチェックを最大限生かすには集団分析も忘れずに

コロナ禍における従業員のメンタルヘルス対策は、従来のストレスチェックに工夫を加えることからはじめましょう。
従業員の現状を知り必要な対策を講じるのが、メンタルヘルス対策の一歩です。
そして忘れてはならないのは、ストレスチェック実施後の集団分析です。
個人結果を企業が取得できないストレスチェックは、集団分析を実施してこそ効果を発揮します。
ストレスチェックで得たデータを有効活用する推進力を持ち、コロナ禍に打ち勝つ新たな自社の形を整えていくことをおすすめします。
不安なことがある際には、産業医に意見を仰ぎながら無理なく進めましょう。

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