睡眠改善から取り組む健康経営!生産性アップのポイントと事例を紹介

多くの日本人は、慢性的な睡眠不足に陥っている状況です。 14の諸外国を対象に行った調査では、日本が最も睡眠時間が短い国であることが証明されています。 そうは言っても睡眠は個人の問題であり、企業が関知すべき領域ではないと思う方もいるかもしれません。 しかし睡眠の質は、従業員の仕事のパフォーマンスに大きく影響をおよぼすものです。 企業が健康経営を推進し生産性を高める上で、欠かせない経営課題といっても過言ではないのです。 今回は従業員の睡眠不足により企業が抱えるリスクや、睡眠改善のために取り組めること、実例などを解説していきます。

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睡眠に不満がある成人は約70%!睡眠負債は深刻な社会問題

株式会社O:が実施した実態調査によると、睡眠に対して不満を感じているビジネスパーソンは約70%にのぼっています。
さらにその中で、睡眠不足による生産性の低下を実感する方が85%、メンタル不調を感じる方が87%に達しています。
つまり、多くの方が睡眠不足の蓄積により心身に悪影響をおよぼす、睡眠負債を抱えている状態です。
この現状から、睡眠管理を当事者の個人的な問題として片づけることが、企業にとっていかにリスクをはらんでいるのか想像できるはずです。
健康経営の重要性が叫ばれる現代において、企業として改善の手立てを打ち出し、従業員の睡眠管理に介入することは、避けて通れないミッションとも言えるでしょう。

睡眠の質は仕事の悩みで低下する

多くのビジネスパーソンが睡眠負債を抱える現状ですが、その要因として仕事が関係していることが判明しています。
厚生労働省が公表した「令和元年国民健康・栄養調査報告」によると、睡眠の妨げとなる要因として「仕事」と答えた方が最も多い状況です。
さらに、西川株式会社が実施した睡眠に関する調査では、睡眠負債を抱える方々はそうでない方々に比べて、業務内容や職場の人間関係、労働環境など、仕事に関する悩みを抱えていることも判明しています。
上記結果からも、仕事の悩みが睡眠の質を低下させる大きな原因のひとつであることは明白です。

放置すれば不眠症などの睡眠障害を発症する可能性

睡眠のトラブルを放置すれば、将来的に不眠症などの睡眠障害を発症する危険性が高まります。
さらに、睡眠障害が進行すれば、肉体や精神に大きなダメージを与えるリスクもあり、決して侮ることはできません。
「ただの寝不足」で片づけることが安易な判断であることを、理解しておく必要があります。

不眠症は心身が高いストレスに晒されることで発症

不眠症をはじめとした睡眠障害の原因は、心身が高いストレスに晒され、自律神経が乱れることで発症することが指摘されています。
そのため、仕事で悩みや不安を抱えていたり、長時間勤務で心身が疲弊したりする状態が続けば、睡眠不足を助長し、睡眠障害の発症リスクを引き上げます。

睡眠障害は生活習慣病を誘発する場合も

厚生労働省が公表した「健康づくりのための睡眠指針2014」(以下、指針)には、短時間睡眠や不眠症が、高血圧や循環器疾患、耐糖能異常などの生活習慣病のリスクを高めると記載されています。
そして睡眠トラブルの解消が、生活習慣病発症の予防となることも明記されています。
日本国民の約60%が生活習慣病によって死亡している事実からも、睡眠障害発症の抑えこみと改善は、重大な課題と言えるでしょう。

うつ病などメンタルヘルス不調のサインである可能性も

不眠症などの睡眠障害は、うつ病をはじめとしたメンタルヘルス不調のサインの場合があります。
指針によると、寝つきが悪い、途中で目が覚める、熟睡感が得られないなどの症状は、メンタルヘルス不調に伴って発生。さらに、うつ病発症者のうち、90%にのぼる方々が不眠状態にあると示されています。
上記のことからも、睡眠改善とメンタルヘルス対策は、切り離せない関係性であることがわかります。

従業員の睡眠管理を怠ることで企業が直面するリスク

睡眠の質が悪化することで、さまざまな問題が生じることは、先述までの内容で明白です。
では従業員の睡眠不足状態を放置することで、具体的に企業にはどのようなリスクが生じるのでしょうか。
従業員の安全配慮義務を課されている立場として、さらに自社の利益を守るためにも、企業による従業員の睡眠改善への取り組みは早急に着手すべき課題でしょう。

睡眠不足は企業全体の生産性低下を招き健康経営の実現を阻む

睡眠不足を抱える従業員が増加するほどに、企業全体の生産性低下は顕著となります。
経済産業省の調査によると、睡眠に何らかのリスクがある方とない方の損失コストを比較すると、リスクがある方が328,644円も損失が大きいという事実が示されています。
そのため、損失コストを抱えた従業員を多数、かつ長期的に保有することは、企業の成長を阻む大きな要因であることは否定できません。
そして、従業員の睡眠改善への取り組みを企業が躊躇することは、健康経営から反することにもなります。
「睡眠は個人の問題であり、その対策も個人の課題である」という捉え方では、企業の拡大成長から遠のく危険性があります。

労働災害を引き起こし自身や第三者が負傷する可能性

睡眠不足が慢性化するほどに、労働災害のリスクは高まります。
反射神経や判断能力が鈍るため、特に機械や車などを扱う職種の場合、思わぬ事故によりケガを負う危険があります。
ほかの従業員や無関係の第三者まで巻き込むことになれば、被害はさらに拡大する恐れがあるため、企業は労働災害のリスクを軽視してはなりません。
体調不良の際、自己申告を徹底するよう周知すると同時に、人事労務担当者や管理職は、一人ひとりの異変をいち早く察知するよう努めましょう。

体調不良による長期離脱や離職リスクが高まる

睡眠不足による不調者が増加すれば、休職や退職を余儀なくされる従業員が発生する可能性もあります。
そうなれば企業側は、サポート人材のアサインや新規人材採用、教育などのコストを負担しなければなりません。
症状の程度によっては、従業員のキャリアや人生そのものに大きな影響をおよぼすことも考えられるため、企業は一次予防を軽視せず徹底する必要があります。

健康と生産性を可視化しマネジメントする「健康リスク評価」とは
「健康リスク評価」の見える化で生産性向上を支援!「健康リスク評価」を東大WGでご担当された現:埼玉県立大学健康開発学科 准教授津野陽子先生 に解説をいただきました。
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睡眠の質を改善するために企業が取り組める効果的な対策

睡眠が起因となる上記のようなリスクを回避するためには、ことが起こる前に予防や対策を講じる必要があります。
企業が取り組める、効果的な対策を5つ紹介します。

睡眠に関するアンケートを実施し自社の実態把握と対策の構築

新たな取り組みを始める際には、まず実態を把握することが重要です。
そのため、従業員に睡眠に関するアンケート調査を実施しましょう。
客観的事実となる材料を揃えられなければ、自社の従業員にとって有効な対策が打ち出せません。
アンケート結果をもとに、自社の労働環境や従業員の特性などを加味しながら、現実的な対策を構築していきます。
プロジェクトの参加者である人事担当者自身に知識が不足している場合は、外部研修などの活用も視野に入れましょう。

経営層や管理職へ睡眠の重要性を意識付ける

取り組みを確実に遂行するためには、経営層や現場を取り仕切る管理職の理解が欠かせません。
企業の安定経営やス従業員のスムーズな業務遂行が睡眠とどのように紐づくのか、このまま放置するとどのようなリスクが生じるのかを伝え、理解と協力を促しましょう。
長く働くことが美徳という、一昔前の思想を持ち続けている管理職も見受けられる場合は、抜本的な改善が求められます。

従業員への睡眠指導を実施

先述までの下準備を整えた上で、実際に従業員への睡眠指導を実施します。
従業員の業務遂行に影響をおよぼすような大規模な取り組みよりも、日常に無理なく取り入れられるものから始める方が、従業員からの反発を回避し円滑に進められるでしょう。
健康管理システムを導入している企業は、パーソナルデータ管理機能として睡眠管理が搭載されている場合もあるので、活用するのもひとつの手です。
従業員の睡眠データを可視化、部署や事業場別に分析を行い、産業医などの専門家に相談しながら進めましょう。

睡眠に関する相談窓口を設置し従業員へ通知する

睡眠に関する悩みを抱えていても、どこで相談したら良いかわからず、放置している従業員もいるかもしれません。
そのため、自社内に睡眠に関する悩みを気兼ねなく相談できる窓口を設置するのも効果的でしょう。
産業医面談などの実施はもちろんですが、「睡眠相談窓口」と打ち出した方が、より従業員にわかりやすくなり利用を促せます。
また、イントラネットやメールなどにより、開設の通知も忘れずに行いましょう。

仮眠時間、スペースを設ける

海外の企業で導入されたのをきっかけに、日本でも仮眠制度を整備し、自社内に仮眠スペースを設置する企業が見受けられるようになりました。
積極的な健康経営に着手している三菱地所株式会社では、13~15時の間に30分間までの仮眠制度を導入したところ、従業員の業務パフォーマンスが向上したとの結果が出ています。
スペースの確保などの課題はありますが、従業員の睡眠不足解消に即効性が発揮される方法のひとつです。

睡眠改善プログラムで健康経営の推進に成功した企業の事例

ここからは、経済産業省の「健康経営銘柄2021」に選定された企業の中から、睡眠改善プログラムを実施している企業の実例を紹介します。
健康経営銘柄とは、健康経営を推進する企業の中で、特に優れた取り組みを行っている企業を選出するものです。

・化学系A社
睡眠の質の向上を目指し、快眠ストレッチ教室やセミナーを実施。
メタボリックシンドロームの該当者が0.5ポイント減少し、生活習慣病予防を後押しした。

・精密機器メーカー系B社
生産性向上を目指し、従業員の睡眠対策へ積極的に介入。
睡眠キャンペーンを打ち出し、睡眠状態の見える化や指導などを行ったところ、血圧やBMI数値が改善。
また、睡眠講話を導入し、従業員の根本的な意識改革にも着手。

・健康サービス系C社
健康保険組合と共同プロジェクトを実施し、全従業員の80%超が参加。
インセンティブや個別広報で従業員の健康リテラシー向上を目指したところ、睡眠、運動習慣、朝食摂取の領域で数値が回復。

従業員の睡眠管理、改善に取り組み健康経営と生産性向上の推進を

会社は「人」で成り立っている以上、従業員の心身の健康は企業が守らなければなりません。
しかし睡眠改善は、業務の範疇を超えた取り組みが必要です。
そのため、従業員の理解を得るために、取り組みの基盤をしっかりと構築し、ひとつずつステップを踏んだ上で実行することが重要です。
従業員の充実したキャリアの実現のためにも、企業の生産性向上の推進のためにも、1日も早い睡眠管理、改善を目指しましょう。

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