アンガーマネジメントとは?怒りのコントロールで健康経営や生産性向上を実現

上司や同僚、クライアントとのコミュニケーションの中で、イライラしたり怒りを感じたりという状況は、決して特別ではありません。 しかしあまりにも怒りをあらわにする従業員がいると、当事者だけでなく周囲の関係のない従業員にまで、悪影響が及ぶリスクが想定されます。 その対策として有効なのが、怒りのマネジメント技法である「アンガーマネジメント」の導入です。 今回は、アンガーマネジメントの概要や目的、企業が取り入れるメリットなどを解説していきます。

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アンガーマネジメントは怒りを自分でコントロールする手法

アンガーマネジメントとは、自らが感じた怒りの感情がマイナス方向に働かないよう、コントロールするマネジメント技法です。
アンガーマネジメントを習得すれば、自分の遣り様で精神状態が整えられるようになるため、人間関係全般を良好な状態に保てるようになります。
その結果、仕事や生活などで問題やトラブルを抱えたり、後悔する結果を招いたりするリスクが限りなく低くなります。

アンガーマネジメントは怒るべき場面で怒り、怒る必要のない場面で怒らない技術

アンガーマネジメントを端的に表現すると、「怒る必要のない場面で怒らない技術」とも言えます。
怒りという感情は、一見面倒で不要な感情だと捉えがちですが、私たちにとって欠かせない感情のひとつです。
怒りはときに、私たちを突き動かす原動力にもなり得ます。
怒りを感じることで、物事に対する思い入れの強さや慎重さを認識できるケースもあります。
しかし、怒りとの向き合い方や扱い方を誤るために、マイナスに作用してしまうのです。
怒って良い場面ではしっかりと怒りの感情を味わい、怒らなくて良い場面では怒りを別の感情に変換する。そのように「怒りを正しく扱う技術」を身につけることが、望ましい未来を手に入れる近道であり、心身の健康や自らを取り巻く人間関係を良好に保つ秘訣です。

アンガーマネジメントに興味を持ち学ぶ人は年々右肩上がり

アンガーマネジメントは、近年注目を浴びています。
日本アンガーマネジメント協会が主催する講座受講者の推移を見ると、平成24年に8,549名だった受講者は、令和元年には317,981名まで増加している状況です。
受講者の増加ぶりから、アンガーマネジメントの注目度やニーズの高さが伺えます。
さらに、アンガーマネジメント研修を企業向けに提供する民間企業も多数あることからも、ビジネスシーンで求められている状況が垣間見えます。

アンガーマネジメントは怒りの原因となる物事の捉え方を変える

アンガーマネジメントは、怒りの感情をすべて排除するものではありません。
物事に対する捉え方や感じ方をコントロールして、怒りをポジティブな感情に変換する技法です。
たとえば、「次回の会議で使用する資料を作成し上司に提出したら間違いを指摘された」という場合、Aさんは「何でミスをしてしまったのだろう」と自分に腹を立てネガティブに捉えたとしても、Bさんは「会議の本番前にミスを指摘してもらえて良かった」とポジティブに捉えるかもしれません。
また、そのときはネガティブに捉えてしまったAさんも、未来ではBさんのようにポジティブに捉えられる可能性もあります。
つまり感情とは、出来事そのものにもたらされるのではなく、出来事に対し自らがどのような意味付けをするかによって決まるものです。
アンガーマネジメントは、上記のBさんのようにポジティブな感情を得られるよう、物事の捉え方の訓練を行っていきます。
長い年月をかけて身に着いた思考の癖を矯正するには少々訓練が必要ですが、継続的に取り組むことで効果を実感できるでしょう。

怒りの感情を引き起こす原因

怒りという感情は、出来事に対する意味付けによって生み出されるものです。
つまり、どのような状況下にいてどのような精神状態であるかという、その方の背景が大きく影響します。
悩みがなく気持ちにゆとりがあるときには、ポジティブに捉えやすいでしょうが、悩みを抱え追いつめられている感覚を味わっているときには、ネガティブに捉えやすいでしょう。
背景は人それぞれ異なるため一概に言えませんが、今回は昨今の社会動向から考えられる怒りを引き起こす原因を挙げていきます。

新型コロナウイルスにより暮らしが大きく変化しストレスが蓄積されている

令和2年の新型コロナウイルスの流行を期に、仕事や生活全般に大きな変化が訪れています。
感染拡大予防のテレワーク、プライベートでも自粛生活を余儀なくされ、1日中自宅にいるという方も多くなりました。
仕事とプライベートの境目が曖昧になったことで、知らず知らずのうちにストレスが蓄積し、イライラして怒りっぽくなったと感じている方も多いようです。

常にスピード感を求められ急かされる時代背景

現代は、何事にもスピード感が求められます。
メールやチャットのレスポンスが少々遅れただけで、嫌悪感を募らせる方もいるはずです。
インターネットの発展により、私たちの生活が便利で豊かになりました。
しかし同時に、多くの方は「早いのが当たり前」という固定観念を持つことになり、イライラや怒りのきっかけとなっています。

価値観の多様化が浸透し個人主義となった

現代社会は従来に比べて、個人の価値観が尊重される風潮です。
企業というひとつの集団の中でも、より個のスタイルを主張、表現したいと考える方は多くなっています。
しかしそうは言っても、皆自分の意見や要求は通したいと思うものです。
そして、長年の経験で根付いた「~すべき」という固定観念を躊躇なく手放し、他人の異なる価値観をスムーズに受け入れられる方はそう多くありません。
自分の価値観を認めてもらえない、相手の価値観を受け入れられないというギャップは、イライラや怒りの大きな原因となります。

アンガーマネジメントを取り入れる企業のメリット

アンガーマネジメントは実践する本人はもちろんのこと、その周囲にも好影響を与えます。
そのため近年では、全社の取り組みとしてアンガーマネジメントを推進する企業も増えています。
アンガーマネジメントを取り入れる企業がどのようなメリットが享受できるのか、順番に見ていきましょう。

健康経営の促進につながる

アンガーマネジメントは、従業員の心身の健康を守り、健康経営の促進にもつながります。
先述したように、怒りは私たちが生きていく上で欠かせないものであり、完全に排除することはできません。
しかし、過度な怒りや長期に渡る怒りの感情を放置すれば、精神が疲弊するだけでなく、自律神経の乱れや循環器疾患、心血管疾患など身体的なリスクも高まります。
そのため、怒りの要因を作り出さないように訓練するアンガーマネジメントを実践し、心身にかかる負担を軽減することは、企業として重要な健康経営の一環です。
健康経営がうまく循環すれば、従業員は健やかな日常を過ごせるようになり、仕事においても高いパフォーマンスを発揮できるようになるでしょう。

パワハラなどのハラスメントを抑制できる

アンガーマネジメントの実践は、パワーハラスメントなどのハラスメントを抑制する効果も期待できます。
パワハラの原因として考えられるのは、上司が指導方法や部下との距離感を見誤っていることも挙げられますが、上司自身が自分の怒りをコントロールしきれず、無意識のうちに他人を利用してストレス発散しようとするケースも考えられます。
パワハラを行う上司の多くは、決して対象の部下を無意味に痛めつけたい訳ではないはずです。
上司が自分の感情と正しく付き合える術を身につければ、怒りのやり場に困りパワハラを行ってしまう事態は防げるでしょう。

コミュニケーションが円滑になり関係性が良好になる

アンガーマネジメントは、従業員同士のコミュニケーションを円滑にし、良好な関係性を構築します。
怒りの感情をコントロールできるようになれば、怒り任せの攻撃的な言動がおさえられるため、相手との関係性や周囲の雰囲気を損なうリスクが軽減します。
相手の状況や感情を思いやる精神的余裕が確保されるため、怒りはおさえながらも伝えるべき内容を適切な言葉で伝えられるようになるでしょう。

管理職のチームマネジメントや人材育成のクオリティが向上する

アンガーマネジメントが身に着けば、怒る以外に言動の選択肢が生まれ、適切なチームマネジメントや人材育成が実現します。
怒りを感じ取るポイントは人それぞれですが、なかには出来事に対して反射的に怒りを表現してしまう方や、為す術がない状況に追い込まれることで怒りを感じる方もいます。
これはチームマネジメントや人材育成の観点から見ても、望ましい状況ではありません。
アンガーマネジメントには、怒りを別の感情に変換するだけでなく、怒りを適切な表現、言葉で伝えるという目的も含まれています。
人の上に立つ管理職は、ときに部下を叱らなければならない場面もありますが、正しい伝え方を習得するだけで、チームマネジメントや人材育成のクオリティは向上していきます。

仕事を効率的に進められるようになり生産性が向上する

アンガーマネジメントを学ぶと、自分がどのようなシチュエーションで怒りを感じやすいのか、共通点やポイントを理解できるようになるはずです。
自分の怒りの癖が明確化されれば、先回りしてその事態を招かないよう回避することが可能となります。
そうすれば、仕事を妨げる怒りの言動やコミュニケーションがなくなるため、仕事の効率性や生産性アップを実現できるはずです。

アンガーマネジメントで自分の怒りを正しく認識、対処できる従業員を育成しましょう

従業員の怒り任せの言動は、当事者に良い結果をもたらさないだけでなく、周囲の従業員や企業全体にとっても決してプラスとはなりません。
怒りをコントロールできるようになれば、不要なトラブルを回避し、従業員の心身を守る健康経営の後押しにもなります。
従業員のビジネスパーソンとしての成長を促すためにも、企業が生産性を高め拡大成長するためにも、一人ひとりが自らの怒りの感情と真剣に向き合える機会を設けてみてはいかがでしょうか。

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