休職期間はどれくらい?決定方法と延長判断のポイント

休職とは、病気や怪我によって働けない従業員に対して、療養を目的として一定期間労働を免除する制度を指します。法律で決められた制度ではないため、自社で休職者が出たときに、休職期間をどの程度設けるべきか判断に悩む人事労務担当者の方も多いでしょう。

この記事では「休職期間」をテーマに、期間の決定方法や延長する場合の判断のポイントについて解説します。休職期間について正しく理解できれば、適切な休職者対応が可能となります。

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休職期間は就業規則で規定

前述したとおり休職期間に関する法律は特になく、多くの場合は企業の就業規則で規定されています。休職そのものが企業の任意規定であるため、休職期間をはじめとした休職のルールは企業によって異なります。しかし、療養が必要な従業員への対応をスムーズに行い、さらには労使間のトラブルを回避するためにも、あらかじめ自社で休職制度を設けて休職期間や復職条件などを就業規則に定めておくことが大切です。

また、休職は一定期間の療養によって従業員が心身を回復させて職場復帰することが目的であるため、必要に応じた休職期間の延長も考慮して休職制度の設計をしておくと良いでしょう。

一般的な休職期間はどれくらい?

日本の企業のうち、連続して1ヶ月以上従業員が私傷病時に利用できる休職制度を設けている企業は91.9%と大多数を占めています。

休職制度を設けている企業では、休職期間の上限は「6ヶ月超から1年未満まで」が22.3%で最も割合が高く、次いで「1年超から2年まで」が17.2%です。正社員規模で見ていくと、「6ヶ月以下」の割合は正社員規模が小さくなるほど高くなっており、規模の大きい企業ほど長期の休職期間を設けている傾向があります。

引用:(独立行政法人 労働政策研究・研修機構「メンタルヘルス、私傷病などの治療と職業生活の両立支援に関する調査」)

休職制度を設けている企業のうち、メンタルヘルスによる休職の期間を一般疾病と同じ扱いとしている企業の割合は88.9%と大多数を占めていました。また、休職期間の規定を勤続年数によって区分している企業は49.1%と半数を占めており、正社員規模が大きい企業ほど勤続年数による区分規定をしている傾向があります。

傷病手当金を受け取れる最大期間の1年6ヶ月を、休職可能期間に設定する企業も少なくありません。傷病手当金とは、健康保険法によって最長18ヶ月(1年6ヶ月)にわたり給料の約3分の2が保証される制度のことです。休職制度と傷病手当金の制度を併用することで休職者の生活を支援しやすくなり、83.2%と非常に多くの企業が傷病手当金の受給勧奨をしています。

企業によって休職期間の定め方は異なりますが、一般的に休職期間は症状が軽度な場合には1ヶ月程度、症状が重い場合には3ヶ月~半年間が妥当と考えられています。

休職期間の決定方法

休職期間は原則として就業規則に定められた期間とします。就業規則によって「休職期間○ヶ月、最大で○ヶ月まで延長可能」のように期間の幅が設けられている場合は、最短期間を最初の休職期間として定めるとよいでしょう。休職者の回復状況を確認しながら、延長の要否を主治医の診断書や産業医の意見をもとに判断します。

休職期間中は給料が支給されないことから、最初から休職期間を長く設定してしまうと休職者の経済的リスクが高くなるというデメリットがあります。そもそも休職制度の導入は企業の義務ではないため、休職期間中の従業員への給料の支払い義務も生じません。任意で給料の支払いを行うことも可能ですが、従業員の生活を守るためにも休職期間は慎重に設定する必要があります。

また、疾病種別や症状の重さ、勤続年数などによっても就業規則に定めるべき休職期間は変わってくるでしょう。そのため、「休職期間○ヶ月、最大で○ヶ月まで延長可能」のように休職期間の最短期間と最長期間を二段構えで設けておけば、休職者の病状回復度や企業の負担度に合わせた個別対応がしやすくなります。

休職期間満了後の対応方法

休職期間の満了が近づいたら企業は休職者に連絡を取り、その後の対応について検討します。休職期間満了後の対応について、想定されるパターンを見ていきましょう。

就労可能であれば復帰

復職するには、従業員が休職前の業務を問題なく遂行できる健康状態まで回復していることが前提です。そのため、休職期間が満了したら現時点での従業員の回復状況を確認し、復職できるかどうかを判断していきます。従業員本人の気持ちだけでなく主治医の診断書や産業医の面談による意見を参考にしながら、企業が復職の可否を総合的に判断しましょう。従業員の回復状況によっては作業内容の変更や勤務時間の調整を行うなど、リハビリ出勤を実施して復職支援をすることも大切です。

復帰が難しければ退職手続きを検討

休職期間満了までに従業員の病状が回復しない場合は職場復帰が難しいため、退職または解雇の手続きを検討します。トラブルを避けるためにも、退職または解雇とする場合はあらかじめ就業規則に明記しておくことが重要です。「休職前の業務を通常通りに行える健康状態まで回復していること」を復職の条件としたうえで、「休職期間満了までに職場復帰できない場合は、自然退職または解雇とする」というように、復帰が難しい場合の対応方法についても就業規則で定めておきましょう。

休職期間を延長する

当初予定していた休職期間よりもさらに療養に時間が必要な際は、就業規則に定められている上限の期間までは延長が可能です。ただし、休職期間を延長する場合は主治医によって「あと1ヶ月で回復可能」と診断されたケースをはじめ、休職期間の上限を大幅に超えずに復帰の目途が立っていることが重要です。回復時期が明確でない場合は、延長を認めないケースが一般的でしょう。

休職期間延長時の対応方法

従業員が休職期間の延長を申し出てきた場合、どのように可否を判断すれば良いのでしょうか。最後に、休職期間を延長する際の対応方法について解説します。

休職期間延長の判断ポイント

休職は法律による定めは特になく、企業ごとに定めている制度です。そのため、就業規則で定められた期間で対応することが原則であり、従業員から申し出があったからといって休業期間の延長を認める義務はありません。例外として延長を認めることはできますが、例外を一度でも認めてしまった場合、その後の休職対応時において不満の原因となると同時に公平な対応が難しくなるので、むやみに休職期間延長を認めないように注意しましょう。

ただし、明確な病状回復の目途がついている際には期間延長が認めやすくなります。身体的な疾患の場合、治療方針や病状によって回復にかかるおおよその期間が判明するため、期間延長の可否を判断しやすいでしょう。一方、メンタルヘルス疾患の場合は回復時期の判断が難しく、期間延長については慎重に判断する必要があります。主治医によって「あと1ヶ月で復帰できる」などと回復にかかる時期が明確に診断されていれば、必要に応じて期間延長を検討することも可能です。

休職期間延長時の注意点

期間延長の申し出を受理する場合は、どうして期間延長を認めたのかを文書で残すことが重要です。なぜ特例と認めたのかを口頭でのやりとりのみで済ませた場合、必要な情報が漏れてしまったり事実関係が曖昧になってしまったりするリスクがあります。休職期間延長に伴う条件や対応方法については休職者と丁寧に確認を行い、以下の内容を文書に残しましょう。

・休職期間の延長期間
・復職の条件
・延長期間満了後、復職できなかった場合の対応
・延長期間中における給料の支給の有無

特に、延長しても復職が難しかった場合の対応については従業員にしっかり説明することが大切です。退職または解雇となる可能性がある旨を説明したうえで、必ず休職者の理解と同意を得るようにしましょう。

休職期間延長を認めない場合の対応

休職期間の延長を認めない場合は、就業規則の規定に従って従業員への退職または解雇通知を行う必要があります。解雇の場合には労働基準法により、従業員に対して30日以上前の告知、または30日分の予告手当を支給しなければなりません。

従業員との間でトラブルになりやすいのが不当解雇の問題です。従業員から不当解雇として訴えられるリスクを避けるためにも、休職期間満了時までに復職できなかった場合の対応について就業規則に明記しておきましょう。

休職者へのフォローアップには健康管理システムがおすすめ 

企業としては、休職期間中に従業員がしっかり療養して職場復帰できるように支援することが大切です。休職期間中および復職後の従業員のフォローアップには、産業医や保健師との連携が欠かせません。また、休職者対応では従業員の健康情報、主治医の診断書や産業医の面談記録、ストレスチェックの結果など、多岐にわたる情報を管理・保管する必要があります。このような休職者対応の効率化に役立つのが、健康管理システム「WELSA」です。

WELSA」なら、ストレスチェック結果をはじめとしたデータの一元管理によって、従業員の健康情報を「見える化」できます。また、多職種連携も容易になるので休職者対応をスムーズに行えるでしょう。「WELSA」を導入し、ぜひ効果的・効率的な休職者対応や健康管理にお役立てください。

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