【令和3年度】心の健康づくり計画助成金で10万円受け取る方法
心の健康づくり計画の実行で受け取れる助成金があることをご存じでしょうか。
メンタルヘルスに関する基本的な対応を実行することで、1法人あたり一律10万円が助成される制度です。
近年の急激な働き方の変化に伴い、企業のメンタルヘルス対策は急務と言えます。
従業員を1人でも雇用している企業であれば申請対象に含まれるため、過去受給歴がない企業は詳細を確認していきましょう。
目次
「心の健康づくり計画助成金」は10万円が助成される制度
心の健康づくり計画の助成金とは、心の健康づくり計画を作成後、定められたメンタルヘルス対策を実行することにより、1法人につき1回限り10万円を助成する制度です。
昨今は、働き方改革の推進や、新型コロナウイルスの流行によるリモートワークの定着により、従来とは異なるメンタルヘルス課題が浮き彫りとなっています。
心の健康づくり計画の実行、ならびに助成金の受給は、自社のメンタルヘルス対策のさらなる加速にも役立てられることから、未申請の企業は利用しない手はありません。
「助成金申請の前に、心の健康づくり計画そのものの詳細を知りたい」という方は、以下の記事をご覧ください。
【令和3年】心の健康づくり計画の義務とは?ポイントや事例、助成金を解説
【裏話】社労士泣かせの助成金?企業に至れり尽くせりのメンタルヘルス対策を実現
ちなみにこの制度、社労士界隈では「社労士泣かせの助成金制度」のひとつとして知られているようです。
その理由は、社労士が有料で企業へ提供しているサービスを、心の健康づくり計画助成金であれば無料で受けられてしまうため。
心の健康づくり計画は、メンタルヘルス対策促進員からの助言や提案をもとに、自社に最適な計画を作成することになります。
さらに助成金を申請すれば、10万円も受け取れて、企業にとってメリットしかないと言っても過言ではありません。
一方、社労士に依頼する場合は、程度の差はあるにせよ、まったく費用がかからないということはあり得ません。
そのため社労士からは、「企業に認知されたくない助成金制度のひとつ」として認知されているのです。
そこで今回は、健康経営の概要や健康経営優良法人になるための申請方法などを解説します。
心の健康づくり計画助成金を受けるための7つの要件
心の健康づくり計画で助成金を受け取るためには、「独立行政法人労働者健康安全機構」が定める7つの要件を満たす必要があります。
要件は、事業場、取り組み、それぞれに対して、以下の通り定められています。
事業場の3つの要件
事業場に求められる要件は、以下の3つです。
・労働者を雇用している法人・個人事業主で、当該事業場に雇用されている労働者がいること。
・労働保険の適用事業場であること。(当機構では厚生労働省ホームページ掲載の「労働保険適用事業場検索」において該当した事業場を適用事業場とみなしています。)
・登記上の本店又は本社機能を有する事業場であること。(個人事業主については、開業届の届出がされている事業場であること。)
引用:令和3年度版「心の健康づくり計画助成金」の手引
取り組みの4つの要件
取り組みは、以下4つすべてを実施することが求められます。
・メンタルヘルス対策促進員の訪問を受け、メンタルヘルス対策促進員の助言・支援に基づき、令和2年度以降、新たに「心の健康づくり計画」を作成していること。
・作成した「心の健康づくり計画」を労働者に周知していること。
・「心の健康づくり計画」に基づき具体的なメンタルヘルス対策を実施していること。
・メンタルヘルス対策促進員から、「心の健康づくり計画」に基づき具体的なメンタルヘルス対策が実施されたことの確認を受けていること。
引用:令和3年度版「心の健康づくり計画助成金」の手引
心の健康づくり計画助成金の申請~受給までの流れ
心の健康づくり計画助成金申請の肝となるのは、「メンタルヘルス対策促進員」との連携です。
たとえ心の健康づくり計画を作成し対策を実施しても、メンタルヘルス対策促進員の助言や支援を受けなければ、助成金支給対象にはならないため、注意しましょう。
1. 各都道府県の産業保健総合支援センターへ、メンタルヘルス対策促進員の訪問支援を申し込む
2. メンタルヘルス対策促進員から心の健康づくり計画作成に関する助言や支援を受ける
3. 上記を基に、心の健康づくり計画を作成する
4. 作成した心の健康づくり計画を全社へ周知する
5. メンタルヘルス対策促進員より対策実施の確認を受ける
6.必要書類を準備し助成金申請を行う
7. 労働者健康安全機構から助成金支給通知が到着、その後助成金が着金
提出書類・添付書類
提出書類ならびに添付書類については、以下の通りです。
事業場によって不要なものもあるので、詳細は「心の健康づくり計画助成金の手引」をご確認ください。
■提出書類
・「心の健康づくり計画助成金支給申請書」(様式第1号)
■添付書類
・事業場の概要が確認できる書類
・メンタルヘルス対策促進員企業訪問報告書(様式第2号)
・心の健康づくり計画
・事業場の労働保険概算・確定保険料申告書(写)
・労働保険料一括納付に係る証明書【該当事業場のみ】
・振込先の通帳(写)
・支給要件確認申立書(様式第3号)
・心の健康づくり計画助成金支給申請チェックリスト兼同意書(様式第 4 号)
・事業場宛ての返信用封筒(長形3号封筒に84円切手貼付)
引用:令和3年度版「心の健康づくり計画助成金」の手引
「申請が面倒」という理由で心の健康づくり計画助成金を見過ごしてはならない最大の理由
法人には、あらゆる手続きが付きまとうものです。
しかしそれらは、言ってしまえば担当者にとって「面倒」な作業でしかありません。
特に人事労務担当者は、ただでさえ書類仕事が多くあります。
義務が課されているものは除き、労力に見合う成果が確約されていない案件に関しては、「できることならやり過ごしたい」と、密かに思っている方もいるかもしれません。
しかし今回の「心の健康づくり計画助成金」に関しては、労力に見合ったメリットを十分に享受できるものだとお伝えできます。
最も大きな理由は、メンタルヘルス対策促進の確実な足がかりとなることです。
どの企業も多かれ少なかれ、メンタルヘルス関連の課題を抱えています。
しかしながら、それらの目に見えた改善、根本的な解決には、相応の時間と金銭的な投資を要することから、推進を躊躇する企業もいらっしゃることでしょう。
その点、心の健康づくり計画助成金は、無料で専門家の助言や提案が受けられて、現実的なレベルに落とし込んだ計画を作成できるのです。
このような機会を享受できるのは、心の健康づくり計画助成金を活用する以外そうありません。
助成金の10万円は、あくまでも一過性のものです。
優秀な人材の長期保有の実現や、ステークホルダーへの企業イメージのアピールなど、中長期視点で会社に利益をもたらすメリットが、心の健康づくり計画助成金には多数存在します。
令和3年度の申請締め切りは令和4年6月30日
令和3年度分の心の健康づくり計画助成金の申請期間は、令和4年6月30日まで(当日消印有効)となります。
なお、令和3年度分に該当するのは、令和3年4月1日~令和4年3月31日の間に、心の健康づくり計画に関する取り組みを実施した企業です。
令和4年4月1日以降に取り組みを実施した場合は、令和4年度の申請期間に受付されることになりますので、認識しておきましょう。