健康診断結果の保存期間と取扱い方法・効率化のポイントを解説

健康診断はすべての企業に実施が義務付けられています。健康診断の実施とともに企業に求められるのが、健康診断結果の適正な取扱いです。しかし、健康診断結果の関連業務には手間のかかる業務や注意点も多く、負担に感じている人事労務担当者の方も多いのではないでしょうか。

今回の記事では「健康診断結果」をテーマに、保存期間や取扱い方法、業務効率化のポイントを解説します。対応方法や効率化のポイントをしっかり押さえて、適切な管理業務に役立てましょう。

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健康診断結果の取扱いの重要性

個人情報保護法の改正により、健康診断結果は「要配慮個人情報」として定義されています。要配慮個人情報は本人の同意なく情報を取得・第三者へ提供することはできませんが、健康診断においては法定項目の健康診断結果のみ取得・第三者へ提供することが認められています。

また、以下のような場合には、健康情報の取扱いについては旧留意事項通達における取扱いと同様に取得及び第三者提供に際して、本人の同意は必要ない。

(a)事業者が、法令に基づき、労働者の健康診断の結果を取得又は第三者に提供する場合

引用:(厚生労働省「事業場における労働者の健康情報等の取扱規程を策定するための手引き」)

従業員のプライバシーを守るためにも、健康診断結果の取扱いには厳重に注意が必要です。健康診断結果は産業医や保健スタッフ、衛生管理者など閲覧できる人を限定して、従業員の健康の保護・管理に役立てましょう。

また労働安全衛生法第66条によって、企業は健康診断実施後、所見の有無に関わらず健康診断を受診した従業員に対して遅延なく結果を通知する必要があります。有所見者については産業医の意見を聞き、就業上の措置が必要と判断された場合にはその措置を実施しなければなりません。

健康情報を産業医や保健師など産業保健業務従事者以外の者が取り扱う場合、就業上の措置を講じるうえで必要最小限のものになるようにすることが重要です。健康情報の内容を適切に加工したうえで提供するなどして、診断名、検査値、具体的な愁訴の内容など加工前の情報や詳細な医学的情報は取り扱わせないように注意してください。

健康診断結果の保存・管理ルール

健康診断結果は適切に保存・管理する必要があります。健康診断結果の管理業務において、どのような点に留意すべきかを解説していきます。

健康診断結果の保存期間

労働安全衛生法第66条の3によって、健康診断結果の記録の保存が義務付けられています。保存の際は、従業員の同意が必要となります。健康診断ごとの保存期間は、以下の通りです。

健康診断の種類保存期間
一般健康診断
有機溶剤健康診断
鉛健康診断
四アルキル鉛健康診断
特定化学物質健康診断
高気圧業務健康診断
5年間
じん肺健康診断7年間
特定管理物質に     かかる特殊健康診断電離放射線健康診断除染等電離放射線健康診断30年間
石綿健康診断40年間

二次健康診断や再検査の結果については、法律による保存義務はありません。しかし、継続的に従業員の健康管理を行うためにも保存しておくことが望ましいでしょう。

健康診断結果の保存内容

労働安全衛生法によって、健康診断は法定項目が定められています。そのため法定項目の検査結果は保存しなければなりません。定期健康診断で定められている法定項目は、以下の11つです。

・既往歴及び業務歴の調査

・自覚症状及び他覚症状の有無の検査

・身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査

・胸部エックス線検査及び喀痰検査

・血圧の測定

・貧血検査(血色素量及び赤血球数)

・肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)

・血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、血清トリグリセライド)

・血糖検査

・尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)

・心電図検査

法定外項目である人間ドックやがん検診などの検査結果は、会社への結果報告義務や保存義務はありません。法定外項目の検査結果については要配慮個人情報として取り扱う必要があるため、会社側で法定外項目の検査結果を把握したい場合には本人の同意を得ることが重要です。

健康診断結果の保存方法

健康診断結果の保存方法に決まりはなく、書面または書面のコピーでも問題ありません。また、2005年の法改正と省令によって、健康診断結果の電子データ保存も可能になりました。

参考:(厚生労働省「厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令について」)

以前は医師の押印が必要でしたが、2020年の労働安全衛生法の改正によって医師による押印が不要となりました。そのため、現在では電子データでの保存も容易に行えるようになっています。

参考:(厚生労働省「健康診断個人票や定期健康診断結果報告書等について、医師等の押印等が不要となります。」)

健康診断結果の保存対象者

健康診断結果の保存対象者は健康診断を受診した従業員全員であり、退職者も含まれます。退職者の健康情報を取り扱う場合でも、雇用している従業員と同様の対応が求められており、前述の労働安全衛生法に基づいた健康診断結果の保存期間が適用されます。

参考:(厚生労働省「事業場における労働者の健康情報等の取扱規程を策定するための手引き」)

健康診断結果は電子データによる保存が望ましい     

健康診断結果は書面・電子データいずれの方法でも保存が可能です。しかし、紙での保存の場合は回収作業・ファイリング作業の手間や保管場所の確保など、人事労務担当者にとって負担となる業務が多い点が課題として挙げられるでしょう。一方、電子データでの保存には以下のようなメリットがあります。

・紙によるファイリング作業の手間や保管場所を削減

・データを一元管理できるため、産業医や保健師との情報連携がスムーズ

・経年データを確認できるため、健康リスクの早期発見や予測・分析が容易になる

電子データで保存することにより、健康診断結果の関連業務の効率化が実現可能です。また、厚生労働省はできる限り長期間     にわたって健康診断データを参照できるように推奨しており、経年データを使用することでより効果的・効率的な健康管理や保健指導の実施にも役立ちます。

5-4 健診結果の保存と活用について
健診データを保有すべき期間は 5年間であるが、保険者や被保険者・被扶養者は、できる限り長期間、健診データを保存し参照できるようにすることが望ましい。


引用:(厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム【平成30年度版】」)

保存期間が5年間と長く二次健康診断結果の保存は義務ではないものの、「保存することが望ましい」とされていることを踏まえると、電子データのほうが管理もしやすく従業員の健康管理を行ううえで非常に便利です。

健康診断結果の保存・管理は健康管理システムの活用がおすすめ

健康診断結果の保存・管理には健康管理システムが役立ちます。健康管理システム「WELSA」なら、健康診断結果だけでなくストレスチェックの結果も併せて一元管理可能です。そのため、従業員の心身における健康状態の「見える化」によって、健康課題の早期発見、スムーズな多職種連携にも役立ちます。

また、現在紙で保存されている健康診断結果を電子化したいという場合にも、「WELSA」の電子化サポートを活用すれば負担削減につながります。効果的・効率的な健康管理を実現するなら、健康管理「WELSA」の導入がおすすめです。

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