健康診断の再検査を受けない従業員に対するフォローと業務効率化の方法

女性の医療スタッフが病院で働いているところ

人事労務担当者にとって、健康診断業務は一筋縄ではいかないヘビーな業務のひとつです。一次健康診断の結果、所見ありと診断され、かつ再検査を受けたがらない従業員に対する勧奨は、特に労力がかかるポイントでもあります。

そこで今回は、健康診断の再検査を拒む従業員に対して、企業が行うべき対応やフォロー、それに付随して準備したいシステムについて解説します。

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【おさらい】健康診断後の従業員に行う3パターンの対応

健康診断実施後、人事労務担当者がどのような対応を行うべきかは、従業員に所見があるか否かにより異なります。今一度、それぞれの対応内容を整理しておきましょう。

【共通】従業員には速やかに結果を通知

健康診断結果は、検診担当者が受領し確認を行います。その後、遅延することなく従業員本人へ通知することが定められているため、特に別拠点にいる従業員には迅速に対応しましょう。

特別な所見が見当たらない従業員に対しては、結果通知をもって対応は完了です。一方、所見が見つかった従業員には、以下2つのいずれかの対応を行う形になります。

【所見あり①】医師の意見聴取と事後措置の実施

所見が発見された場合は、健康診断実施日から3ヵ月以内に、医師へ就業に関する意見聴取を実施しなければなりません。基本的には産業医に依頼しますが、従業員50人未満で産業医を選任していない事業場は、地域産業保健センターなどを活用するのが一般的です。

意見聴取の際は、「通常勤務」「就業制限」「要休業」の就業区分に則った形で判断を仰ぎます。加えて、就業場所や作業環境、就業時間などに関して必要な措置の確認も必要です。

その後、従業員本人からの意見聴取、衛生委員会での報告を経て、実際に事後措置を進めていきます。

【所見あり②】医師、保健師による保健指導の実施

所見がある従業員の中でも、特に健康保持が必要と判断される場合は、医師や保健師による保健指導を実施します。ただし努力義務のため、企業としては従業員に参加を促すことしかできません。

自社に産業医や保健師がいる場合には、従業員の現状や自社の実情を踏まえた助言が可能となります。そのため、より従業員に寄り添った指導の実施が期待できます。

意見聴取と同様、産業医や保健師が不在の場合は、地域産業保健センターの医師への依頼が可能です。

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健康診断の所見がある従業員に再検査の強制はできない

先述のように、所見が見られた従業員に対しては、その程度に応じて適切な対応が求められます。

なかには再検査が必要とされる従業員も一定数いることが想定されますが、企業として受診の強制はできません。一次健康診断の実施は義務である一方、再検査に関してはあくまでも努力義務止まりであり、従業員側にも受診義務が課されていないためです。

したがって、「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」に則り、強制を伴わない形の受診勧奨を行うのが最も適した形です。

健康診断の再検査を受けない従業員を見過ごすのは危険

しかしそうは言っても、何の対策も講じず、従業員の健康状態を見過ごすのは大変危険な行為です。

従業員の健康状況を把握しながら従来の業務を継続させた後、万が一体調に悪影響がおよんだ場合には、企業の安全配慮義務違反を指摘され、損害賠償請求が生じる恐れがあります。そうなれば、企業の社会的信用は著しく低下するでしょう。

もちろん企業側の都合だけではなく、症状によっては従業員の将来に多大な影響をおよぼすリスクも高まります。

健康診断の受診は従業員に課された義務でありながら、各々の抱える事情により受診を拒む従業員は少なくありません。ましてや再検査となれば、より一層腰が重くなる従業員もいるでしょう。

しかし、企業の立場的にも、従業員の将来を考えても、健康診断の再検査を受けない従業員を見過ごすことなく、何らかのフォローを行うべきです。

健康診断の再検査を受けない従業員にできる3つのフォロー

ビジネスマンが会議しているところ

健康診断の再検査を受けない従業員には、状況に応じたフォローが必要です。場当たり的な対応だけではなく、日頃の取り組みが物を言うケースもあるため、ポイントをおさえておきましょう。

「労災保険二次健康診断等給付」について説明し受診勧奨を行う

健康診断の再検査にかかる費用は、自己負担を基本とする企業が多く見受けられます。しかし、厚生労働省が創設した「労災保険二次健康診断等給付」に該当する場合は、再検査に当たる二次健康診断や特定保健指導を無料で受診可能です。

給付要件や内容に関しては、厚生労働省のホームページをご覧ください。

厚生労働省 労災保険二次健康診断等給付

条件に該当する場合に限られますが、再検査にかかる費用が懸念され受診に踏み切れない従業員は、本給付により足かせとなる要因がなくなるはずです。給付の仕組みをていねいに案内することで受診勧奨を行い、無理なく再検査の受診に導きましょう。

再検査を受診しやすい職場環境づくりに取り組む

管理職先導のもと、職場の良好な雰囲気や円滑なチーム運営を実現することも、再検査の受診に向けたフォローにつながります。

日常的にチーム内でコミュニケーションが少なく関係性が希薄だったり、どことなく険悪な雰囲気が漂っていたりすれば、再検査の少しの間でも不在にすることに躊躇する従業員もいるかもしれません。

そのため、常日頃から密なコミュニケーションを重ね、メンバー同士助け合えるチームを構築することが重要です。

周囲からの評価にとらわれず、従業員が自分の身体を大切に扱える環境を提供できるよう、人事労務面からのサポートも講じていきましょう。

日頃から健康に関する教育や情報共有を積極的に行う

健康に関する教育を実施したり、産業医協力のもと健康情報を共有したりという活動を積極的に行うことも、再検査受診を促すフォローとして有効です。

最も重要であり本質となるのは、従業員自身に健康管理の必要性を実感してもらうことです。結局のところ、「いかに健康であることが貴重で幸せなことであるか」が腹落ちしていなければ、自覚症状がなかったり限りなく軽度だったりする自身の身体に、緊急性を持って自主的に向き合うことは難しいケースもあるかもしれません。

そのため、企業側から積極的に情報を発信することで、健康に興味を持ち向き合う機会を提供することが有効です。

あらかじめ就業規則に規定しておくことでリスクを最小限に

あらゆる手を尽くしても、なかには絶対的に再検査を受診しない従業員が生じる可能性があります。

そのような事態に備え、就業規則に再検査に関する事項を盛り込んでおくことで、企業が受けるリスクを最小限におさえられるでしょう。具体的には、「会社が必要と判断した際には、再検査を命じる」といった文言の追加が挙げられます。

万が一それでも再検査を受診しない場合は、労務提供の受領拒否を行うのが相応です。

健康診断の再検査にかかる人事担当者の工数は健康管理システムで削減可能

健康診断の再検査にまつわる課題として、従業員が再検査に応じるか否かだけでなく、運用面における労力も見過ごせません。再検査対象の従業員が多くなるほど、事務処理を担う人事労務担当者にかかる労力は膨大なものになります。

そこでおすすめしたいのが、健康情報の一元管理を実現する、健康管理システム「WELSA」の導入です。

WELSAでは、一人ひとりの検診ステータスが自動でタグ付けできるため、管理の煩わしさやミスもなくなります。先述した「労災保険二次健康診断等給付」にも含まれる「特定保健指導」の対象者も、自動判定し分類が可能です。

健康管理システムの導入で人事労務担当者の事務作業にかかる工数が軽減されれば、直接従業員と向き合い、より細やかなフォローを行えます。

紙ベースの業務管理から脱却し、限りある人的リソースを効率的に使っていきましょう。

健康診断の再検査を適切にフォローし従業員の健康を守りましょう

健康診断の再検査通知を受け取ることは、誰もが少なからず恐怖や不安を覚えるものです。そのため企業は、従業員の状況や立場、心境に寄り添い、再検査受診に導く適切なフォローを施す必要があります。

職場風土や従業員の特性により最適なアプローチは変わるため、多角的な視点で取り組んでいきましょう。そして、健康診断の再検査対象者を生まないための一次予防についても、同時に強化していきましょう。

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