健康経営アドバイザーとは?役割、資格取得と難易度
健康経営アドバイザーとは、健康経営を推進する役割を持つ人材です。健康経営は経営面での発展に期待でき、取り組む企業が年々増えてきています。健康経営アドバイザーの資格を持つことで自分のスキルをアピールでき、社内で自分の仕事の幅を広げたり、社外では自社サービスに付加価値をつけたりなどさまざまな効果が期待できます。
この記事ではそんな健康経営アドバイザーの資格取得に関わる情報を徹底的にまとめました。資格取得を目指す方に向け、その役割から申し込み方法、試験の難易度まで解説しています。
目次
健康経営アドバイザーとは
健康経営アドバイザーとは健康経営の推進者として、そのメリットや目的を伝えて実施のきっかけを作る人材です。制度の運営は東京商工会議所が行っており、2016年に誕生しました。初年度の受講者は7,000人程度でしたが、2017年から「e-learning」研修に切り替わったことで、受講者数が一気に増加。今では延べ3万人以上の受講実績がある注目の資格です。
1-1.健康経営アドバイザーの役割と仕事内容
健康経営アドバイザーの役割は健康経営の普及と、その取り組みの推進です。健康経営に興味のある企業に向けて、必要な情報を提供したり、自社内での取り組みをサポートしたりして、健康経営を実施するきっかけを与える役割があります。
具体的には、たとえば社内で健康づくり担当者として活躍することができます。健康経営を進めるには、健康づくり担当者の設置が必要です。健康づくり担当者は健康に関する施策を考えたり、実行して結果を分析したりなどの仕事を行います。健康経営アドバイザーは、健康経営を実践する際のポイントや、ほかの企業の取り組み事例などの知識を持っているので、非常に頼もしい存在となります。
ほかに、健康経営を実施したい企業に向けて、健康経営について教える健康経営コンサルタントとしても活躍できます。企業の実施例やメリットを伝えて健康経営に前向きになってもらう、場合によっては課題解決のヒントとなるようなセミナーを紹介して、健康経営の推進をサポートします。
1-2.健康経営アドバイザーの資格を取得するメリット
健康経営に着目し、実践する企業は年々増加しており、健康経営アドバイザーの活躍する場が増えつつあります。
令和4年年3月15日に経済産業省が公表したデータによると、令和3年度に健康経営度調査に回答したのは2,869法人で過去最多でした。健康経営度調査は健康経営に取り組む企業の実態を調べるために、経済産業省が実施している調査です。平成26年のスタート時から、約5.8倍にも回答数が増えていることがわかっています。
しかし一方で経済産業省の「企業の『健康経営』ガイドブック」によると、現在企業が取り組んでいる健康施策は労働安全衛生法を意識したものが中心となり、積極的な健康投資に至っていないと言います。その原因のひとつに自社の健康経営を正確に評価できていないことが挙げられています。
健康経営を定着させるには、ノウハウや他企業の取り組み事例、継続して運用するための方法などあらゆる情報が必要です。その情報を伝え健康経営を前向きにとらえてもらい、正しい健康経営へ導く存在として、健康経営アドバイザーは活躍する機会が大いにあると考えられます。
参考:令和3年度健康経営度調査に基づく2,000社分の評価結果を公開しました |METI/経済産業省、必須の企業戦略としての「健康経営」 8割|経済産業省
健康経営アドバイザーの資格を取得するには?
東京商工会議所で開催されている「e-learning」研修を受講する必要があります。ここでは受験資格や試験内容など、資格取得に関する情報をまとめて解説していきます。
2-1.健康経営アドバイザーの受験資格
健康経営アドバイザーは受験資格に関する細かい規定がありません。申し込みから研修の受講、受験まですべて在宅でできるため、場所や時間を問わず誰でもチャレンジしやすい傾向にあります。受講料金は税込8,800円です。
ただし健康経営アドバイザーの認定期間は2年間なので、その都度更新が必要となります。更新するには、資格を取得するときと同様に研修を受講してください。
この研修内容は、じつは2年ごとにリニューアルされています。これまで健康経営優良法人認定制度に関連する内容にブラッシュアップされたり、SDGsの内容が追加されたりなど、時代に合わせて変化してきました。受講することで、新たな知識を得ることにもつながるでしょう。
2-2.健康経営アドバイザーの試験内容と難易度
健康経営アドバイザーの資格は動画による研修を受け、その後の試験(効果測定)で基準を満たした者が取得できます。
事前に送付されるテキストや受講動画から出題されるため、しっかり勉強すれば難易度はそこまで高くないと考えられるでしょう。また問題数も10問なので、多くはないと言えます。合格基準は正答率70%です。
効果測定の結果は、試験終了後に即時判定されます。不合格の場合は期間内であれば何度でも無料で受験可能な点も、難易度を下げている要因と考えられます。受験可能期間は、受講料金の支払日から120日間となります。
健康経営アドバイザーの資格取得までの流れ
健康経営アドバイザーの申し込みから、資格取得までの流れは以下のとおりです。
【健康経営アドバイザーの資格取得の流れ】
① | 受験者登録 | 受験者専用サイトで、「新規登録」ボタンにアクセスし、マイページを作成する。ログインIDとパスワードを登録。 |
② | 申込と入金 | マイページから「健康経営アドバイザー申し込みへ」とクリック。受験規約に同意し、申込内容を入力。支払い方法を選択する。【支払い方法】・クレジットカード・コンビニ決済・Pay-easy決済 |
③ | 動画視聴 | 支払い完了後、マイページ内で動画の視聴が可能になる。支払い後7日以内に発送されるテキストも参考にしながら、試験対策を行う。 |
④ | 効果測定の受験 | すべての動画を視聴したら、効果測定を受ける。マイページの「効果測定を受験する」のボタンから、受験が可能。 |
⑤ | 修了証の出力 | 合格したら、マイページの「結果表示」ボタンから、認定証をダウンロード。 |
健康経営エキスパートアドバイザーとは
健康経営エキスパートアドバイザーとは、健康経営アドバイザーの上位資格で、2018年にスタートしました。研修を受けることで、企業の課題を分析できる力を養え、より具体的な改善策の提案ができるようになります。また、健康づくりに関する計画の立案や、PDCAを回して企業へ健康経営の定着を支援するなど、関われる業務の幅も広がります。
そのため健康経営エキスパートアドバイザーは関連する法規の知識が必要だったり、企業の課題を正確に把握したりなど、スキルの高さが求められる資格です。
4-1.健康経営エキスパートアドバイザーの受験資格
健康経営エキスパートアドバイザーは受験するには、以下の2つの条件をどちらも満たしている必要があります。
- 健康経営アドバイザーの資格を持っている方
- 特定の資格を持っている方、もしくは実務経験がある方
2に関しては以下を確認してください。
【健康経営エキスパートアドバイザーの受験資格】
所定の有資格者 | 所定の実務経験 |
①経営/労務に関する資格・中小企業診断士・社会保険労務士 ②医療/保険に関する資格・医師・保健師、看護師・労働衛生コンサルタント・管理栄養士・健康運動指導士 | 以下、いずれかに1年以上携わっていること①「健康」「医療」「保健」に関する実務②「経営」に関する実務③「人事労務」に関する実務④「健康経営」に関する実務 |
4-2.資格取得までの流れ
健康経営エキスパートアドバイザーの申し込みから、資格取得までの流れは以下のとおりです。
【健康経営エキスパートアドバイザー資格取得の流れ】
① | 健康経営アドバイザーの研修を受講&申し込み | 「健康経営倶楽部」より健康経営アドバイザー研修に申し込み、同研修を受講する。その後マイページから「健康経営エキスパートアドバイザー研修」に申し込み。 |
② | 知識確認テスト | マイページより「知識確認テスト」に申し込み。申し込み後に送られてきた研修教材で学習し、試験会場で知識確認テストを受験。 |
③ | ワークショップ参加 | 知識確認テストに合格したら、ワークショップに参加し、ヒアリングスキルや提案力を学ぶ。 |
④ | 効果測定 | 「健康経営診断報告書」を作成し、事務局へ提出。 |
⑤ | 修了証の出力 | 合格したら、マイページの「結果表示」ボタンから、認定証をダウンロード。 |
受験料は知識確認テストが税込7,700円(テキスト発送なしの場合は5,500円)、ワークショップが税込22,000円となります。
4-3.健康経営エキスパートアドバイザーの試験内容と難易度
知識確認テストは、おおむね8割以上の正答率がボーダーラインとなります。50問あるので、40問以上正解する必要があるということです。
ワークショップ後の効果測定では、8割以上の正答率が合格ラインです。企業の事例をもとにして、実際に「健康経営診断報告書」を作成するので、かなり実践的な内容になっています。健康経営アドバイザーより試験の難易度は高めと言えるでしょう。
需要の高まりが予想される健康経営アドバイザー
健康経営度調査の回答数の推移からも、健康経営に興味を持つ企業が増えていることがわかりますが、その取り組みには未だ課題が多いのも事実です。
健康経営を実現させるには、健康施策の実践と分析を繰り返して取り組みを定着させていくことが重要となります。正しく運用していくためには、健康経営アドバイザーの知識やサポートが必要不可欠です。需要の高まりに備えて資格を取得し、スキルアップやキャリアアップに役立ててみてはいかがでしょうか。