衛生委員会を解説!進め方のポイントやオンライン開催の注意点とは

女性がノートパソコンを見ながら会話しているところ

従業員が長く安定的に働ける職場環境づくりは、企業の適切な衛生管理がひとつの重要なポイントです。そのため、一定規模に到達した事業場には、労働安全衛生法により衛生委員会の設置が義務づけられています。

そこで今回は、衛生委員会の設置義務から進め方のポイント、コロナ禍の影響で昨今注目されているオンライン開催の注意点について解説します。

衛生委員会とは

衛生委員会とは、従業員の健康増進や維持に関して調査を行ったり、企業として取るべき対策を議論したりする場を指します。

衛生委員会が果たすべき主な目的は、従業員が健康不安を抱え続けることなく、安心して仕事に打ち込める職場環境の整備です。あらかじめ選出された各委員により、継続的に取り組むべき課題や季節性のトピック、規定関連の作成、その他自社の現状から必要と思われる事柄を取り扱います。

50人以上の事業場に月1度以上の開催が義務づけられている

労働安全衛生法に基づき、常時50人以上の従業員が働く事業場には、衛生委員会の設置が義務として課されます。したがって、「産業医や衛生管理者の設置が必要な事業場は、もれなく衛生委員会の設置も必要」と認識しておきましょう。なお、業種の縛りはなく、すべての企業に適用される形です。

開催頻度に関しては、月に1度以上、原則として業務時間内での実施とされています。従業員の健康増進、保持を目的とした衛生委員会で、体調に不具合をきたす委員を出さないよう留意しましょう。

業種・企業規模によっては安全委員会の設置も課される

以下に該当する事業所は、衛生委員会とともに安全委員会の設置も必要です。

■常時雇用する従業員数が50人以上
林業、鉱業、建設業、製造業の一部(木材・木製品製造業、化学工業、鉄鋼業、金属製品製造業、輸送用機械器具製造業)、運送業の一部(道路貨物運送業、港湾運送業)、自動車整備業、機械修理業、清掃業

■常時雇用する従業員数が100人以上
製造業(上記以外)、運送業(上記以外)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器等小売業、 燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業

引用:厚生労働省 安全委員会、衛生委員会を設置しなければならない事業場

上記安全委員会の設置義務が課された事業場は、衛生委員会と安全委員会を合同で実施できる「安全衛生委員会」の設置が認められています。

50人未満の事業場でも意見聴取の機会を設けなければならない

従業員が50人に満たない事業場には、衛生委員会の設置義務はありません。その代わりに、衛生に関して疑問や不安を持っている従業員に、意見聴取を行う機会をセッティングする必要があります。

意見聴取の方法に決まりはありませんが、少人数単位でのミーティングを実施したり、アンケート調査を行ったりといった手段が考えられます。

衛生委員会開催時に必ず行わなければならない3つのこと

衛生委員会の開催に際しては、以下3点を厳守しなければなりません。あらかじめポイントをおさえておきましょう。

議事の記録、3年間の保管

衛生委員会開催時には議事を記録し、3年間保存しなければなりません。
労働安全衛生規則第23条第4項には、以下のように記されています。

4 事業者は、委員会の開催の都度、次に掲げる事項を記録し、これを三年間保存しなければならない。
一 委員会の意見及び当該意見を踏まえて講じた措置の内容
二 前号に掲げるもののほか、委員会における議事で重要なもの

引用:労働安全衛生規則

従業員へ議事を周知

衛生委員会の実施後は、従業員へ遅延なく議事の概要を周知しなくてはなりません。
周知の方法は、以下3つのいずれかで行います。

・事業場内で従業員が目にしやすい場所に掲示する、備えつける
・書面を配布する
・データ化した議事をパソコンなどで確認できるようにする

最も重要なのは、すべての従業員に確実に周知することです。そのため、日常的に活用している周知方法を用いるようにしましょう。

委員への賃金の支払い

衛生委員会に要した時間も労働時間に含まれることから、日常業務と同額の賃金が発生します。
万が一、衛生委員会の開催が時間外労働に該当する際には、割増賃金の支払いも必須です。

衛生委員会を構成するメンバー

労働安全衛生法により、衛生委員会は以下の委員で構成することが定められています。

1. 総括安全衛生管理者、または事業の実施を統括管理する者:1名(議長)
2. 衛生管理者:1名以上(専属でなくても可)
3. 産業医:1名以上(専属でなくても可)
4. 衛生に携わった経験のある従業員:1名以上

1番の議長を除き上記委員の半数は、従業員の過半数で組織される労働組合、もしくは過半数の従業員を代表する者の推薦による氏名が必要です。

なお、各メンバーが担う役割の詳細は、以下の記事をご覧ください。

衛生委員会の目的は労働災害防止!設置基準やメンバーの役割を解説

衛生委員会の取り扱い事項

冒頭で触れたように、衛生委員会では従業員の健康増進、保持に関する調査ならびに議論を交わす場です。具体的な内容に関しては、労働安全衛生規則にて明記されていますが、主要なポイントは以下の通りです。

1. 衛生に関する規程の作成に関すること。
2. 衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関すること。
3. 衛生教育の実施計画の作成に関すること。
4. 定期健康診断等の結果に対する対策の樹立に関すること。
5. 長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること。
6. 労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること。

引用:厚生労働省 安全衛生委員会を設置しましょう

生産的な衛生委員会にするために重要な3つのポイント

豆電球が描かれたイラスト

月に1度の衛生委員会を、より生産的な場にするために重要なポイントを3つ挙げます。あらかじめこれらについて対策を講じた上で、衛生委員会を開催するようにしましょう。

メンバー全員が参画する場にする

衛生委員会は、すべての委員が積極的な意思を持って参画する場であるべきです。

日常業務におけるミーティングでは、発言者が毎回固定されており、その他のメンバーは聞き役に徹しているというシーンはよく見られるかと思います。しかし衛生委員会を構成する委員たちは、従業員代表として指名され、自社の行く末を託されているメンバーです。

そのため、お客様感覚ではなく、「自らが舵取りをしている」という積極的なモチベーションが重要です。

マンネリ化しないテーマ設定を行う

委員たちの参画を促すためにも、マンネリ化しないテーマ設定が重要です。

いまだ完全な終息には至らない新型コロナウイルスや、インフルエンザ、ノロウイルスの感染防止対策など、季節性のトピックを取り上げることは必須です。しかしそれだけでは、形式的な開催に終始してしまう可能性があります。

他社の衛生委員会の事例を参考にするのもひとつの手ですが、忘れてはならないのは「衛生委員会で取り上げるべき議題は常に現場にある」という意識です。日常的にアンテナを張り巡らせることで、新鮮味があり、かつ従業員が本当に求める対策に着手できるでしょう。

PDCAサイクルを回し成果にコミットする姿勢を持つ

衛生委員会で取り上げられた課題は、PDCAサイクルを回しながら、できる限り早期の解決を目指しましょう。

衛生委員会の目的は、決して委員会で議論を行うことではありません。具体的な取り組みを推進し、従業員の健康の増進、維持を果たすことにあります。

そのため、課題の大小によりスピード感は変われども、PDCAサイクルを回し続け、何らかの結果を出し前進し続けることが求められます。

コロナ禍により認められたオンライン開催での注意点

新型コロナウイルスの影響により、令和2年は一時的に衛生委員会の開催に猶予が設けられていたものの、その後令和2年8月厚生労働省の通達により、オンラインによる開催が認められています。

オンライン開催で使用するデバイスに関しては、以下3点の条件をすべて満たさなければなりません。

ア 安全委員会等を構成する委員(以下「委員」という。)が容易に利用できること。
イ 映像、音声等の送受信が常時安定しており、委員相互の意見交換等を円滑に実施することが可能なものであること。
ウ 取り扱う個人情報の外部への情報漏洩の防止や外部からの不正アクセスの防止の措置が講じられていること。

引用:厚生労働省 情報通信機器を用いた労働安全衛生法第 17 条、第 18 条及び第 19 条の規定に基づく安全委員会等の開催について

その他、対面と変わらないクオリティでコミュニケーションを交わし、委員会の機能を十分に発揮できる環境を用意することが重要といった旨が記載されています。オンライン開催を検討する企業は、上記通達に目を通し、万全の状態を整えましょう。

なお、厚生労働省のホームページ上に用意されているQ&Aでは、オンライン開催に関する記載は特段ありません。3密を避け、十分な感染拡大防止策を講じた上での実施を呼びかけている状況です。

実質的な衛生委員会の開催を実現しましょう

企業活動は「人」により支えられており、事業主側には従業員の健康や安全を守る責任があります。
衛生委員会の開催は、従業員が晒されるあらゆるリスクを事前に検知して対策を講じ、仕事はもちろんプライベートにおいても健やかに過ごせるよう支援するものです。
毎月の恒例行事として形式的に開催するのではなく、実りのある衛生委員会の開催を目指しましょう。