安全衛生委員会のネタ・テーマ例|マンネリ化を防ぐ選び方のポイントを解説
毎月の安全衛生委員会で取り上げるネタにお困りの担当者の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、安全衛生委員会のネタ選びの参考になるテーマや、切り口の考え方をお伝えします。ネタ選びのポイントを押さえて、安全衛生委員会のスムーズなテーマ決めに役立てましょう。
安全衛生委員会で取り上げるべきテーマ
労働安全衛生法によって、毎月1回以上の安全衛生委員会の開催が義務付けられています。安全衛生委員会で調査審議されるべき基本的な事項は、以下の通りです。
・労働者の危険を防止し、健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること。
・労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること。
・労働災害の原因及び再発防止対策で、安全衛生に係るものに関すること。
・前三号に掲げるもののほか、労働者の危険の防止、健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項。
上記を踏まえて、安全委員会と衛生委員会それぞれで調査審議されるべき具体的なテーマ事項は、以下のように定められています。
安全委員会 | 衛生委員会 |
安全に関する規程の作成に関すること。危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置のうち、安全に係るものに関すること。安全に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関すること。安全教育の実施計画の作成に関すること。 | 衛生に関する規程の作成に関すること。衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関すること。衛生教育の実施計画の作成に関すること。定期健康診断等の結果に対する対策の樹立に関すること。長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること。労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること。 |
安全委員会では労働災害の原因および再発の防止対策、衛生委員会では従業員の健康障害の防止対策や健康増進対策などを審議する必要があり、安全衛生委員会ではその両方の内容を取り上げる必要があります。
安全衛生委員会のネタと選び方のポイント
安全衛生委員会にはどのようなネタがふさわしく、どのようにして選べば良いのでしょうか。ここでは、ネタ選びのポイントを解説します。
①時節ネタ
安全衛生委員会は毎月開催されるため、時節ネタを取り入れるのも有効です。時節ネタは、以下のようなものが考えられます。
・熱中症
・インフルエンザなどの感染症
・花粉症
たとえば「熱中症」をテーマに選ぶなら、本格的に熱中症の注意が必要になる7月~8月に向けて、それより少し早い6月頃の安全衛生委員会で取り上げるのが良いでしょう。前もって熱中症対策の検討を行い、委員会で検討した内容を従業員に周知し、対策グッズの準備や環境の整備などを行うことで従業員の熱中症予防および健康維持につながります。
②時事ネタ
世の中で話題になっているような時事ネタを取り上げるのもネタ選びのマンネリ化を防ぐポイントです。時事ネタは、以下のようなものが考えられます。
・SDGs
・新型コロナウイルス
・働き方改革
・LGBTやマイノリティ
最近話題のテーマや事件・事故、社会現象といった世の中の出来事に対して広くアンテナを張ることは非常に重要です。特に労務関連の法改正や事件・事故など、自社にも大きく関わりのあるトピックに対しては職場環境や社内規程の見直し・変更・改善といった柔軟な対応が求められます。調べ方としては、日々のニュースをテレビやネットでチェックするほか、厚生労働省の機関誌から情報を入手するといった方法も有効です。
ただし、自社とはまったく関係のない時事ネタを取り上げても意味がありません。時事ネタを取り上げる際は、必ず自社との関連性が高いものを選定するようにしましょう。
③事業ネタ
時節ネタや時事ネタの中には、業界特有の事業ネタが含まれていることもあります。主な事業ネタとしては、以下のようなものが考えられます。
・飲食業界:食中毒問題
・旅行業界:全国旅行支援
・教育業界:いじめ問題
このように、業界ならではのテーマは数多く存在します。たとえば飲食業界の企業が食中毒問題をテーマとするならば、食中毒が発生しやすい時期を見据えて早い時期から安全衛生委員会で取り上げて対策を検討するのが望ましいと考えられます。早期段階から自社に関わる事業テーマを取り扱うことで自社の対応方針が明確になり、スムーズな対応が可能となって従業員の業務負担軽減にもつながります。
④自社ネタ
健康診断やストレスチェックの結果を分析するなどして、自社特有の安全衛生課題を振り返ってネタ選定をするのも選択肢の一つです。自社ネタは、以下のようなものが考えられます。
・健康診断の結果、二次検査が必要と判断された従業員への対応
・健康診断の受診率を100%にするにはどうしたら良いか
・ストレスチェックの結果、高ストレスと判断された従業員への対応
・長時間労働
・テレワークによる健康課題
たとえばストレスチェックの結果、高ストレス者が多いようであれば、産業医による面談のフィードバックをもとに業務内容・業務量の見直しや配置転換の検討などを行うのが良いでしょう。
自社の問題点や課題をテーマにすることで、自社の職場環境や労働条件などの改善点が見つかる可能性があります。その際は従業員の心身の健康維持のためにも、早急な対応が必要です。企業には安全配慮義務が定められており、問題点をそのまま放置すると安全配慮義務違反となる可能性があるため注意しなければなりません。
安全衛生委員会のネタ・テーマの年間スケジュール例
安全衛生委員会のネタは、年間スケジュールやその季節に起こりやすい健康被害、事件・事故などをもとに選ぶことが大切です。年間スケジュールを立てて月ごとにテーマ分けをすれば、テーマの重複を避けることができます。毎月のテーマ決めの負担を軽減するためにも、年度始めや年頭に年間スケジュールを立てておきましょう。
ここでは、時節ネタや時事ネタを組み合わせた年間スケジュールの例を提示しています。自社でスケジュールを立てる際に、ぜひ参考にしてみてください。
1月 | ・食生活の見直し・ワークライフバランス |
2月 | ・社内の防災対策・メンタルヘルス対策 |
3月 | ・花粉症対策・労働災害について |
4月 | ・安全衛生教育の実施・ストレスチェックの活用 |
5月 | ・食中毒対策・社内コミュニケーション活性化への取り組み |
6月 | ・熱中症対策・睡眠、休養について |
7月 | ・健康診断結果の事後措置・生活習慣の見直し |
8月 | ・福利厚生の利用状況の確認と促進・受動喫煙の防止対策 |
9月 | ・通勤災害の予防・健康づくり支援 |
10月 | ・ハラスメント対策・運動習慣の改善 |
11月 | ・インフルエンザをはじめとした感染症の予防・長時間労働の防止 |
12月 | ・新型コロナウイルスの感染拡大防止・飲酒マナーについて |
安全衛生委員会のネタ選びには健康管理システムが有用
毎月の安全衛生委員会のネタ出しはマンネリ化しやすく、担当者は苦労すると思います。しかし、本来は自社にとって検討に値するテーマ提案が行われて、効果的な職場改善活動につながることが安全衛生委員会の在り方として好ましいといえるでしょう。
このように安全衛生委員会を有効的な場とするには、自社の健康課題などからネタを選出することが効果的であり、健康課題を把握するうえではストレスチェックや検診結果のデータ分析が欠かせません。そこで役立つのが健康管理システム「WELSA」です。
「WELSA」ならデータの一元管理にくわえ、健康リスクの分析・予測も行えます。安全衛生委員会のネタ選びにも活用できる機能がたくさん備わっているため、ぜひ「WELSA」の導入を検討してみてください。