ポピュレーションアプローチとは?効果・実施手順・事例を解説

健康経営を効果的に実現するためには、ポピュレーションアプローチが欠かせません。しかし、ポピュレーションアプローチの意味は大まかに把握していても、取り組み方についての理解を不十分に感じている人事労務担当者も多いと思います。

この記事では「ポピュレーションアプローチ」をテーマに、その定義や効果、実施手順、他社の事例を解説します。ポピュレーションアプローチの取り組み方を理解して、自社の健康経営に役立てましょう。

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ポピュレーションアプローチとは

ポピュレーションアプローチとは、リスクの有無や大きさに関わらず、集団や環境全体に働きかけるアプローチのことです。対象を限定しないことで集団全体の潜在的な健康リスクの予防・軽減を目的としており、一次予防の役割を果たします。

前提として、健康対策は「個人や家庭へのアプローチ」「集団や組織へのアプローチ」「基盤・環境へのアプローチ」の3つの要素があり、対象ごとに取り組む対策内容は異なります。

また、健康増進・健康問題に対するアプロ―チとして、人・地域・生活に着目して健康対策の目的を生活の質の向上に置いた「生活モデル」と、疾病の予防を目的とした「疾病予防モデル」の2つの考え方があります。この疾病予防モデルに基づき、疾病のリスク要因を持っている特定の人に向けて疾病の確率を減らすアプローチが「ハイリスクアプローチ」です。

ハイリスクアプローチとポピュレーションアプローチは相乗的に作用しており、両方を上手く組み合わせることでより効果的に健康対策が実施できるようになるのです。対象を特定せずに集団全体に働きかけて健康リスクを予防・軽減するポピュレーションアプローチは、健康経営の効果を最大化するためにも欠かせない取り組みといえるでしょう。

ポピュレーションアプローチがもたらす効果

企業にとって、ポピュレーションアプローチにはどのような効果があるのでしょうか。ポピュレーションアプローチがもたらす効果やメリットについて解説します。

生産性の向上

ポピュレーションアプローチによって企業全体の健康意識が高まるため、健康リスクが低減されて従業員が心身ともに健康を維持しながら働くことが可能となります。体調が万全でない場合、やる気の低下を引き起こすという調査結果もあるため、従業員の健康が保たれていればモチベーションや集中力が高まり、結果的に生産性の向上につながります。

高リスク者・高ストレス者の発症率減少

ポピュレーションアプローチは健康リスクを予防する役割を担うため、高リスク者・高ストレス者の発症率の減少につながります。たとえば、高血圧による脳卒中リスク対策は、高リスク者に対象を限定したハイリスクアプローチの範疇のようにも思えます。しかし、日頃から啓発活動や健康の仕組みづくりなどを集団全体に呼びかけて発症率を減少させるといったように、ポピュレーションアプローチで対応できる疾病予防施策もあります。

医療費の削減

ポピュレーションアプローチによって健康経営が効果的に取り組まれ、従業員が心身ともに健康であれば通院・入院にかかる治療費が減少するため、結果的に企業が負担する医療費の削減につながります。

ポピュレーションアプローチの手順

ポピュレーションアプローチは漠然と実施した場合、きちんとした効果を得られません。よい結果を出すためにはプランを作成して実施することが重要です。ここでは、ポピュレーションアプローチを実施するための手順について解説していきます。

①健康経営の計画策定

ポピュレーションアプローチを行うためにも、まずは自社の健康課題を把握・検討して優先順位付けをすることが大切です。健康課題の抽出には、健康診断やストレスチェックの結果などを活用すると良いでしょう。どの課題に取り組み、何を目指すのかといった具体的な目標を設定し、健康経営に向けての計画策定を行います。

②測定環境の準備

ポピュレーションアプローチの実施に向けて、測定環境の準備を進めていきます。具体的には、リスク要因の背景となる従業員の生活習慣や自社の職場環境などの状況確認、健康状態のデータ化などが挙げられます。抽出した健康課題の発生に至った背景や要因の分析のためには、面談・アンケートを用いた従業員への生活習慣等のヒアリングが欠かせません。また、プランで設定する目標の達成度合いを把握するために、健康診断やストレスチェックの結果をデータ化して「健康状態を見える化」するといった準備も大切です。

③対策方針の検討

健康課題の改善に向けて、有効な解決方法や対策方針を検討していきます。従業員全体への啓発や福利厚生の整備など、対集団・対環境的なアプローチの方針を検討していくことが重要です。例として、「会社全体でスポーツ大会を行う」「健康促進のためにジムの利用費を会社が負担する」などが挙げられるでしょう。取り組みの評価方法についてもこの段階で計画に組み込んでおくことで、効果的なポピュレーションアプローチの実施が実現可能となります。

ポピュレーションアプローチの実践例

他社で行っているポピュレーションアプローチの実践例を参考にすることで、自社の取り組みに活かすことができます。実際に企業が行っているポピュレーションアプローチの実践例を見ていきましょう。

ネッツトヨタ山陽株式会社

新車・中古車の販売や中古車の買い取りなどを行っているネッツトヨタ山陽株式会社では、従業員の健康づくりのために全社的にポピュレーションアプローチを実施しています。運動機会の増進に向けた取り組みとして、社員に電子万歩計を携行してもらい、歩いた歩数を集計して個人別・部署別実績を毎月公表しています。このような工夫により、従業員は楽しみながら継続的に運動することが可能です。また、食生活の改善に向けて、カロリー別におかずを選べるヘルシー仕出し弁当も提供しています。

参考:(経済産業省「健康経営優良法人 取り組み事例集」)

アサヒグループホールディングス株式会社

日本の大手ビールメーカーとして知られるアサヒグループホールディングス株式会社では、会社・労働組合・健保組合が一体となって健康増進活動を行っています。定期健康診断の結果で高血圧・脂質異常症・高血糖などの有所見者が多いことを受けて、メタボリックシンドローム低減を目的とした飲酒対策に取り組んでいます。適正飲酒の理解・実践に向けて、全社員を対象に「アルコールに関するeラーニング」を実施するとともに共通基準を策定して周知徹底を図ったことにより、多量飲酒の割合が2019年度13.2%→20年度9.8%と大きく低減しました。

参考:(経済産業省「2022健康経営銘柄 選定企業紹介レポート」)

積水化学工業株式会社

住宅を主力事業とする大手樹脂加工メーカーの積水化学工業株式会社は、全事業場に担当者を配置して一体的に健康増進活動に取り組んでいます。長時間労働対策を重点課題として取り組んでおり、全従業員が時間内で実力を発揮できる働き方を追求するため、「業務改革」「人事制度改革」「就業環境改革」を三本柱に大規模な投資を行っています。生産ラインの自動化、テレワーク導入によって業務効率化を進めた結果、3年連続で一人あたりの月平均労働時間が減少し、3年間で約17万時間の労働時間削減を実現しました。

参考:(経済産業省「2022健康経営銘柄 選定企業紹介レポート」)

ポピュレーションアプローチの実施には健康管理システムが有用

ポピュレーションアプローチは健康経営を行ううえで重要な取り組みであり、効果的に機能すれば生産性の向上や従業員満足度の向上につながります。ポピュレーションアプローチを効果的に実施するためには、従業員の健康状態の把握や健康情報のデータ収集・分析が欠かせません。このような手間のかかる業務を効率的に行うには、健康管理システム「WELSA」がおすすめです。

WELSA」はストレスチェックや健康診断のデータを一元管理して、従業員の健康状態を可視化します。そのため、従業員の定量的かつ継続的な健康状態の把握だけでなく、健康リスクの分析・予測も可能です。「WELSA」を導入して、ぜひ自社の効果的な健康管理にお役立てください。

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