【2022版】健康診断の受診率を上げるには?ケース別4つの体策を解説

企業には従業員に定期健康診断を受けさせる義務があります。しかし「忙しい」などの理由で従業員が健康診断を受けに行かず、受診率が上がらない企業も多いのではないでしょうか。従業員に健康診断を受けさせるのは企業の義務なので、本来であれば受診率100%を目指さなければなりません。

この記事では従業員が健康診断を受けない理由ごとに、企業ができる対策をまとめました。企業が実施すべき健康診断の種類や、健康診断を受けることによる従業員のメリットなども紹介しています。

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健康診断の受診率は?

厚生労働省の「平成24年  労働者健康状況調査」によると、定期健康診断の受診率は81.5%。企業には従業員に健康診断を受けさせる義務がありますが、達成できていません。

企業の規模別の受診率

もっとも受診率が高かったのが、100〜299人規模の企業で84.9%でした。5,000人以上、10〜29人の企業はいずれも80%を下回る結果となりました。

何より注目したいのが、実施率と受診率の差です。10〜29人規模の企業以外では、10%以上も実施率と受診率に開きがあります。特に大きな開きが見られたのが、従業員5,000人以上の企業です。実施率99.9%に比べ、受診率は79.6%。20.3%もの差があることがわかりました。

また、企業規模が小さくなるにつれ、健康診断の実施率が下がっている点にも注目しましょう。本来であれば100%の実施率を目指すべきですが、10〜29人規模の企業では84.4%にとどまっています。

産業別の受診率

産業別に見ると、もっとも実施率と受診率の開きがあったのは、宿泊業や飲食サービス業でした。実施率86.6%、受診率48.3%で40%近くも差が出ています。一方で電気・ガス・水道業は実施率も受診率も高い傾向にあります。

就業形態別の受診率

※一般社員の週所定労働時間と比較

就業形態別でみると正社員に比べ、契約社員や、パートタイマーなどの短時間労働者はいずれも健康診断の実施率が低い傾向にあることがわかります。特に実施率が低いのは、派遣労働者で27.0%でした。契約社員や非正規労働者に対しても健康診断の受診させる義務があるので、受診率100%を目指すことが大切です。

さらに「平成29年度内閣府委託事業 男女の健康意識に関する調査報告書」のデータも参考にしてみると、男女間での違いが確認できます。

正社員の受診率には違いがあまり見られませんが、非正規雇用の労働者では女性のほうが受診率が低い傾向にありました。

以上のデータを参考にすると、企業規模や事業所規模で受診率に大きな違いはないものの、実施率は企業規模や事業所規模が大きくなるほど高くなることがわかりました。

しかし、たとえ健康診断を実施しても、実際に受診する従業員が少なければ本当の意味で義務を果たしているとはいえません。従業員の数が増えると、健康診断の管理業務もその分複雑になります。効率よく管理できるシステムを導入したり、アウトソーシングを利用したりして、受診率を高めることもひとつの方法です。

特に宿泊業や飲食サービス業、娯楽業などの産業は上記のデータによると実施率、受診率ともに低い傾向にあり、定期健康診断を受けやすい仕組みを作る必要があるでしょう。

受診率が低いのはなぜ?

厚生労働省の統計によると、健康診断を受けない理由は主に以下の3つに分けられます。

  • 心配なときはいつでも医療機関を受診できるから
  • 多忙だったから
  • 面倒であったから

上記のように健康診断より、自身の予定などが優先されてしまうケースがあるようです。健康診断は病気や不調を早期発見する役割があります。そのメリットを伝えることが受診率アップの鍵になるといえます。

また、受診率を高めるためには、健康診断を正しく実施し、従業員に適切に案内することが大切です。「平成24年労働者健康状況調査」によると、健康診断の日程や時間がとれない、費用が高額などの理由で健康診断を実施しない企業があることがわかっています。

健康診断に関する業務の負担を減らしたい方は、健康管理システムやアウトソーシングの活用を検討してください。費用に関してはキャリアアップ助成金や職場定着支援助成金などの助成金をチェックしましょう。

【ケース別】健康診断の受診率を上げるための対策

次に定期健康診断の受診率を上げるための対策を、行きたがらない従業員の心理別に紹介していきます。

ケース①定期健康診断に行く時間を確保できない

仕事が多忙で健康診断に行く時間を捻出できない従業員に対しては、まずは仕事量を調節する必要があります。健康診断の重要性を理解している従業員であれば、時間を確保してあげることで受診する可能性は高くなるでしょう。

また、従業員の意見を聞いたうえで、健康診断の日程を企業側で調整する方法もあります。健康診断を実施するだけでなく、受診する時間を確保してあげることも企業の大切な役割です。

ケース②健康診断の優先順位が低い

健康診断の優先順位が低く、面倒がって行かない従業員の場合は、その重要性を伝える資料を渡すとよいでしょう。受診のメリットを知ることで、病院が嫌いな従業員にも受診の必要性を考えさせることができるのではないでしょうか。

なかには「心配なときはいつでも医療機関を受診できるから」と企業で実施する定期健康診断を重要視していないケースも考えられるでしょう。その場合は企業には従業員に健康診断を受けさせる義務があることを端的に伝えてみてください。場合によっては健康診断を受診することを就業規則に記載する方法もあります。

ケース③健康状態が人事に及ぼす影響を危惧している

なかには健康状態を理由に、人事に悪影響が及ぶのではないかと危惧している従業員もいます。しかし企業が従業員の健康診断結果によって不当な扱いをすることは、法律で禁止されています。

また、健康診断の結果を知ることができるのは、健康診断の管理業務する担当者などごく一部に限られます。担当者には守秘義務があるので、個人情報が漏洩する心配はありません。これらをしっかり伝えて安心感を与えることが大事です。

ケース④病気が見つかることを怖がっている

病気の発見を不安がっている従業員には、寄り添うことが大事です。しかしどんな病気も早期に発見できたほうが、身体的・精神的負担は少なくなります。病気が進行した状態に比べ、初期段階なら治療の選択肢も広がるはずです。

また、もし病気が見つかって治療のために長期休暇や休職をしなければならない場合、経済的な不安を感じる従業員もいるでしょう。万が一の場合でも会社が最大限サポートする旨を伝えて、不安を取り除いてあげてください。

【罰則あり】従業員の健康診断受診は企業の義務

労働安全衛生法第66条により、健康診断の実施は義務化されています。従業員に健康診断を受けさせない場合、行政指導を受ける可能性があります。最悪の場合は労働安全衛生法違反により、50万円以下の罰金が科される可能性があるので十分注意しましょう。

労働者にとっても健康診断の受診は義務となりますが、罰則はありません。健康診断の受診を任意と考えている従業員もいるかもしれないので、正しく伝えることが大切です。

また、企業は健康診断結果を健康診断個人票にして保管する義務があります。健康診断の結果を漏洩してしまった場合も罰則が生じるので、保管の際は十分気をつけましょう。

健康診断の受診率を上げることが健康経営の第一歩

従業員に健康診断を受けさせることは企業の義務です。義務を果たさない場合、行政処分だけでなく、罰則が科される可能性もありますので、必ず実施するようにしましょう。

何より健康診断は病気の早期発見や、健康の維持のために必要なものです。社員の健康に投資すれば、パファーマンスにも好影響を与え、企業の生産性アップにもつながっていきます。従業員が健康診断を受けたくなるようなきっかけ作りや工夫を取り入れて、受診率を上げるよう努めましょう。

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