健康経営を行う企業の事例を紹介!生産性アップを目指そう

昨今、「健康経営」という言葉を目にする機会が増えました。 一般的には「健康経営」に取り組むことで、「生産性が上がる」「企業価値が上がる」など、様々なメリットがあるとされていて、実際に取り組んでいる企業は年々増加しています。 しかし、会社として実際に取り組もうとしたとき、何から手を付けていいのか、明確な定義や順序があるものではありません。 実際に取り組んでいる企業も、その取り組み内容は多種多様で、「こうしなければならない」という定義がないため、企業によって取り組みは様々となってきます。 今回は「健康経営」とはどういったものなのか、どのようなメリットがあり、どのような効果につながるのかなどを、具体的な事例と併せて解説していきます。
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健康経営とは?

  
「健康経営」とは、1992年に出版された「ザ・ヘルシーカンパニー」の著者で、アメリカの経営学と心理学の専門家、ロバート・ローゼン氏が提唱した概念に基づいているものです。
その著書によると「従業員の健康増進を行うことが、企業の持続的な成長、業績に繋がる」というものです。
健康に配慮した働き方に変えたり、個別に健康指導したりする企業のほうが、実は収益が高いという研究があり、社員の健康に投資した1ドルが、3ドルになるという発表もあります。

さらに日本では2013年に政府が閣議決定した日本再興戦略、いわゆる成長戦略のテーマに健康寿命の延伸が掲げられました。これが日本においての健康経営の本格的なスタートと言われています。

この取り組みの一つとして、経済産業省から認定された「健康経営銘柄」という顕彰制度もあります。この制度は東京証券取引所に上がっている上場企業のうちから、各業種ごとに認定し、健康経営に取り組む法人のなかから優れた企業を「見える化」することを目的としています。健康経営銘柄に選ばれた企業は社会的な評価を受けるだけでなく、企業のイメージアップにも繋がります。

健康経営のメリット

前述したように、健康経営を取り入れるメリットには社員の定着や企業のイメージアップなどがあります。その他にも健康経営を行うメリットは多数。ここでは健康経営を行うメリットを「イメージ向上」「人材確保」「生産性の向上」の3つに分けて説明します。

従業員は企業にとって大切な財産です。その従業員の健康を守ることは、企業のさらなる成長に繋がるでしょう。

イメージ向上

健康経営を行うことで最も大きな効果としては、企業の「ブランドイメージ向上」が挙げられます。健康経営銘柄だけでなく、健康経営にまつわる制度には「健康経営優良法人」などもあり、認定を取得した企業にはマークを付与。

このマークがあることによって、健康経営に積極的に取り組んでいる企業であるということの証明になります。「労働環境が整っている」「従業員のことを大切にしている」「福利厚生が充実している」といった好印象を与えられるでしょう。

認定企業であることを発信することで、大学生などの求職者から評価されるでしょう。また取引先や株主からの評価アップも期待でき、株価上昇などの効果を狙えます。社会的なブランドイメージの向上に繋がるでしょう。

人材確保

健康経営を行うことで「人材確保」も可能です。ホワイト企業であることをアピールできるので、優秀な新入社員を確保することができます。

また従業員の健康に配慮することで、離職率の低下も期待できるでしょう。健康経営を進めることで、社内全体の労働環境の見直しや改善を図ることができます。

人材を確保するだけでなく、医療費の削減も可能。企業が負担する医療費を削減することで、企業の利益アップにも繋がるでしょう。また会社の経営体制が変わることで、従業員の意識も変わり、各々が健康維持に努めることにも繋がります。

生産性の向上

生産性の向上も健康経営を促進するメリットです。新たに優秀な人材を確保できることもひとつの要因ですが、それ以上にもともと在籍していた従業員のパフォーマンスを上げられることも生産性アップを期待できる大きな理由です。

健康経営を行うことで従業員のコンディションがよくなり、欠勤率や長期休暇を必要とする者が減ります。健康面において、常に万全の状態で業務に取り組むことができるでしょう。

また従業員側から見ても、自分たちがより生き生きと働ける環境、心身に負担がかからない環境となることでモチベーションアップに繋がるでしょう。

実際に健康経営を行う企業の事例

ここからは実際に行われている健康経営の事例を紹介します。それぞれの企業で異なる経営体制をとっており、着眼点も企業ごとにさまざまです。自身の企業が健康経営を進める際の参考としてください。

システム系A社

健康保持増進に努めることを社員の責務と考える、システム系A社が行った健康経営は以下の3つです。

・マイレージ
・スマートワーク/チャレンジ
・社員全員の完全禁煙

「マイレージ」では定期検診の結果をポイント化。1ポイント=1円として特別ボーナスが支給される制度です。「スマートワーク/チャレンジ」は残業時間軽減・有給休暇取得増加を狙った取り組み。最後の「社員全員の完全禁煙化」を行う際には、就業時間中の喫煙禁止・全事業所での喫煙ルーム閉鎖などの取り組みを行いました。

またこれら健康経営に関する戦略を実行する際には、経営トップらが自ら全従業員の家族に対して健康維持への理解を求める手紙を送りました。

組織全体での取り組み・同僚や家族の支援・本人への動機付けの3点からアプローチを行い、以下のような成果を挙げています。

・喫煙率が減少
・月平均残業時間が減少
・平均有給休暇取得日数が増加
・6期連続の増収増益を達成

建設系B社

建設系B社で行った健康経営は以下の4つです。

・メンタルヘルスの研修を実施
・ラインケアセミナーの実施
・セルフケアセミナーの実施
・長時間労働への各種対策

メンタルヘルスの研修とは、経営総合職へ向けたセミナーのことです。また社内に保健師や臨床診察師を設置し、社員が気軽に悩みを相談できる環境作りに努めました。さらにカウンセラーによるセルフチェック等も定期的に実施しています。

長時間労働への対策としては、生産性重視の評価制度(インセンティブの付与など)へ変更、みなし残業時間の見直し、勤務時間のインターバル制度の導入などを行いました。そうした取り組みの成果は以下のとおりです。

・4年連続で健康受診率100%を達成
・フィジカル疾患を理由とした退職者0%

流通系C社

流通系C社では以下のような健康経営への施策を行いました。

・ヘルスケアポイントの実施
・定期健康診断を受診しない者へのペナルティ制度
・健康90日チャレンジ実施
・様々なアプリを導入しての数値管理
・ストレスチェックや健康セミナーを定期的に実施

また健康診断の結果から、以下5項目に着目してそれぞれの目標数値を定めました。

・肥満
・血圧
・肝機能
・血糖
・喫煙

項目ごとに目標とする数値を決めることで、より具体的な施策を行いました。また同社では社長自らがCHO(チーフ・ヘルス・オフィサー)兼、健康ステーション推進委員会委員長となり、健康経営を推し進めています。社長が率先して活動することによって、半ば強制的に社員一人ひとりが健康保持へ向けて行動するよう促しました。

人事サービスD社

人事サービスD社では「健康診断の受診率」と「メンタルヘルス」の2点に着目して健康経営に対する施策を行いました。具体的に行ったことを、上記2点に分けて説明します。

「健康診断の受診率」を100%にするにするために実施したのは、以下の5点です。

・予約代行
・健診後は休みとする
・産業医からの受診勧奨
・オプション健診を事前に把握し、予約する
・受診後の対応について、重要性の周知
またこれらは、健康保険組合と連携しより確実に施策を行いました。

「メンタルヘルス」への対策として行ったことは、以下のとおりです。

・よろず相談窓口の設置
・1on1の実施
・ストレスチェック受検率向上へ向けた施策

ストレスチェック受検率向上に関しては、受検率100%を目指し、チェックを受けていない従業員への呼びかけ・後追い・アナウンスの強化を継続。2017年時点で98%まで引き上げることに成功しました。

化学系E社

化学系E社が健康経営のために行った施策は以下の3つです。

・メタボリックシンドローム対策
・ノー残業デーの導入
・ストレス対処力に関する研修実施

重大な生活習慣病を引き起こす「メタボリックシンドローム」への対策としては「食生活の見直し」「睡眠改善」「フィットネスへの参加」を促進しています。上記3点を行った結果、以下のような成果が上がりました。

・メタボリックシンドローム有所見者率の低下
・40歳以上を対象とした血圧が4.1ポイント減少
・心身に不調を感じる従業員の減少
・営業利益が増加

健康経営を行うべき企業

健康経営を取り入れることのメリットや具体的な事例については、お分かりいただけたでしょう。それでは、どのような企業が健康経営を取り入れるべきなのでしょうか?

実際のところ全ての企業が健康経営を行うことが理想的ですが、なかでも以下のような企業は特に健康経営への取り組みを検討した方がよいかもしれません。

高ストレスの従業員が多い

2015年から企業は、従業員に対して「ストレスチェック」を行うことが義務付けられています。このチェックで高ストレスと診断された者が多い企業は、健康経営を導入し労働環境の改善を目指すべきでしょう。

長期休業をとる従業員が多い

長期休業をとる従業員が多い企業も健康経営の導入が必要と言えます。人材が定着しないため、生産性が落ちる可能性が高いです。また体調不良による遅刻・早退者が多い企業も要注意。人材不足になる前に、労働環境を見直す必要があります。

人材不足の慢性化

慢性的に人手不足の企業にも健康経営がおすすめです。せっかく雇った人材が定着しないのは、労働環境に問題があるせいかもしれません。また人手が不足していることで残っている者への負担が大きくなり、そのストレスからさらなる人手不足へ陥るといった悪循環へ陥ってしまう可能性もあります。

労働時間が長い

長時間労働が慢性化している企業も危険です。従業員ひとりの業務量が多く、目の前の仕事に追われている従業員が多い企業は人材がいなくなるといった事態を招く可能性があります。

体調不良であっても休めず、従業員が過労によって身体を壊してしまうことも。最悪の場合、過労自殺などニュースになるような事態に発展してしまうケースもあるでしょう。

健康経営の注意点

健康経営に取り組むことには多くのメリットがありますが、その反面、以下のようなデメリットもあります。

・効果が実感しにくい
・効果を検証するためのデータ収集業務が増える
・やり方次第では社員の負担が増える可能性がある

取り組みを始めたからといってすぐに効果ができるわけではありません。身体は時間をかけて変化するため、即効性は期待できないでしょう。また健康診断の結果をはじめ、全従業員のデータを収集をするといった業務が増えることもデメリットです。さらにやり方次第では、一部従業員の負担が増えてしまう可能性もあります。

とはいえコツコツ続けていくことで成果は必ず期待できますし、データ収集などの負担はより効率的な方法を模索することである程度軽減できるでしょう。そのためデメリットよりは、メリットの方が多いと言えます。

健康経営の取り組み方

最後に、健康経営の具体的な取り組み方について説明します。自身が組織の中心となって健康経営を進めていく際にはぜひ参考にしてみてください。

宣言を行い、体制を整える

健康経営を開始すると決まったら、まずは社内外へ向けて「宣言」を行います。社内報・プレスリリース・株主総会などを利用しましょう。宣言するに至っては、事前に経営層が健康経営の重要性を理解し納得していることが重要です。

宣言を行ったのちに、社内に専門部署を設置する・必要に応じて外部の専門家へ相談するなどの体制を整えます。

健康課題の把握

次に自社の健康課題を把握します。産業医を選任している企業は専門的なアドバイスをもらうのも効果的でしょう。

計画・実行・フィードバック

課題が明確化したら改善策の計画へ移ります。その際に目標は具体的であればあるほど達成しやすく、従業員のモチベーションアップに繋がるでしょう。

次に期間を決めて改善策を実行。期間を終えたらどの程度効果があったのかフィードバックで確認します。効果があったものは続行、効果が今一つだったものは再度改善策を練り直す必要があるでしょう。成果が出るまでは基本的に「計画・実行・フィードバック」の繰り返しです。

健康経営で会社の生産性アップ

健康経営について、そのメリット・デメリットや具体的な事例、取り組むべき企業の特徴などを説明しました。企業の財産である従業員の健康を守ることも、企業の責任です。この機会に自社の労働環境を見つめ直してみませんか?

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