テレワークにおけるメンタル不調の原因と対応のポイント
新型コロナウイルス対策や働き方改革によって、多くの企業で急激にテレワークが普及しました。しかし、テレワークにともなう環境の変化により、ストレスを感じている人は少なくありません。また、テレワークでは従業員のメンタル不調に気付くことが難しいという課題もあり、早急な対応が求められます。
この記事では、テレワークにおけるメンタル不調の原因と対策のポイントを解説します。テレワーク下でのメンタル不調対策を徹底して、早期発見・早期対処に役立てましょう。
目次
テレワーク促進にともなうメンタルケアの重要性
新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけにテレワークが促進されたことにより、テレワークを実施している企業は増えています。「通勤時間の削減」「通勤による心身の負担の軽減」「家族と過ごす時間の増加」など好影響がある一方で、テレワークの働き方によってストレスを感じている従業員も少なくありません。
経済産業省の「健康経営の推進について」によれば、テレワークをしている従業員の61.3%が精神的なストレスを感じているという結果が出ています。
引用:(経済産業省「健康経営の推進について」)
テレワークによってメンタル不調を起こす人も多く、悪化すると休職・退職、生産性の低下による企業の業績低下といった最悪のリスクを招いてしまう可能性もあります。そのため、メンタル不調者を早期発見・早期対処するだけではなく、メンタル不調を発生させないためにもテレワーク下での従業員のメンタルケアは非常に重要とされています。
テレワークによるメンタル不調の原因
テレワークによるメンタル不調の原因にはどのようなものがあるのでしょうか。「職場環境」と「家庭環境」の2つのポイントから解説していきます。
職場環境・仕事によるストレス要因
職場環境や仕事によるストレス要因には以下のようなものが挙げられます。
- 上司や同僚とのコミュニケーション不足
- 自宅の作業環境が整っていない
- オンオフの切り替えがしづらい
テレワークは自宅で実施することが多いため、仕事とプライベートの切り替えが難しくなり、長時間労働が増える・もしくは集中力が低下するといった状況が発生しやすくなります。特に長時間労働は精神的負荷も大きく、メンタル不調につながりやすい要因の一つです。テレワーク下では従業員の様子が見えづらいため、ラインケアが難しくなりメンタル不調者の発見やフォローが遅れがちになるという課題があります。
家庭環境・個人によるストレス要因
一方で、家庭環境や個人によるストレス要因には以下のようなものが挙げられます。
- 通勤や外出がなくなることによる運動不足
- 生活リズムが不規則になることによる食事や睡眠の不足
- テレワークに対して家庭での理解や協力が得られない
家族や子供がいる従業員は育児や介護によって仕事に集中できなかったり、一人の時間を作れなかったりすることで ストレスを抱えやすくなります。また、通勤時間がなくなると運動不足や生活リズムの乱れにつながることもあります。生活習慣が大きく乱れると、メンタル不調に陥りやすくなり仕事にも悪影響を及ぼす可能性が高くなります。企業としては従業員の家庭環境までフォローすることは難しいため、対策が取りづらい点も課題として挙げられます。
メンタル不調のサインと早期発見のポイント
テレワークにおいてメンタル不調者を早期発見するためには、メンタル不調のサインをしっかり把握して予兆を見逃さないことが大切です。メンタル不調のサインには、以下のようなものが挙げられます。
- 遅刻や早退、欠勤などが増えて勤怠が安定しなくなる
- 始業や終業の報告が漏れる
- 仕事でミスや漏れが増える
- 仕事の生産性が低下する(理由もなく残業が増える、意思決定に時間がかかるなど)
- ネガティブな発言が増える、または発言をしなくなる
これまで勤怠が安定していた従業員が遅刻・早退・欠勤をするようになったり、仕事であまりミスをしなかった従業員がミスを多発するようになったりした場合は、要注意です。本人の様子や仕事への取り組み方が「いつもと違う」と感じたら、メンタル不調を起こしている可能性があります。異変に気付いた際は、すぐに声かけを行うことがメンタル不調者の早期発見・早期対処のポイントです。
また、ストレスチェックを実施してその結果をきちんと確認することも重要です。ストレスチェックはメンタル不調の未然防止を目的とした取り組みでもあるため、ストレスチェックの結果を活用することで高ストレス者の抽出・対処が可能になります。
テレワークにおけるメンタル不調の対処・対策方法
メンタル不調の発生・悪化を防ぐためには早期の対応が重要ということがわかりましたが、実際に企業としてどのような対応をすればよいのでしょうか。メンタル不調者への対処・対策のポイントを押さえて、テレワーク下での健康管理に役立てましょう。
コミュニケーションの定期化
コミュニケーション不足は従業員にとって孤独感や閉塞感を招く原因になり、企業側にとっても迅速なラインケアに支障をきたす要因となります。そのため、コミュニケーションを定期化し、会話する機会を逃さないようにする ことはメンタル不調を予防するために必要不可欠といえるでしょう。コミュニケーションの定期化は、以下のような取り組みが挙げられます。
- 部署の定例会議や朝礼の実施
- 上長との1on1ミーティングの実施
- 雑談や相談の場を設けるといったチャットの活用
業務の内容はもちろん、業務以外のことも気軽に話せる場を設けておくと、テレワーク下でも孤独を感じにくい環境を提供することができます。
産業医に相談する
メンタル不調の兆候がある従業員を発見した場合は、人事労務担当者や上司だけで安易に対応するのではなく、産業医に相談をして対応を引き継ぐことが望ましいと考えられます。産業医がメンタル不調者と面談を行うことで、医学的な立場からアドバイスをもらうことができます。産業医の意見や判断をもとに、職場環境の改善や人材配置の転換などを適切に検討・対応していくことが重要です。
作業環境の整備
自宅で業務を行う場合も、原則としてオフィスと同等の作業環境を整備することが重要です。パソコンの貸与、環境整備のための費用負担、在宅勤務手当を支給するなど企業が積極的にフォローして従業員の作業環境を整えていきましょう。また、家庭の事情や自宅の環境により、どうしてもテレワークの実施が難しいようであれば、出社も選択肢として認めるよう検討することも大切です。
運動・休息の働きかけ
テレワークによる運動不足や、オンオフの切り替えができないことによる心身の疲弊を解消するために、企業側で運動・休息の働きかけを行うことが重要です。運動に関する動画を配信して運動の機会を与えるなど、家でも気軽にできる運動の情報を提供しましょう。また、有給休暇の取得推進や勤怠管理を徹底することで、長時間労働の是正も可能になります。従業員が心身ともに健康で働けるように、企業はテレワーク下でも健康管理のサポートをしていきましょう。
テレワーク下でのメンタル不調対策にはWELSAがおすすめ
従業員の健康状態を目視で確認することが難しくなったテレワーク下においては、いかに健康状態の「見える化」を図るかが重要といえます。メンタル不調者の早期発見・早期対処のためには、ストレスチェックの実施、ストレスチェック結果の分析や課題発見時の速やかな産業医との連携、さらには健康診断結果も考慮した総合的なリスク分析を行うことが欠かせません。こういった対策は、健康管理システムを導入することで効率的におこなうことができます。
健康管理システム「WELSA」は、ストレスチェックや健康診断結果のデータを一元管理して、従業員の健康状態の「見える化」を可能にします。そのため、健康リスク分析や多職種連携がスムーズになり、メンタル不調者の早期対応が行えるようになります。テレワークにおける健康管理には、ぜひ「WELSA」の導入をご検討ください。