健康診断結果ペーパーレス化のメリット データ化方法や考慮ポイントを解説

令和2年の新型コロナウイルスの流行により、私たちの働き方は否応なしに大きな変化を遂げました。 政府からはテレワークが推奨され、多くの企業でペーパーレス化対応が急務とされています。 同年には河野行政改革担当大臣が押印慣習の見直しを表明し、ペーパーレス化の追い風になっているものの、紙や押印文化が根強い人事労務領域では、一筋縄ではないのが現実です。 なかでも煩雑を極める健康診断業務も例外ではなく、結果のペーパーレス化を目指しながらも、実現まで至っていない企業も多いはずです。 しかしこのような社会動向から見据えても、人事工数削減を目指す上でも、いずれどこかのタイミングでペーパーレス化に踏み切ることは必要でしょう。 今回はその足がかりとなるよう、健康診断結果のペーパーレス化のメリットや、データ化し保管する方法を中心に解説していきます。

健康管理システムでペーパーレス化
健康管理システムを導入することで、従業員の健康データを一括管理。健康診断結果の回収や管理など、作業負担が多い業務の負担を減らすことができます。
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健康診断結果のペーパーレス化を後押しする朗報!産業医の捺印が不要に

健康診断結果のペーパーレス化を阻んでいた最大の要因は、医師や産業医による個人票への捺印が義務付けられていた点でしょう。
たとえ健康診断結果をデータ形式で受け取ったとしても、捺印のために紙に印刷していては本末転倒です。
しかし令和2年8月に法改正があり、個人票への捺印および電子署名が廃止となりました。
この法改正は、健康診断結果のペーパーレス化の大きな後押しです。
さらに、個人票の保存もデータが認められているため、健康診断結果のペーパーレス化を阻む外的要因はほぼないと言っても過言ではありません。
産業医面接もオンラインが認められるようになり、健康管理のあり方は着々と進化しています。

健康診断結果をペーパーレス化するメリット

上記経緯により、実務をこなす人事担当者が、ペーパーレス化に感じる障壁は解消できるはずです。
しかしペーパーレス化のためのシステム導入にあたり、「間接部門にこれ以上予算はかけられない」と、管理職や経営陣が渋る企業もあるかもしれません。
そのような場面では、ペーパーレス化の費用対効果をアピールするのが近道です。
ここで、健康診断結果をペーパーレス化するメリットを整理しておきましょう。

配布や管理にかかる工数削減

ペーパーレス化により紙がなくなれば、今まで管理に費やしていた時間や手間がなくなります。
健康診断結果が紙の場合、本人用を配布したり会社保管用をファイリングしたりと、難易度は高くないものの煩わしい事務作業がつきまといます。
紙の存在がなくなるだけで、担当者の負担や工数は大きく削減できるでしょう。

健康データが一元化され紙の保存が不要

健康情報がデータ形式で保存できれば、従業員の入社時からの健康データがすべて一元化され、紙の保存は不要となります。
また、ペーパーレス化を支援するシステムを活用すれば、ストレスチェックや産業医面接結果なども併せて一元化が可能です。
従業員の心身の健康状態を把握するために、何枚もの紙を持ち寄る手間がなくなり、パソコンの一画面で確認が済みます。
それに伴い、今まで紙の保管に要していたキャビネットなどの管理や、オフィスのレイアウト変更などによる移動、書類紛失リスクもなくなります。

有所見者の把握が容易

健康診断結果のペーパーレス化により、有所見者のあぶり出しも容易となります。
紙の結果を目視するのも不可能ではありませんが、企業規模が大きくなるほど負担は増加します。
健康診断業務ひとつに取っても、この先いつくもの工程が控える中、序盤で時間を取られるのは避けたいところです。
さらに当然のことながら、従業員の健康面を配慮すると、次のアプローチは早いに越したことはありません。

データが蓄積され経年変化がわかりやすく可視化される

健康診断結果データ化の大きなメリットのひとつは、経年変化がわかりやすい点です。
毎年の健康診断結果が蓄積されるので、分析が容易となります。
エクセルなどを利用して手作業での分析も可能ですが、システム独自の疾病リスク予測機能などを駆使すれば、自社の課題が一目瞭然となり、健康経営への意識付けや取り組み強化も加速するでしょう。
性別や年代別、部署別、在籍年数など、必要に応じてあらゆるカテゴリーで分析が容易なのも魅力です。

産業医面接や意見聴取の準備がスムーズ

産業医面接や意見聴取の際には、人事担当者が健康診断結果を揃えなければなりませんでした。
しかしシステムを導入しペーパーレス化が実現されれば、産業医へアクセス権を付与することも可能となるため、準備の必要がなくなります。
使用者に合わせた権限設定が可能なので、不必要なデータが流出する心配もありません。

人事担当者のテレワークを後押し

健康診断結果のペーパーレス化は、人事担当者の自由な働き方を後押しします。
冒頭で触れたように、人事業務の多くは書類なしに完結するのが難しいものです。
健康診断業務もそのひとつであり、テレワークなど人事担当者の柔軟性ある働き方を阻害する要因でした。
しかし健康診断結果のデータ保管方法を変えるだけで、人事担当者はいつでもどこでも仕事が可能となります。

健康経営のさらなる推進に人的リソースが割ける

先述してきたように、健康診断業務のペーパーレス化は、人事業務全体の工数削減に有効です。
しかし、従来の紙による保存方法から、ペーパーレス化に移行するとなると、必然的に初期の負担は大きくなるため、躊躇する方もいるもしれません。
しかし、移行の負担に臆して今の紙管理を続けていけば、事務作業や雑務に工数を取られ、本来人事が率先して行うべき業務へリソースの投資が難しくなります。
人力で行う必要がない業務を排除すれば、人事全体の生産性向上につながり、健康経営のさらなる推進につながるでしょう。

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河野行政改革担当大臣が押印慣習の見直しを表明し、ペーパーレス化の追い風になっているものの、紙や押印文化が根強い人事労務領域では、一筋縄ではないのが現実です。今回は健康診断結果のペーパーレス化のメリットや、データ化し保管する方法を中心に解説していきます。
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健康診断結果をデータで保管する方法

健康診断結果のデータ保管方法は、大きく分けて3つ挙げられます。
それぞれの特徴やメリット、デメリットについて把握した上で、自社に最適な方法を選択しましょう。

【外部リソース】健康管理システムのサービス事業者に依頼する

最もコストパフォーマンスが高いのは、健康診断業務のアウトソーシング事業者に依頼する方法です。
数値をデータ化すると同時に、原本のPDF保存が可能です。
さらに分析機能も充実していることから、自社の健康課題の客観視や対策が容易となります。
データ化にとどまらず、ソリューションまでのサポートがワンストップで受けられて、その他の人事データも一元化が可能となるため、健康経営の地盤固めがスムーズに実現します。

【クリニック】受け取る段階からデータ化を依頼する

郵送コストや工数削減のためにペーパーレス化を導入するクリニックが増加しているため、はじめからデータ形式で結果を受け取れるケースもあります。
クリニックから受け取る段階でデータ化されていれば、エクセルでのデータ加工や導入済の人事システムへの取り込みも容易でしょう。
汎用性の高いcsvファイル形式で受け取れるのが理想です。

【自社】紙で送付された健康診断結果をデータ化する

自社でのデータ化とは、紙の健康診断結果のPDF化や、エクセルなどに数値を手打ちすることを指します。
一見低コストで手軽に見えるこの手法も、可能性のひとつとしては挙げられますが、ペーパーレス化本来の意図や目的を考えれば、相応しい方法とは言い難いものです。
形式だけのデータ化では意味をなさないため、別の手法を選択すべきでしょう。

健康診断結果のペーパーレス化にあたり考慮すべきポイント

健康診断結果のペーパーレス化をスムーズに進めるために、最低限考慮すべきポイントがあります。
以下を踏まえて、方向性を固めていきましょう。

どこまで各リソースを割けるか

自社がペーパーレス化に予算、人員などをどの程度かけられるかにより、選択も変わってくるはずです。
ある程度予算を確保できるのであれば、積極的に外部リソースを活用した方が効率的です。

高いセキュリティレベルを維持する業者の活用

外部リソースを活用する場合は、個人情報にあたる健康診断結果をサービス事業者に渡さなければなりません。
そのため、サービス事業者が高いセキュリティレベルを担保しているかが重要です。
上記を客観的に判断するには、情報セキュリティマネジメントシステムISO/IEC 27001やPマークを取得しているかという点が、ひとつの基準となります。

投資に見合った成果が得られるか

外部リソースを活用する場合は経済的コストが、自社でペーパーレス化を試みる場合は人的コストがかかります。
ある程度予算を投じて外部リソースに頼っても、精度が低かったりスピーディーさに欠けたりすれば割に合いません。
社内で人員をアサインする場合も、思いの外生産性が上がらず期待する成果が得られない可能性は大いにあります。
ペーパーレス化にあたっては、投資に見合った成果が得られるかシミュレーションが必要です。

各クリニックで異なる判定基準を統一する方法

健康診断結果は、各検査項目の判定基準(A・B・Cなど)の設定がクリニックにより異なっています。
つまり、クリニックによって有所見者となるボーダーラインが異なることになるため、まったく同じ数値にもかかわらず、A判定とB判定の従業員が生まれてしまうのです。
この状態では、従業員に適切な措置が行えません。
外部リソースを活用する場合は問題ありませんが、自社でペーパーレス化を試みる場合は対策が必要です。

様式の違いにより二次加工が必要になる可能性がある

健康診断を複数のクリニックで実施する場合、クリニックによりフォーマットやファイル形式にバラつきが出る可能性が高くなります。
せっかくデータ形式で受け取っても、整形に工数を取られてはペーパーレス化のメリットを最大限に享受できなくなるため注意が必要です。

今こそ紙媒体から脱却のとき!健康診断結果のペーパーレス化を推進しましょう

健康診断の目的は、従業員の心身の健康保持や増進です。
そして、従業員のビジネスパーソンとしての人生、家庭やプライベートでの人生をより豊かなものにするために後押しすることです。
その実現に向けて企業は、不要な慣習を見直し、新たなスタイルを構築する労力を惜しむ訳にはいきません。
ペーパーレス化の推進は初期こそ手間取ることがあるかもしれませんが、一度定着すればその後の業務は従来と比べものにならないほどスムーズに運びます。
昨今のペーパーレス化の流れにうまく乗り、紙媒体からの脱却を図りましょう。

健康管理システムでペーパーレス化
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