健康経営とは|メリットと優良法人認定の流れ・取り組みのポイントを解説
健康経営は、従業員の健康保持を経営課題と捉えて戦略的に実践することです。しかし、健康経営に取り組むにあたって、何から始めたらいいか分からないという方も多いでしょう。
この記事では「健康経営」のメリットや取り組みのポイント、健康経営優良法人認定の流れについて解説します。健康経営のポイントを押さえて効果的に実践すれば、従業員の健康保持だけでなく自社の業績アップにもつながるでしょう。
目次
健康経営とは
健康経営が求められる背景には、少子高齢化による労働人口の減少、従業員の高齢化、国民医療費の増大、ブラック企業の顕在化などが挙げられます。特にここ数年は新型コロナウイルスの影響もあり、心身の健康を損なう従業員も増えています。このような社会的背景から、健康経営という考え方が注目されるようになりました。
健康経営の目的は、従業員をコストではなく資本と捉え、従業員の健康に投資して企業業績の向上を目指すことです。健康管理はコストではなく投資であり、リスクマネジメントの1つでもあります。
健康経営のメリット
健康経営を推進することには、以下のようなメリットがあります。
・生産性の向上
・医療費の削減
・リスクマネジメント
・離職率の低下
・企業のイメージアップ
健康経営に取り組むことは、従業員の健康の保持・増進につながります。従業員が健康であれば、集中力高く仕事に取り組めるようになって生産性が向上し、さらには企業が負担する医療費が減少することで企業の利益率アップにつながるという理想的なサイクルが生まれます。健康経営を推進することはリスクマネジメントになるだけでなく、従業員の健康に配慮したホワイトな会社というイメージアップにもつながるでしょう。
政府による健康経営促進の取り組み
続いて、政府による健康経営の促進を後押しする各取り組みについて解説していきます。
健康経営銘柄
健康経営銘柄は、国民の健康寿命の延伸に対する取り組みの一つです。健康経営に優れた企業を選定し魅力的な企業として紹介することで、企業による健康経営の取り組みを促進することを目指しています。健康経営銘柄に選定されるためには、毎年8月~10月に行われる健康経営度調査に回答しなければなりません。
健康経営優良法人認定制度
健康経営優良法人認定制度は、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する制度です。健康経営優良法人に認定されると、従業員の健康管理に投資を行い戦略的に実践している企業として社会的な評価を受けられるようになります。
健康経営優良法人ホワイト500/ブライト500
健康経営優良法人認定制度には大規模法人部門と中小規模法人部門があり、大規模法人部門の上位層を「ホワイト500」、中小規模法人部門の上位層を「ブライト500」として認定しています。
健康経営に必要な5つのステップ
健康経営を推進するには、必要なステップを踏んで正しく取り組むことが大切です。
【ステップ1】社内への通知
まずは健康経営に取り組むことを社内と社外の双方に宣言します。全社的に健康経営を推進するためには、経営トップがコミットメントして発信することが望ましいでしょう。経営理念に基づいて、具体的に何を目指すのかという方針の明文化が重要です。
【ステップ2】組織体制の構築
健康経営を推進するための専門部署の設置や担当者の選定を行い、組織体制を構築します。チームには、健康経営の知識がある人を含めましょう。必要に応じて、産業医や保健師、健康経営アドバイザーなど外部のスタッフに協力を仰ぎます。
【ステップ3】課題の洗い出し
健康課題の洗い出しを行います。自社の課題を把握するには、健康診断やストレスチェックの結果を活用すると良いでしょう。課題の例としては、以下のようなものが挙げられます。
・特定の部署で高ストレス者が多い
・特定の部署で残業している従業員が多い
・健康診断の受診率が低い
・喫煙率が高止まりしている
・有給消化率が低い
・有所見者が増加している
【ステップ4】施策の検討と目標設定
ステップ3で洗い出した健康課題に対して優先順位をつけていきます。緊急性や重要性が高くて取り組みやすい課題から、優先的に改善・解決に向けて施策と実施計画を立てましょう。例えばステップ3の課題に対する施策の例として、以下のようなものが挙げられます。
・高ストレス判定が多い部署に対する職場環境の見直しや業務量の調整
・残業時間が多い部署への人員増加や業務効率化可能なシステムの導入
・健康診断の受診率を上げるための未受診者への受診勧奨
・喫煙率を減らすための喫煙所の廃止または削減や禁煙セミナーの開催
・有給取得勧奨、上司が率先して有給休暇を取得するといった有給を取得しやすい雰囲気づくり
・運動習慣を身につけるための運動促進イベントや健康セミナーの開催
施策を検討する際には、取り組みの評価や振り返りを効果的に行うために、施策の目標値といつまでに実行・達成させるかといったスケジュールを立てておくと良いでしょう。
【ステップ5】実行・評価
ステップ4で計画した施策を実行します。実施した取り組みの効果検証および検証結果を踏まえて評価を行い、施策の見直しと改善をしていくことが重要です。
健康経営優良法人の認定基準
健康経営優良法人の認定基準は、健康経営の実現に向けて実効性のある組織体制が構築されているかを確認するような内容になっています。そのため、健康経営優良法人の認定取得の有無に関わらず、認定基準の意図を確認して健康経営に取り組むことが大切です。
健康経営優良法人の認定までの流れ
健康経営優良法人制度における申請から認定までの流れは、大規模法人部門と中小規模法人部門とで異なります。大規模法人部門では、経済産業省が実施する健康経営度調査への回答が必須です。中小規模法人部門では、協会けんぽや健康保険組合会など加入している保険者が実施している健康宣言事業に参加する必要があります。具体的な流れは以下の通りです。
大規模法人部門の認定要件
大規模法人部門の認定要件には必須項目が多く、特に「産業医・保健師の関与」や「健保組合等保険者との協議・連携」などの項目があることから、多職種連携が重要視されている点が特徴です。大規模法人へは、自社だけでなくグループ会社全体や取引先、従業員の家族などにも健康経営の考え方を普及・拡大するトップランナーとしての役割が求められていると考えられます。
中小規模法人部門の認定要件
中小規模法人部門では、大規模法人部門と同様に組織体制や法令遵守・リスクマネジメントなどの大項目に取り組むとともに、制度・施策実行の各中項目において、一定数以上の項目を満たす必要があります。中小規模法人へは、自社の健康課題の解決に向けた取り組みを実践し、周辺地域 への健康経営拡大に向けて自社の取り組み事例を発信する役割が求められていると考えられます。
健康経営の実施に向けた取り組みのポイント
最後に、健康経営のスムーズな実施に向けて取り組むべきポイントを解説します。
自社課題の把握
健康経営に取り組むためには、自社の職場の状況や従業員の健康課題を把握しておかなければなりません。紙での管理が多い健康診断結果やストレスチェックの結果をデータ化することで 、自社の現状や分析を行いやすくなります。
産業医や保健師との連携
健康課題がある従業員へのフォローをスムーズに行うためには、産業医や保健師との連携が欠かせません。健康診断やストレスチェックなどの健康情報のデータ化を行えば、情報の共有がスムーズになるため多職種連携が容易になり、継続的かつ定量的な分析・管理によって健康課題がある従業員の早期発見・早期対処にもつながります。
健康施策のプログラムを準備
健康課題に応じて、課題解決や健康促進のためのプログラムを準備しておくと、課題の分析を行った後にスムーズに改善を進めることができます。 。健康セミナーの実施や運動促進のための動画配信、健康支援アプリの導入などを検討しておくと良いでしょう。
健康経営の実現には健康管理システムの導入がおすすめ
健康経営に向けた取り組みを容易にするには、健康管理システムの導入が役立ちます。
健康管理システム「WELSA」は、ストレスチェックや健康診断結果のペーパーレス化にも対応しており、健康データの一元管理が可能です。従業員の健康情報を「見える化」できるため、課題の抽出や分析をエビデンスに基づいて実施できます。さらに、健康課題に応じた最適なプログラムの提供も行っています。
ほかにも、多職種連携や健康増進プログラムの推進の円滑化に役立つでしょう。操作性が高く、従業員による使用の定着や健康意識の向上も期待できます。健康経営を効果的に行うのであれば、ぜひ「WELSA」の導入をご検討ください。