衛生委員会とは?内容・設置基準や構成メンバーをわかりやすく解説

衛生委員会とは、従業員の安全や健康を守るための調査機関です。従業員50人以上の事業所では設置が義務付けられています。

この記事では衛生委員会の設置基準から構成メンバーまで、基本的な情報をわかりやすく解説しています。衛生委員会は毎月開催する必要があるので、マンネリ化に悩んでいる担当者も多いでしょう。活性化させるための進め方や、テーマの事例も紹介しています。

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衛生委員会とは?基本情報を解説

衛生委員会とは職場環境の改善や従業員の健康管理など、衛生や健康に関わる取り組みを行う組織です。労働安全衛生法に基づき、従業員が常に50人以上いる事業場では衛生委員会の設置が義務付けられています。

まず、衛生委員会の目的や調査審議の内容、設置基準など、基本について詳しく解説していきます。

衛生委員会の目的と調査審議内容

衛生委員会は職場の労働災害を防ぐために、設置される調査機関です。従業員の健康リスクを防止、および健康を増進させる取り組みを計画し、労使間で調査審議するための委員会となります。

衛生委員会が主に調査審議する内容は、以下の4つです。

  1. 労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること。
  2. 労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること。
  3. 労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に係るものに関すること。
  4. 前三号に掲げるもののほか、労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項
引用:衛生委員会|厚生労働省 職場のあんぜんサイト

4には、次の項目が含まれます。

  1. 衛生に関する規程の作成に関すること。
  2. 衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関すること。
  3. 衛生教育の実施計画の作成に関すること。
  4. 定期健康診断等の結果に対する対策の樹立に関すること。
  5. 長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること。
  6. 労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること。など
引用:安全衛生委員会を設置しましょう|厚生労働省

従業員の健康に関わる事項を審議するため、健康診断やストレスチェックの結果、従業員の就労データなどさまざまな情報をもとに調査・審議します。そのほかハラスメントやメンタルヘルスなどのテーマも取り扱います。

安全委員会・安全衛生委員会との設置基準の違い

衛生委員会と混同されやすい組織として、安全委員会と安全衛生委員会があります。安全委員会は主に労働者の安全を主軸として考え、職場環境の見直しや安全を確保するための対策を調査審議する組織です。安全衛生委員会とは、衛生委員会と安全委員会を併せた組織のことです。

衛生委員会と安全委員会の設置義務がある事業場は、その二つの代わりに安全衛生委員会を設置しても問題ないと定められています。両委員会の設置基準は以下を確認してください。

業種 常時使用する労働者の数 安全委員会 衛生委員会
1 林業、鉱業、建設業、製造業の一部(木材・木製品製造業、化学工業、鉄鋼業、金属製品製造業、輸送用機械器具製造業)、運送業の一部(道路貨物運送業、港湾運送業)、自動車整備業、機械修理業、清掃業 50人以上 必要 必要
2 製造業(1以外)、運送業(1以外)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器等小売業、 燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業 100人以上 必要 必要
50人以上100人未満 義務なし 必要
3 1と2以外の業種 50人以上 義務なし 必要

引用:安全委員会、衛生委員会について教えてください。|厚生労働省

衛生委員会が全業種を対象としているのに対し、安全委員会は従業員の数によって設置義務が生じる業種が細かく定められています。

また、従業員が50人未満の事業場では、両委員会の設置義務はありません。ただし衛生と安全に関して労働者から意見を聞く場を設ける必要があります。

衛生委員会の構成メンバーは?

衛生委員会は統括安全衛生管理者や安全衛生管理者など、構成するメンバーが定まっています。委員の構成例は以下を確認してください。

引用:衛生委員会活性化テキスト|独立行政法人労働者健康安全機構

衛生委員会を取りまとめるのは、統括安全衛生管理者です。委員会を管理し、議長を担当したり、衛生管理者を指揮したりなどの役割を持ちます。そのほか衛生管理者、産業医、職場を代表する労働者などのメンバーが必要です。

これらのメンバーはそれぞれ役割が異なります。スムーズに調査審議を行うためにも、事前にお互いの役割について理解を深めておくようにしましょう。具体的な役割と選出方法について以下にまとめました。

人数選出基準や方法役割
統括安全衛生管理者1名その事業場の責任者衛生委員会を統括管理する役割。衛生管理者を指揮する。
衛生管理者1名以上事業者が指名衛生・健康に関わる取り組みを実施。定期的に事業場を巡視して職場環境の改善、従業員の健康管理などを行う。
産業医1名以上事業者が指名労働者の健康管理を行う医師。健康診断や面接指導などを実施する。労働災害などが起きた際は、医学的な面からその原因や今後の対策について調査・助言を行う。
職場を代表する労働者1名以上事業者が指名労働者の立場から現場の問題点を伝えて、調査審議内容に意見を述べる。決定事項を現場に伝える。

統括安全衛生管理者以外のメンバーは事業者が指名しますが、その半数は労働組合の推薦をもとに選出する必要があります。特に労働者は職種や男女のバランスを考えて選出するとよいでしょう。職種ごとの労働環境の問題や、性別特有の健康リスクなど違いがあるためです。

衛生委員会を開催する際の注意点

衛生委員会を設置して、実際に運用する際の注意点は以下の3つです。

  • 毎月1回以上開催
  • 開催後は従業員に内容を周知
  • 議事録の作成と3年間の保存義務

委員会の開催は月1回以上と定められています。貴重な時間を効率よく活用するためにも、開催日を決める際は多くのメンバーが集まれる日程を選びましょう。開催後は議事録をまとめて保管し、併せて従業員に内容を周知させます。作業場の見やすい場所に掲示したり、書類を従業員に配ったりしましょう。

また、委員会を業務時間外に開催する場合は残業扱いとなり、割増賃金の支払いが必要になるので注意してください。

衛生委員会の進め方とポイント

月1回開催する委員会は、主に以下の流れで行います。

  1. 委員長の挨拶・イベントの告知など
  2. 前回の振り返り・調査審議
  3. 今回のテーマ発表・調査審議
  4. 次回の議題を検討
  5. 議長からのまとめ

なお、開催前に話し合うテーマについて、事前に周知しておくとより有意義な時間になります。では流れに沿ってひとつずつ解説していきます。

委員長の挨拶・イベントの告知など

委員会は、議長(統括安全衛生管理者)の挨拶から始めましょう。議長の挨拶によって場に緊張感が出て、話し合いをしっかり進められます。統括安全衛生管理者は委員会を統括管理する責任者なので、毎回話す機会を設けたほうが適切です。

もし健康診断やストレスチェックなど近々のイベントがあれば、この段階で報告しましょう。

前回の振り返り・調査審議

次に前回決めた改善案について進捗を報告し合います。委員会の取り組みを効果的に運用するにはPDCAサイクルを回すことが大切です。実行してその結果を確認したうえで、問題点があった部分は再度この場で審議します。計画の見直しを行い、また実行に移しましょう。

委員会での議題は毎回必ず結論が出るものばかりではありません。前回からの持ち越し案件がある場合も同じく、調査審議を行いましょう。

また、労働災害や通勤災害の件数についても報告します。事故がなかった場合でもこの場で報告することで、1ヶ月事故なく仕事ができたことをメンバー全員で確認しましょう。

今回のテーマ発表・調査審議

続いて、今回のテーマについて調査審議を進めます。調査審議中は適宜、産業医から意見を聞きましょう。専門家からの意見をもとに、より効果的な取り組みを計画することができます。

年間テーマのほか、急ぎ調査審議することがあれば、この場で議論します。進行役の方は、ほかに審議するテーマがないかひと声かけるようにしてください。

次回の議題を検討

調査審議がひと通り終わったら、次回の議題についてまとめます。次の委員会で、急ぎ取り上げたいテーマがないかこの場で確認しましょう。

調査審議するテーマは、可能であれば1年分の計画を立てておくことがおすすめです。テーマのネタについては記事後半でまとめているので、ぜひ参考にしてください。

議長からのまとめ

今回の委員会で審議した内容を簡単にまとめつつ、次回の開催日時やテーマを発表します。開催日時を事前に知らせておくと、欠席者を減らすことにつながるので、1年の日程を決めておく方法もおすすめです。

開催後は議事録の保管と、社内への通知を忘れずに行いましょう。

マンネリ化させないための衛生委員会のテーマ一覧

月1回の委員会を効果的な話し合いの場にするためにも、1年のテーマを決めておくことが大事です。以下のテーマ一覧を参考に、計画を立ててみましょう。

定期健康診断・健康診断後の従業員への対応
・健康促進イベントなどの企画
・受診率アップのための対策
長時間労働  ・残業削減のための対策
・ノー残業デーの企画
ストレスチェック・ストレスチェックの活用検討
・結果から職場環境の見直し
・受検率アップのための対策
職場環境・安全衛生教育の実施・禁煙の推進、または分煙対策
・腰痛や眼病など職業性の疾病予防対策
季節特有の健康問題  ・インフルエンザやノロウイルスなどの感染症対策
・予防接種費用の補助・熱中症対策
メンタルヘルス・メンタルヘルスケアに関する研修を実施
・相談窓口の設置・ハラスメント対策

テーマ決めを当番制にしたり、社内公募にしたりすると、さまざまなネタが集まって、よりマンネリ化を防ぐことができます。

衛生委員会を活性化させて働きやすい職場を作ろう

従業員50人以上の事業場では設置が義務付けられている衛生委員会。労働者の安全と健康を守るためには、ただ設置するだけでなく、活性化させるための運用方法を知ることが大事です。構成メンバーの役割や進め方のポイントなどを知っておくと、よりスムーズに調査審議を進めることができます。

また、計画的に進めるためにもスケジュールを事前に作成することが重要です。この記事で紹介したテーマ一覧を参考に、まずは1年のスケジュールを作成してみましょう。

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