健康情報取扱規程が義務化! 厚労省が求める健康診断結果等の保護と取り扱い

平成31年4月1日より義務化された健康情報取扱規程。 健康診断やストレスチェックの結果など、健康情報の適切な取り扱いや保護が企業に求められています。 本規程がどのような目的を持ち、企業にどのような義務を課しているのか、ポイントを解説してきます。

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厚生労働省が公表した健康情報取扱規程の概要

健康情報取扱規程は、健康情報の取得や管理、運用ルールを定めたものです。
はじめに概要を解説します。

労働安全衛生法の改正により平成31年4月に策定が義務化

厚生労働省は平成31年4月1日、働き方改革関連法の施行および労働安全衛生法の改正を行いました。
この改正にあたり、企業によって情報の取り扱いに差異が生まれないよう、ルール化を図ったのが健康情報取扱規程です。
「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」(以下、指針と表記)にて策定が明記されています。

健康経営にかかわる法改正については下記の記事もご確認ください。

関連リンク:2021年春の主要法改正まとめ~人事労務担当者が押さえるべき変更点を解説
関連リンク:【令和4年4月施行】育児・介護休業法改正内容をわかりやすく解説

健康情報取扱規程は従業員が安心できる職場環境を守るもの

健康情報取扱規程は、企業が不当に情報を取り扱い、従業員に人事面などで不利益がもたらされないよう、適切な運用を定めたものです。
企業は従業員に適切な取り扱いを約束し、不安なく自身の体調を相談したり、健康診断などを受けたりできる職場環境を実現します。

健康診断結果などの健康情報は「要配慮個人情報」に含まれる

健康情報取扱規程で保護される事柄を、要配慮個人情報と呼びます。
これは人種や信条、病歴などにより、個人が差別や偏見、不利益を被らないよう取り扱いに配慮すべき事柄を指し、指針内ではほとんどの健康情報が該当する旨明記されています。

具体的に要配慮個人情報に該当するものは、以下の7つです。

1. 産業保健スタッフが労働者の健康管理を通じて得た情報
2. 健康診断の結果
3. 長時間労働者や高ストレス者に対する面接指導の結果
4. 健康診断や面接指導の結果に基づく医師から聴取した意見や就業上の措置の内容
5. 保健指導の内容
6. 健康測定の結果
7. 欠勤や休職の際に労働者から提出された診断書

企業は、要配慮個人情報を適切に取得、運用、管理しなければなりません。

漢字誤りに注意!「規定」ではなく「規程」

インターネットで検索すると、稀に健康情報取扱「規定」という記載が見受けられます。
しかし、正しい表記は「規程」です。
余計な工数を増やさないよう、表記ミスに注意しましょう。

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健康情報取扱規程における企業の義務とは

指針では、情報を取り扱う目的として以下2つが明記されています。
・健康確保措置の実施
・民事上の安全配慮義務の履行

企業は、健康診断結果などの健康情報を活用し、従業員の心身の健康や安全を維持しなければなりません。

しかし健康にまつわる領域はパーソナルなものであることから、従業員は自らの情報を知られることで、昇進や組織異動などの人事に影響が及ぶのではないかと不安を感じる恐れがあります。

その不安を払拭し、なおかつ自身の健康不安を気軽に相談できる職場環境造りのためにも、健康情報取扱規程の策定は、企業の義務であり必要なのです。

健康情報を取り扱える権限者は限定的

健康情報を取り扱えるのは、以下の権限者のみとなるため注意しましょう。

企業は、健康診断結果などの健康情報を活用し、従業員の心身の健康や安全を維持しなければなりません。

しかし健康にまつわる領域はパーソナルなものであることから、従業員は自らの情報を知られることで、昇進や組織異動などの人事に影響が及ぶのではないかと不安を感じる恐れがあります。

その不安を払拭し、なおかつ自身の健康不安を気軽に相談できる職場環境造りのためにも、健康情報取扱規程の策定は、企業の義務であり必要なのです。

なお、各々にどこまで取り扱いを許可するかは、自社で審議が必要です。
厚生労働省公表のサンプル、モデル規程などを参考にしながら決定しましょう。

健康情報取扱規程で定める9つの事項

指針内では、健康情報取扱規程に定めるべき内容について以下の9つを挙げています

1. 目的と取扱方法
2. 取り扱い者と権限、情報の範囲
3. 通知方法および本人同意の取得方法
4. 適正管理方法
5. 開示や訂正、使用停止などの方法
6. 第三者提供の方法
7. 組織変更、事業承継に関する引継ぎ
8. 苦情処理
9. 周知方法

健康情報取扱規程の策定方法は事業場規模により異なる

健康情報取扱規程の策定は、内容が企業に有益な方向に偏らないよう、労使双方の意見を取り入れなければなりませんが、策定過程は事業場の従業員数により異なります。複数の事業場を持つ場合は、各々の対応方法を把握しましょう。

従業員50人以上の事業場は衛生委員会で審議

従業員が50人以上いる事業場は、衛生委員会や安全衛生委員会の機会を活用します。
あらかじめ担当者が作成した原案を用いて、労使間の審議で策定を進めていきます。

従業員50人未満の事業場は従業員から意見聴取できる場を設ける

従業員が50人未満の場合は、衛生委員会や安全衛生委員会の設置が義務付けられていません。
そのため、何らかの形で従業員から意見聴取する機会を設けることになります。
従業員から聴取した内容は、エビデンスとして書面やデータで残しておきましょう。

健康情報取扱規程策定にあたり企業がおさえるポイント

健康情報取扱規程は、「企業が従業員に対し、情報の適切な取り扱いを約束すること」だと言えます。よって企業は、不備なく円滑に策定を進め、運用を開始する必要があります。企業がおさえるべきポイントは以下の通りです。

健康情報の取り扱い方法は以下の5つ

情報の取り扱いプロセスは、主に以下5つに分類されます。

1. 収集:情報を入手
2. 保管:書面およびデータで保管
3. 使用:第三者提供を含めた活用
4. 加工:目的の範囲内に変換
5. 消去:使用不可の状態

上記が多くの企業で想定される形です。
これを参考に、自社内で取り扱いプロセスを定めましょう。

健康情報の取得には従業員の同意が必要

従業員の健康情報取得には、利用目的や取り扱い方法を通知するとともに、本人の同意を得ましょう。
主な手段は、書面やメールの受領、WEBサイトに設けた確認欄へのチェックなどが挙げられます。
口頭による意思表示でも同意とみなされますが、企業側と従業員側で後々主張の食い違いが起こるリスクもゼロではないため、エビデンスが残る形が望ましいでしょう。

第三者への情報提供は従業員の同意と第三者情報が必要

従業員の健康情報を第三者に提供する際には、文書、もしくはデータを用いて以下必要事項の記録を残さなければなりません。

・従業員本人の同意取得の旨
・第三者氏名(名称)、第三者が特定可能な情報
・健康情報から識別可能な従業員氏名、その他本人が特定可能な情報
・健康情報項目

上記を漏れなく盛り込みましょう。

企業側の一方的な策定はNG!従業員の意見を反映させる

健康情報取扱規程の策定は、運用側が一方的に推し進めることなく、従業員の意見を反映させることが大前提です。
従業員と意見を交わし、情報が適切に運用されることへの安心感を抱いてもらいましょう。
それにより、従業員のエンゲージメント向上という副産物がもたらされることも期待できます。

健康情報取扱規程の策定後はイントラネットなどで周知する

健康情報取扱規程の策定後は、イントラネットへの掲載や掲示板への掲示、案内リーフレットの配布、社内規程および就業規則への追加などで周知します。
自社にとって最も合理的な手法で確実に全従業員に周知できる方法を選択しましょう。

企業は健康情報の適正管理が求められる

・利用目的の範囲を遵守、常に正確かつ最新の情報を維持する
・漏えいや滅失、改ざんなどを防止する安全管理措置を講じる
・退職などで必要なくなった情報は、定められた保存期間の経過後、速やかに消去する

各々の裁量により対応に偏りが出ないよう、すべての担当者が滞りなく運用可能な共通手法を吟味しましょう。

健康情報の利用目的は具体的に記載する

健康情報取扱規程は、従業員が安心できる職場環境実現に向けて設けられました。
したがって企業は、従業員に明瞭な利用目的を示さなければなりません。
指針内にある健康確保措置の実施や安全配慮義務の履行などの表現にとどめず、自社の事業や業務内容を踏まえ詳細な記載が求められています

健康情報取扱規程の運用で従業員が腰を据えて働ける環境を整備しましょう

健康情報取扱規程のゴールは策定ではなく、円滑な運用や目的、役割の達成です。

そのためには、自社の実情に即した内容を採用しなければなりません。
ただし形式ばったやり方ではなく、従業員と真摯に向き合い、双方向のコミュニケーションを大切にするべきです。

信頼関係が育まれれば、企業と従業員双方にとって居心地の良い職場環境が構築できるでしょう。

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